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海外から模倣品が輸入され、国内で流通してしまいますと、これを止めることは容易ではなく、権利者が負う労力・時間・費用の負担は計り知れません。税関では認定手続を経て商標権等の知的財産権を侵害する模倣品を取り締まっているところ、その認定手続を促す「輸入差止申立制度」が設けられています。そのため、模倣品の拡散を防ぐには、「輸入差止申立制度」を利用して税関で輸入を食い止めることが極めて重要です。また、輸入差止申立てに基づいて「認定手続」が開始された場合、簡素化手続の対象となり、模倣品に対して速やかに侵害認定されるメリットがあります。

以前は、簡素化手続の対象となる権利は商標権等に限定されていましたが、2023年の関税法施行令改正により、簡素化手続の対象となる権利が、新たに特許権、実用新案権、意匠権及び営業秘密まで拡大されました。これにより、2023年10月1日から、知的財産権に関する輸入差止申立てに係る貨物のすべてが、簡素化の対象となりました。

知的財産侵害物品の輸入差止実績の推移

(出典)財務省「令和6年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」に基づき作成
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024/20250307a.html

模倣品・偽造品の流入が深刻化
  • 税関差止件数:33,000
  • 知的財産侵害物品:130万点(前年比増)

→ 模倣品の流通リスクが年々拡大

 

被害の実態

海外  日本へ流入  市場で拡散

  • 国内流通後は回収・対処が困難
  • 権利者に大きな労力・時間・費用負担

 

模倣品拡散を防ぐことが重要

輸入段階での差止が最も効果的  → 輸入差止申立制度

  • 権利者の申立てによって税関の模倣品取締りが簡易迅速化
  • 国内流通を未然に防止

輸入の差止申立ての手続

侵害の事実が存在する場合、あらかじめ税関へ輸入差止申立書を提出することで、模倣品の輸入を迅速に差止めることが可能です。
弊所では、輸入差止申立書および添付資料の作成・提出に加え、差止申立ての更新管理まで一貫して対応いたします。

手続の進め方

輸入差止申立書に必要事項を記載し所定の資料等を添付して、全国9税関のいずれか一の税関に提出することで、全国の税関における取り締まりが可能となります。

実務上は、申立書を正式に提出する前に、税関の知的財産担当官との事前相談を行い、申立書や添付資料の内容を調整します。事前相談の開始から正式な受付・受理に至るまでの期間は、対象となる権利や事案の内容等によって異なりますが、比較的論点の少ない場合であっても、3か月程度を要することがあります。事案によってはさらに長期間を要する場合があります。 税関に納付する申立手数料は無料です。

税関の差止申立手続の流れ


輸入差止申立ての有効期間は税関の受理日から最長4年間です(例えば、4年以内に対象となる商標権が満了する場合は、存続期間の最終日まで)。ただし、有効期間の最終日の3か月前から更新手続を行うことができます。

更新期間は上記と同様に最長4年の希望日までとなります。

手続要件

輸入差止申立ては、商標権、意匠権、特許権、著作権などの知的財産権を侵害する物品について利用することができます。
また、不正競争防止法上の一定の不正競争に該当する物品についても、所定の要件の下で申立てを行うことができます。
対象となる権利等によって要件が異なる場合がありますが、申立てにあたっての主な手続要件は、次のとおりです。

1.申立てを行うことができる者であること

対象となる知的財産権の権利者、専用実施権者、専用使用権者等が申立てを行うことができます。

2.申立ての基礎となる権利が登録されていること

登録によって発生する知的財産権については、原則として権利が登録されている必要があります。出願中の権利に基づいて申立てを行うことはできません。

3.侵害品が輸入されている、または輸入されることが見込まれること

侵害品が実際に輸入されている場合だけでなく、今後輸入されることが見込まれる場合も申立ての対象となります。

4.権利侵害であることを説明できること

申立ての対象となる貨物が知的財産権を侵害するものであることを示す資料を提出する必要があります。

必要書類

輸入差止申立書(税関様式C-5840等)
添付書類

<基本的に必要となる書類>

  • 権利を証明する資料…登録原簿の謄本、商標公報など
  • 侵害の事実を示す資料…模倣品の写真、販売ページ、真正品との比較資料など
  • 識別ポイントに関する資料…税関が真正品と模倣品を見分けるための資料
  • 委任状…代理人に手続きを依頼する場合に必要となります

<必要に応じて提出する書類>

  • 裁判所の判決書等…権利侵害が認められた判決書、仮処分決定書、特許庁の判定書など
  • 鑑定書…弁護士や弁理士などが作成した、侵害の有無に関する資料
  • 警告書・注意喚起資料…侵害者に送付した警告書や、新聞・ウェブサイト等で公表した注意喚起資料
  • 権利に関する争いの資料…対象となる権利について訴訟等がある場合、その内容が分かる資料
  • 並行輸入に関する資料…真正商品の並行輸入に関する説明資料
  • 侵害物品に関する情報…模倣品の輸入が予想される輸入者・輸出者や、侵害物品に関する情報

認定手続における代理対応

税関で侵害の疑いがある物品が発見された場合、権利者または代理人に対して連絡が入ります。弊所では、代理人として税関とのやり取りを行い、必要に応じて意見書や鑑定書を作成・提出いたします。

手続の進め方

認定手続とは、税関で侵害の疑いがある貨物が発見された際に、その貨物が商標権などの知的財産権を侵害しているかどうかを税関が判断する手続です。通常は権利者と輸入者から意見や証拠を提出してもらい判断しますが、輸入者が侵害を争わない場合には、簡素化手続により税関が迅速に認定を行います。2023年10月からは、知的財産権に関する輸入差止申立て貨物のすべてがこの制度の対象となっています。

認定手続の流れ

税関勤務経験を活かしたご提案

弁理士 長坂 剛人

税関勤務経験のある弁理士が、知識と経験に基づいて最適な対応をご提案します。

税関に関する経歴

2015年 東京税関知財センター任期付職員(弁理士上席)
2021年 日本弁理士会貿易円滑化対策委員会委員
2022年 関税法第69条の5等に規定する専門委員候補

セミナー・講演実績

料金

当所手数料:20,000円(税別)/時間
※案件の内容、資料の量、対応範囲により費用が異なります。まずはお気軽にご相談ください。