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知的財産トピックス

拡大審判部決定 G0001/05, G0001/06

2008.3.4

拡大審判部は、分割出願に関する審判T0039/03、T1409/05において技術審判部が拡大審判部に付託した分割出願に関する法律上の問題について併合審理を行い、特許出願人にとって好ましいと思われる結論を出しました。審判T0039/03(拡大審判部による決定G0001/05に対応)、T1409/05(拡大審判部による決定G0001/06に対応)において提起された問題と、拡大審判部による法解釈の判断を以下に示します。

拡大審判部決定 G0001/05について

審判T0039/03において提起された問題

1-1 分割出願時において親出願の出願時の内容を超えて分割出願がされた場合、出願後にその瑕疵を補正することができるか?

判断
できる。
EPC第76条(1)の立法経緯、ならびに出願人及び第三者間の利益のバランスを考慮した結果、分割出願が親出願の出願時の内容を超えてなされている場合であっても、その事実によって当該分割出願自体が無効となるわけではなく、親出願の出願時の内容の範囲内となるように、分割出願について補正を行うことができる、と結論づけられた。

1-2 1-1の答えが「できる」である場合、先の出願が係属中でなくても補正を行うことができるか?

判断
できる。先の拡大審判部の審決G0004/98では、分割出願の手続は、原則として親出願の手続とは独立しており、新規の出願として取扱われるとされ、分割出願後における親出願における手続の実施又は欠如は分割出願の手続に影響を与えない、と判断された。この判断に基づき、拡大審判部は、親出願に開示された範囲を超えて分割出願時に加えられたsubject matterは、先の出願が係属中であるか否かにかかわらず、補正により削除することができる、と結論づけた。

1-3 1-2の答えが「できる」である場合、EPC第76条(1)(欧州分割出願)及びEPC第123条(2)(補正)の規定について、実体に関するその他の制限があるか?補正された分割出願は、分割出願時において分割出願でクレームアップされなかった先の出願の態様をクレームアップすることができるか?

判断
EPC第76条(1)及び第123(2)に規定される制限以外に分割出願の実体に関する制限はない。よって、分割出願においては、先の出願及び当該分割出願の両方に開示される態様に関し、当該態様が分割出願時のクレームに包含されていなくても、出願後に当該態様をクレームアップする補正を行うことができる。

拡大審判部決定 G0001/06について

審判T1409/05の経緯

図本審判は、曾孫出願A3について請求されたものである。原出願A0及び子出願A1は既に特許が付与されており、孫出願A2は、そのsubject matter及び明細書の記載が親出願である子出願A1の内容の範囲を超えているとして拒絶された。審査部は、曾孫出願A3の明細書が拒絶された孫出願A2の明細書と同一であることから、曾孫出願A3についても分割出願の要件を満たしていないとして拒絶した。



審判T1409/05において提起された問題

2-1 上記のように、EPC出願から派生した分割出願からさらに次々と分割出願がなされている場合、EPC第76条(1)第2文の「欧州分割出願は、元の出願の出願時の内容を超えない対象についてのみ出願することができる」という要件は、各分割出願について、先の各出願とは独立して(すなわち先の出願の拒絶理由や審査結果に拘束されることなく)、当該分割出願の開示が先の各出願の出願時に開示されていた事項から直接的かつ明らかに導き出すことができれば必要かつ十分に満たしているといえるか?

判断
いえる。
分割出願が出願日の遡及効を有するのは、当該分割出願のsubject matterが、すべての先の出願の出願時に開示されており、かつ先の各出願において当該分割出願時までに放棄されていないことを条件とすることが以前の審決に示されている。この要件を満たしていれば、先の出願がEPC第76条(1)の要件を満たしているか否かや、当該分割出願後にその先の出願が維持又は拒絶されたか否かは関係ないと判断された。そして、さらなる要件を付すべき適切な根拠はないとされ、上記要件で十分であると結論づけられた。
また、分割出願の出願日は、当該分割出願が最初の分割出願であるか、あるいは一連の分割出願の一つであるかにかかわらず、その遡及日は最先の出願の出願日であり、先の出願の内容を超えたとされる部分についてその部分が最初に特許庁に提出された日を出願日とすることはない旨が確認された。

2-2 2−1の答えが「いえない」である場合、EPC第76条(1)第2文を満たすためには、
(a)分割出願のクレームのsubject matterは、先の各出願にクレームされるsubject matterに含まれていなければならないこと、又は
(b)分割出願の先の出願群全てがEPC第76条(1)の要件を満たしていることをさらに要するか?

判断
2−1の答えが「いえる」であったため、答えを要しない。

拡大審判部決定 G0001/05, G0001/06の影響について

上記拡大審判部の決定に基づき、審判T0039/03、T1409/05について、それぞれ審査部に差し戻される旨の審決がなされました。

これまで欧州特許実務者は、論議を呼んだ審決 T 0720/02及び T 1158/01に基づき、分割する可能性のあるすべてのクレームを含むように原出願のクレームを起草したり、分割出願から派生する分割出願が発生することのないように、原出願に基づき各分割出願を行う等の手段を講じてきましたが、今後はこのような手段を講じる必要がなくなりました。なお、分割出願及びそこから派生する分割出願において、一度削除された記載に関するsubject-matterはクレームアップできないとの判断が示されているため、分割出願において明細書の一部を削除する補正は行うべきではありません。

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