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「パテントメディア」

QCサークル活動改善事例のご紹介

2009年5月
改善推進室 河島和美

1985年にQCサークル活動を導入してから24年。お客様にご満足いただけるサービスを提供できるよう改善活動を継続してきました。おかげで昨年は「第1回事務・販売・サービス部門全日本選抜QCサークル大会金賞」「QCサークル経営者賞」「石川馨賞」等、数々の名誉な賞を受賞することができました。 
今回は、第5039回岐阜地区小集団改善活動“若鮎大会”にて「岐阜県知事賞」、第5075回QCサークル総合交流大会にて「支部長賞」を受賞したQCサークルの改善事例をご紹介します。


「その他案件」のファイル保管量を減らす!

オンダ国際特許事務所 総務部「スキルアップ・ガールズ」サークル

テーマ選定

近年、当社では主要案件から順にペーパレス化を進めてきました。しかし、出願前の相談案件や事務所運営方針の検討資料等の「その他案件」については、ペーパレス化の対応が遅れ、紙ファイルのまま保管し続けていました。気が付くとキャビネットは満杯で、空きスペースが僅かとなっていました。早く何とかしなければ・・・ということで「その他案件」のファイル保管量を減らす!をテーマに取組むことにしました。

図「テーマの選定」

現状把握

まず、保管されている「その他案件」のファイル量を調査しました。すると、キャビネットは満杯状態で取り出すのも大変、入りきらないファイルがとび出していました。保管されているファイル件数は、全部で2,604件もありました。保管スペースは限界です。 次に、「その他案件」のファイルの増加状況を調査しました。4ヶ月間の傾向を調べたところ、月平均の増加量は16.25件でした。この増加量からキャビネットのキャパを予測すると、10ヵ月後には限界に達してしまいます。 また、「その他案件」のファイルの利用状況を調査しました。「ファイル貸し出し簿」の記載内容を調べたところ、過去3年以内の案件についてはファイルの利用率が高いということがわかりました。ファイルを利用する実務担当者を対象にアンケートを行い、「その他案件」のファイルの必要性を尋ねたところ、やはり過去3年以内に発生した案件はファイルを保管して欲しい、という回答が80%を占めていました。

図「現状把握1」

図「現状把握2」

目標設定

現状把握をふまえ、目標は「2008年の3月末までに、過去3年以内に発生した案件のファイルのみを保管する」と設定しました。なお、2008年3月以降については、猶予期間を見込んで、過去3年プラス1ヶ月のものとしました。

要因解析・要因の検証

「過去の資料が増える」を特性値として要因の解析を行った結果、「ファイル1件あたりのボリュームが多い」「保管スペースが限られている」など、6項目の重要要因が抽出されました。また、これらの6項目が真の重要要因であるかどうかを検証するため、事実関係を調査し「一度も廃棄されていない」 「将来の必要性を感じている」の2項目を真の重要要因であると判断しました。

図「要因の解析」

図「要因の検証」

対策の立案

重要要因を一次展開し、さらに二次展開して、具体的な対策案を検討しました。対策案を「効果・費用・納期・リスク」の面で評価し「保管期限をルール化する」「資料を廃棄処分する」「必要な案件をスキャンする」の3つを実施することにしました。

図「対策の立案」

対策の実施

<対策1:保管期限をルール化する>

「保管期限」「廃棄の判定」「電子化保存」等を明確にした保管規定を作成し周知しました。

図「対策の実施」

<対策2:不要な資料を廃棄する>

3年以上経過したファイルを対象に廃棄が可能なものを243件ピックアップ、それらを実務担当者に確認し197件のファイルを廃棄することにしました。 

図「対策の実施」

<対策3:必要な案件をスキャンする>

3年以上経過したファイルのうち廃棄できないものをスキャンすることにしました。電子化した資料を社内サーバに保存すれば、どの拠点、どのパソコンからも検索・閲覧が可能となり、ファイル自体は廃棄することができます。 総数2,604件のうち、すでに廃棄したもの197件と、 キャビネットに保管する(3年以内のファイル) 576件を除いた 1,831件がスキャンの対象です。

<大量の書類を効率よくスキャンするために>

「1,831件ものファイルを、メンバー5人で活動期間内にスキャンできる?」という大きな壁に突き当たりました。スキャン作業に割くことの出来る時間は、1人あたり1日1時間程度しかありません。のんびりしていては、作業が終わる前にキャビネットからファイルが溢れてしまいます。「なんとか活動期間内にスキャンを完了しなければ!」とメンバーの思いが一つになりました。 

<スキャン時間の短縮:現状把握>

メンバー5人のスキャン作業時間を測定してみると、個人的なバラツキが大きく、平均では1件あたり32.2分を費やしていました。メンバー5人が本来の仕事を進めながら活動期間内(4ヶ月以内)にスキャンを完了させるには、1件当たり何分で作業する必要があるのか?を計算したところ、なんと13分でした。「作業時間を32.2分から13分以下にする」という厳しい目標値を目指して対策を検討しました。

<スキャン時間の短縮:対策立案と実施>

「人・設備・方法・材料」に層別し、それぞれの手段について対策案を検討した結果、対策A〜対策Eの5つを実施することにしました。

対策A:スキャナの機種とデータ形式の選定

弊社にあるX社製・Y社製の2つの機種を比較した結果、Y社製の機種を用いてPDF形式にてスキャン作業を行うことに決定しました。

対策B:スキャン作業の時間帯を決める

他部署がY社製スキャナを利用している時間帯を調べてみると、午前中は空き時間が多く、午後に利用が集中していることがわかりました。よって、スキャン作業は午前中に行うこととし、利用者順番表を作成して混乱が生じないように工夫しました。  そのほか、対策Cではスキャナの設定値を定め、対策Dでは、スキャン手順をマニュアル化しました。さらに対策Eとしてチェック表を作成し、ファイルに貼付しました。 

<スキャン時間の短縮:効果の確認> 

再び、5人のスキャン作業時間を測定しました。その結果、全員の作業時間が大幅に短縮され、目標の13分をクリアすることができました。対策A〜対策Eの実施により、活動期間内にスキャン作業を完了することができました。

効果の確認

対策1〜対策3により、2,604件のファイルは過去3年以内の576件に減少しました。対策の実施以降は1ヶ月分のみを保管しています。また、スキャン作業時間を短縮できたため、本来かかるはずだった人件費270万円を節約できました。さらに、メンバーのスキャンのスキルも向上し、その他案件に対する意識が高まりました。 ファイルの廃棄に伴い、書類を留めていた大量のクリップを再利用できました。 また、40年前からのファイルを保管していたため保管庫はとても空気が悪く、触ると手が黒くなるファイルがほとんどでした。カビが生えていたこともありました。今回の活動によって保管庫の空気もさわやかになりました。さらに、空いたキャビネットを書類の保管に困っていた部署に提供することもできました。

標準化・まとめ

毎月末にファイルをチェックし、翌月第1週末までにスキャン作業を行うことにしました。大量のスキャン作業が伴い、大変な活動ではありましたが、お互いを思いやり協力することができました。また、無関心であった「その他案件」の内容をチェックすることにより、さまざまな知識をつけることもできました。 この知識が、社員やお客様とのやり取りの多い私達の仕事の中で、間接的にでも役立つのではないかと期待しています。

2009年5月発行 第85号

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