商標審決レポート(INAZUMA)
拒絶査定不服審判 – 最終的に特許庁が識別力を認めた事例(INAZUMA)
2026年9月1日
弁理士 鈴木和弘
| 審判番号 |
不服2024-009220(商願第2023-040094号) |
|---|---|
| 事案の概要 |
– 「INAZUMA」(標準文字)は、「稲妻」をローマ字で表したものと容易に理解される。 – 本願の指定商品を取り扱う業界では、「INAZUMA」、「イナズマ」、「稲妻」の文字及び稲妻を表す図柄が、宝飾品、身飾品、被服、履物等の分野で商品のデザインやモチーフを示すものとして使用されている実情がある。 との認定に基づいて、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者は「稲妻をモチーフとした図柄の商品」又は単なる商品のデザインの一種と認識するにすぎず、自他商品識別標識として認識できないとして、審査官は商標法第3条第1項第6号により本願商標の登録を拒絶しました。 |
| 審決日 |
2025年9月16日 |
| 出願人 |
株式会社ヨウジヤマモト |
| 出願商標 | 商願第2023-040094号
INAZUMA |
| 指定商品役務 |
第14類:宝飾品,貴金属,キーホルダー,身飾品,宝玉及びその模造品,貴金属製靴飾り,時計 |
| 審決の概要 |
本願商標は、「稲妻」をローマ字表記したと解される「INAZUMA」の文字を標準文字で表してなるところ、「稲妻」は、自然現象としての稲妻のほか、「動作の敏速なさま」等の意味を有する語である。 確かに、「稲妻型」「イナズマモチーフ」のように、「稲妻」又は「イナズマ」と「モチーフ」「型」等を組み合わせた語が商品説明に用いられたり、検索用タイトルに羅列される語の一部として「稲妻」「イナズマ」「INAZUMA」が用いられたりする場合はある。 むしろ、「INAZUMA」の文字からは、一義的には自然現象としての「稲妻」又は「動作の敏速なさま」の意味合いを認識させるにとどまる。 以上より、本願商標を指定商品に使用した場合、取引者・需要者は、単なる商品の説明等とみるよりも、「稲妻」ほどの漠然とした観念を伴う自他商品の識別標識として理解するのが自然であり、本願商標は商標法第3条第1項第6号に規定の、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものであると判断する。 |
| コメント |
原審の使用例の多くは「モチーフ」「型」「柄」等を伴い、同文字それ自体の一般的・記述的使用を示しておらず、「INAZUMA」単独では商品の具体的な形状・デザインを直接表示するとはいえないため、本願商標は、自他商品役務の識別標識としての機能を有するものと判断されてしかるべき、との旨の審判請求書での主張が奏功した結果、原審の認定は誤りであるとして審決において出願人の請求が認容されました。 |