ネーミングテクニック2|トピックス|オンダ国際特許事務所

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ネーミングテクニック2

ネーミングに「正解」はなく、それゆえ難しいのですが、特に難しいのが、「効果・効能」や「品質」をアピールする場合のネーミングです。以下のケースを例にとって検討してみましょう。

衛生用品メーカーのX社で、新製品が開発されました。殺菌効果が高く、しかし肌には優しいというハンドジェルです。主な卸先は大手のドラッグストアです。競合製品が多いので、営業部としては、なるべく分かりやすい名前を付けて、気軽に手にとってもらえるようにしたいと考えました。そこで、営業部の責任者Aさんは、商標の権利化業務を担当する知的財産部のBさんに、以下の名前で商標登録を行うよう依頼しました。

「殺菌保湿ジェル」

確かに、分かりやすい名前です。しかし、知的財産部のBさんは、これまでの経験から、商標登録は不可能であると思いました。名前があまりにもストレート過ぎるためです。

BさんはAさんにネーミングの再考を依頼しましたが、良い案が出ないまま、パッケージ印刷の期限が迫ってきました。このままでは販売計画に影響が出てしまいます。やむなく、Bさんはこのネーミングを引き受けることにしました。さて、この難局を乗り越えるためには、どうすればよいでしょうか。

おかしな言い方かもしれませんが、「分かりやすく、ストレートな名前」は、原則として商標登録を受けることができません。「分かりやすさ」は重要ですが、商標登録を受けるためには、「商品又は役務の特徴等を間接的に表示するもの」と捉えられる程度まで「ひねる」必要があります。ここではその「ひねり方」について、上記の商品名を例にとって考えたいと思います。

まず、全くの別案を考えるには時間的余裕が無く、極めて困難です。そこで、ネーミングの難易度を下げるために、これを要素毎に分解します。本件の場合、「殺菌」「保湿」「ジェル」の3つの要素に分けることができます。

次に、アピールしたい部分を考えます。これは商品の特長や、消費者のニーズ等によって異なります。本商品では『肌に優しい』ことをアピールしたいと考えており、原案では「保湿」という言葉を使ってその効果を表現しています。

「殺菌」と「ジェル」はそのまま残すとして、この「保湿」の部分をどうにかすれば、商標登録できるかもしれません。そこで、以下の方法で考えてみることとします。

  1. 『肌に優しい』という言葉から連想される言葉を列挙する。
    「しっとり」「なめらか」「うるおう」「つやつや」「さらさら」「つるつる」「やわ肌」「たまご肌」
  2. 1で挙がった言葉を組み合わせる。
    うるおい+つやつや → 「うるつや」
    つるつる+やわ肌  → 「つる肌」
    たまご肌+さらさら → 「たまさら」
  3. 2で合成された言葉をGoogle検索にかけて、一般に使用されているかどうかを確認する。
    今回は、ネーミング単体の検索ではノイズが大きかったため、「ジェル」を組み合わせて検索。
    「うるつや」+ジェル → 約 239,000 件
    「つる肌」+ジェル  → 約 119,000 件
    「たまさら」+ジェル → 約 105 件

この結果なら、「たまさら」については、「商品又は役務の特徴等を間接的に表示するもの」と捉えられる程度に「ひねる」ことができたといえるでしょう。商標登録を受けるためにはさらに「他人の商標との類似」の問題もクリアしなければなりませんが、まずは商標調査を行うに値する程度の名前ができあがったのではないかと思います。

「殺菌たまさらジェル」。この名前の良し悪しはさておくとしても、上記の考え方は、多くのネーミングの場面で役に立つのではないでしょうか。他のテクニックも、別の機会にご紹介したいと思います。