日本と海外で製品名を使い分けることのメリット|お知らせ|オンダ国際特許事務所

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日本と海外で製品名を使い分けることのメリット

一般的には、日本と海外で同じ製品を異なるネーミングで販売することは、ブランドイメージの統一性が損なわれるおそれがあるため、ブランドマネジメントの観点からは望ましくないとされています。
しかし、必ずしも日本と海外で製品名が異なることがマイナスとは限りません。日本の製品名に縛られなくなることで、ネーミングの自由度が高まり、以下のようなメリットを享受することができます。

 

忌避語を避けやすくなる

日本市場をメインターゲットとして開発された製品には、日本人に好まれやすい名称が与えられがちです。しかし、国や地域によっては、その言葉からネガティブな意味合いを想起させることがあります。そのような場合は、日本の製品名に固執しない方がむしろ得策といえます。例えば、スナック菓子「ポッキー」の日本における英字表記は「Pocky」ですが、同じ綴りの英単語には「痘痕(あばた)だらけの」という意味が含まれるため、欧州圏では別のネーミング(MIKADO)が採用されました。

 

地域特性に合わせやすくなる

一般消費者向けの商品の場合、「親しみやすさ」が重要な要素の一つになるため、あえて販売地で使用されている言語を使ってネーミングするということも可能です。例えば、日清食品は、中国で「カップヌードル」を販売する際、「合味道」という製品名を採用しました(新聞記事によれば、「合味道」には「あなたの好みに合った味」という意味が込められているとのこと)。

もちろん、日本と同じ製品名であることが重視される場合もありますので、ローカライズするかどうかは販売戦略に基づいて慎重に検討しなければなりません。ただし、単に「日本の製品名にネガティブな要素がないので、同じ名称で販売する」という考え方では、貴重な販売機会を逃す可能性があることに注意が必要です。

 

商標権を取得しやすくなる

日本の製品名が海外でもそのまま商標登録できる場合は問題ありません。しかし、国によっては、識別力が認められないか、他人の先願・先登録商標と類似しているなどの理由で商標登録が難しくなる場合があります。事情により、製品名を変更せずに使用し続けることが望まれるケースもあるかもしれませんが、商標権侵害のリスクを考えると、決してお勧めできることではありません。

このような場合も、日本の製品名にこだわらず、商標登録可能な製品名を採用し、商標を安全に使用できるようにすることが重要です。例えば、かつて松下電器産業(当時)は国内で「National」を使用していましたが、海外では他人の先登録商標の存在などの事情から「Panasonic」を使用しました(その後、2008年に社名を「パナソニック」に変更。)。ブランドイメージの統一性も大切ですが、コンプライアンスが重視される現代においては、法的リスクや商標権侵害の危険性を避けることが、企業の安定的な成長と信頼性を確保する上で重要といえます。

 

以上、日本と海外で製品名を使い分ける場合のメリットをまとめました。理想としては、すべての販売国で「ネガティブな意味を持たず」、「需要者に親しまれやすく」、且つ、「商標登録可能」な製品名を採用したいところですが、ネーミングには多くの時間とコストがかかるため、全件を完璧に検討することは難しいかもしれません。ブランドイメージの統一はあくまで原則としつつ、案件によっては、本稿で述べたメリットに注目して柔軟にネーミングされることをお勧めします。