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参考審決例

飲料容器の特徴的な形状を共通にする商標登録に対する異議申立てにおいて周知性、不正の目的が認められなかった事例

(2013.7.22)

− ナイン エムエム アメリカン ビバレッジ カンパニー(異議申立人) v. ナイン ミリメーター エナジー ドリンク インコーポレイテッド(被異議申立人)   異議2012-900292 (維持決定) −

本件商標(通常商標)

第32類「ビール,ミネラルウォーター,炭酸水及びその他のアルコールを含有しない飲料,果実飲料及び果汁,シロップその他の飲料製造用調製品」

引用標章1(CTM008454688;通常商標)

第32類「Beers; Mineral water, aerated water, other non-alcoholic beverages; fruit drinks and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages」

引用標章2(国際登録1112504号;立体商標)

第32類「Beers; mineral and aerated waters and other non-alcoholic drinks; fruit drinks and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages」

1 引用標章の周知性、著名性について

引用標章は、申立人の業務に係る商品を表す商標として、日本国内において使用されている事実は認められない。また、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表す商標として、2010年から外国において使用されていることは伺えるとしても、引用標章の使用開始から本件商標の登録出願までは1年程しか経過していないこと、申立人は、本件商標の登録出願時及び査定時における、引用標章を使用した商品の取扱い数、販売高等を明らかにしていないことを考慮すると、引用標章は、本件商標の登録出願時及び査定時において、外国における需要者の間に広く認識され、周知性を獲得するに至っていたとは認められないものである。

2 不正の目的について

提出された証拠によれば、商標権者と申立人の関係が明らかではないことから、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであることを認めるに足るものとは認められない。

3 商標法第4条第1項第10号について

引用標章は、上記3(2)のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内の需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。

4 商標法第4条第1項第19号について

引用標章は、上記のとおり、申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、外国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
さらに、本件商標は、上記のとおり、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。

コメント

本件商標と引用商標とは、飲料容器としては極めて特徴的な弾丸を模した形状及び9MMの文字を共通にしており、偶然に一致することはあり得ない。当該形状については、2009年7月28日に異議申立人より欧州共同体(CTM)に出願され(引用商標1、2012年7月25日登録)、やや遅れて、2009年10月28日にハンガリーの出願人により我が国を指定国に含む国際商標登録出願がされ(基礎出願は2009年9月23日付けのハンガリー出願M09 02717)、これは登録査定がされたものの料金未納により取下とみなされている(二段階納付を失念ないし放置したと思われる)。本件は、その後、2011年10月20日に本件出願人により出願されたものであり、さらに、これに遅れて、2012年3月8日に異議申立人により国際商標登録出願がされ、2012年9月24日に我が国が事後指定されている(引用商標2、現在出願係属中)。異議申立人の提出した証拠によれば、異議申立人は本件商標と同じ形状を有する商品を遅くとも2010年から欧州において販売していたようであり、本件出願人と異議申立人との間にも何らかの関係があったようでもある。このような経緯及び商標形状の共通性からすれば、本件出願は、本件商標が我が国で登録されていないことを奇貨として不正の目的で出願された可能性が疑われる事案ではないかと思われる(ただし、ハンガリー出願人、本件権利者、異議申立人の関係は不明)。記録によれば、本件はストレートで維持決定がされている。たしかに、販売期間が短いこと、異議申立人が販売高等を明らかにしていないことからすれば、引用商標を周知と認めることは困難であったかもしれない。しかし、本件はいずれかが模倣ないし剽窃して出願していることは明らかであり、真実発見、公正な権利の実現の要請からは、異議申立てといえども、審尋や口頭審理等を活用して、追加の証拠の提出を促し、もう少し充実した審理を行うべきではないかと思われる。