商標審決レポート(WebFile)
拒絶査定不服審判 – 最終的に特許庁が識別力を認めた事例(WebFile)
2026年2月9日
弁理士 鈴木和弘
| 審判番号 | 不服2025-008224(商願第2024-053633号) |
|---|---|
| 事案の概要 |
– 本願商標「WebFile」(標準文字)の構成中、「Web」の文字は、「インターネットで用いられる情報検索システムおよびクライアントサーバーシステムの一つ。文字のほかに音声・画像を扱うことができ、ハイパーテキスト形式による情報の検索が可能。ウェッブ。ワールドワイドウェブ。」の意味を、「File」の文字は「コンピューターで、意味的なまとまりをもったデータの集まり。また、それを格納する記憶装置。」の意味を有する語であるから、本願商標は全体として、「WEBサイトや WEBサーバーに関連するファイル」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。 – 本願の指定役務を取り扱う業界では、「WebFile」の文字と同義とみられる「Webファイル」及び「WEBファイル」の文字が、おおむね「WEBサイトや WEBサーバーに関連するファイル」ほどの意味合いを表すものとして使用されている実情が認められる。 との認定に基づいて、「WebFile」はこれに接する需要者に「WEBサイトや WEBサーバーに関連するファイル」であること、すなわち、単に役務の質等を普通に用いられる方法で表示したものとして認識されるにすぎない、従って識別力がないとして、審査官は出願商標の登録を拒絶しました。 拒絶査定不服審判にて、審査官の認定を審判官は覆しました。 |
| 審決日 |
2025年12月10日 |
| 出願人 |
キー・ポイント株式会社 |
| 出願商標 |
商願第2024-053633号 |
| 指定商品役務 |
第35類:ウェブサイトの検索結果の最適化,コンピュータデータベースへの情報編集等 第42類:ウェブサーバーの貸与,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),サーバーのホスティング,電子データの保存用記憶領域の貸与,ウェブサイトの作成又は保守等 |
| 審決の概要 |
本願商標「WebFile」(標準文字)は、辞書類に掲載されているものではない。 本願商標の構成中「Web」の文字は「ワールドワイドウェブ」の意味を有し、「File」の文字は「コンピューターで、ハードディスクなどの記憶装置に記録された、情報の集まり」の意味を有するものであることから、これらを結合した本願商標は、全体として、「(ワールドワイド)ウェブのファイル(情報の集まり)」ほどの意味合いを理解させる場合があるものであるが、かかる意味合いは漠然としており、本願指定役務との関係で、これが具体的にどのような(内容、性質等)ファイルを指称するものであるのかは判然としない。 なおかつ、本願の指定役務に関連する分野において、「WebFile」の文字が、前記「(ワールドワイド)ウェブのファイル(情報の集まり)」の意味合いで取引上一般に使用されている事実は発見できなかった。 そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、かつ、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものということもできないと判断する。 |
| コメント |
本願商標構成中の「Web」及び「File」の語各々について複数の意味を有することから、本願商標「WebFile」を全体として第35類や第42類の本願指定役務に使用した場合であっても、複数の異なる意味合いが想起できる以上、本願商標は単に役務の質等を表示したに過ぎないものとは到底言えず、従って本願商標は、商標全体として十分に自他役務識別力を発揮するものと判断されてしかるべき、との旨の審判請求書での主張が奏功した結果、原審の認定は誤りであるとして審決において出願人の請求が認容されました。 |