「暫定的拒絶通報」とは?|トピックス|オンダ国際特許事務所

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「暫定的拒絶通報」とは?

マドプロ出願(マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願)は、各指定国の官庁にて、その国の国内法に基づいて審査されます。

各指定国は、指定通報日から12ヶ月(国によっては18ヶ月)以内に審査結果を通知しなければなりません。そして、出願商標が拒絶理由を有する場合、官庁は、国際事務局を通じて、出願人(又は代理人)にその旨を通知します。これを「暫定的拒絶通報」といいます(指定期間内に何も通知がない場合は、保護が認められたものとみなされます。)。

「暫定的拒絶通報」は、日本の審査における拒絶理由通知に相当するものといえます。そのため、商標の保護を目指す場合は、暫定的拒絶通報に記載された拒絶理由を解消しなければなりません。また、出願人(又は代理人)が官庁に対して直接手続きを行うことができない国の場合は、現地代理人を選任して対応しなければなりません。

現地代理人を選任して対応する場合は、その費用が追加発生するため、出願人のコスト負担が増えるというデメリットがあります。しかし、もちろんメリットもあります。それは、拒絶理由を解消するための方策について、その国の審査実情に通じた専門家(=現地代理人)からより良い提案を受けることができる、ということです。そのおかげで、反論の成功率を高めたり、減縮補正の範囲を最小限に抑えたりすることができます。

たとえば、外国法人が、日本を指定国とするマドプロ出願を行ったところ、商標法第3条第1項第3号で拒絶されたとします。暫定的拒絶通報を読めば、審査官の判断理由を知ることはできますが、当然ながら、どのように反論すれば良いかということは記されていません。条文には、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、(中略)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録を受けることができない旨が記載されていますが、これだけを読んでも、日本の商標法を知らない外国法人には、どのように反論すれば良いか、そのポイントはわからないでしょう。

しかし、日本の審査実情に通じた専門家(=弁理士)は、商標法第3条第1項第3号の審査基準において、「商標が、商品又は役務の特徴等を間接的に表示する場合は、商品又は役務の特徴等を表示するものではないと判断する。」と定められていることを知っています。これが反論ポイントです。つまり、今回の拒絶理由を解消するには、「本願商標は、商品又は役務の特徴等を間接的に表示するものである」ということを、相応の根拠をもって主張すれば良いのです。そうすれば、反論の成功率を高めることができます。

同じことが、日本法人によるマドプロ出願についてもいえます。
暫定的拒絶通報には、拒絶の理由と、根拠条文が記されています。条文については、ネット検索を行えば、具体的な内容を知ることができるでしょう。WIPOが提供するMadrid Member Profilesで調べれば、さらに詳しい情報を得ることができるかもしれません。しかし、それだけでは肝心の「反論ポイント」を見つけることは困難です。もちろん、審査基準を調べ、主要判決を読み込み、最近の審査実情等を把握するために十分な時間を掛ける余裕があるなら良いのですが、法定期限があるため、限られた時間の中で急いで検討しなければなりません。だからこそ、その国のスペシャリストである現地代理人に頼るメリットがあるのです。

商標制度は国によって大きく異なるため、日本の感覚で反論や補正を行ってしまうと、成功率を著しく低下させてしまったり、必要以上に権利範囲を狭くしたりするおそれがあります。現地代理人を選任して対応することになった場合は、むしろ好機と思って、経験豊富な現地代理人の提案を参考にされると良いでしょう。