マドプロ出願における商標調査の重要性|トピックス|オンダ国際特許事務所

マドプロ出願における商標調査の重要性|トピックス|オンダ国際特許事務所

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マドプロ出願における商標調査の重要性

 前回の記事では、海外で商標を保護するための2つの出願方法についてご紹介しました。特に重要なポイントをまとめると以下のようになります。

  • 直接出願  …出願費用は高いが、出願前に現地代理人のアドバイスを受けられる
  • マドプロ出願…出願費用は安いが、出願前に現地代理人のアドバイスを受けることができない

 コスト面で優れたマドプロ出願ですが、「出願前に現地代理人のアドバイスを受けることができない」ことによるデメリットとはどのようなものでしょうか。具体例は以下の通りです。


①絶対的拒絶理由(主に識別力の欠如)に該当することに気付けない

→例えば、出願に係る商標が、商品・役務の品質等を表示するに過ぎないことを理由に、商標登録を拒絶されることがあります。意見書による反論の機会がありますが、現地で一定の知名度を獲得しているなどの特別な事情が必要となることもあるため、拒絶の克服は決して容易なことではありません。

その他、たとえば以下の(標章からなる)商標の登録を認めない国もあります。

(例)

  • 日本語文字(漢字、片仮名、平仮名),現地の需用者が認識できない文字/ベトナム
  • 一語として発音できない英語の羅列(ABC,KHT)からなる商標/タイ,ロシア
  • 会社形態を表す語(株式会社,~Corporation,~Co., Ltd.等)を含む商標/タイ
  • インド国民の階級や階層又は宗教的感情を傷つける恐れがある標章/インド

 

②登録できない商品・役務を含んでいることに気付けない

→問題のある商品・役務を削除すれば解消できますが、それが重要な商品・役務であった場合は、マドプロ出願自体が無駄になってしまいます。

(例)

  • アルコール飲料/イラン,スーダン
  • 「薬品の小売」以外の小売等役務/中国

 

③指定商品・指定役務の書き方が不適切なことに気付けない

→問題のある商品・役務を補正することで解消できますが、その対応のために審査期間が長引いたり、追加費用が掛かったりします。

(例)

  • 原則として括弧書きを認めない/米国
  • 包括的な商品記載を認めない/米国
  • 複数の指定商品をandで列挙することを認めない/タイ

※暫定的拒絶通報後に保護認容声明が通知された案件における「商品等の表示が不明確」である旨の拒絶理由を含む案件の割合は、米国が約98%と突出して高く、次いで韓国・シンガポール・英国・イスラエルが約80~90%です。一方、中国・フィンランド・EUは5%未満であり、国によって大きなバラツキがあります。(出典:一般社団法人日本国際知的財産保護協会作成「マドリッド協定議定書の利用促進の観点
からの調査研究報告書」平成28年3月)


 

 マドプロ出願を利用する場合であっても、出願前に商標調査を実施すれば、大抵の問題は確認することができます。しかし、手軽なスクリーニング調査では不十分です。同じ文字列を含む商標を抽出することはできますが、対象国の商標法や審査基準等に通じていなければ、問題に気付くことは難しいでしょう。
 直接出願においても、商標調査は重要です。しかし、商標調査を行う前であっても、出願しようとする内容に明らかな問題があれば、現地代理人が注意喚起してくれることがあります。マドプロ出願は、現地代理人を介さない分、出願時の費用を安く抑えることができますが、このような現地代理人の気付きを期待できないことに留意する必要があります。

 これらの事情を踏まえて、マドプロ出願の成功率を高める方法を整理しますと、まず日本を含む全ての出願予定国において「絶対的拒絶理由」に該当しない商標を選択することが極めて重要です。ネーミングの際は、商品やサービスの内容を想起させるような言葉は控え、なるべく造語を創作することをお勧めします。
 次に、プロによる商標調査を行います。外国分については各国の現地代理人に依頼し、評価を確認されることをお勧めします。慎重に検討し、できる限りリスクを小さくすることが重要です。

 弊所は、外国商標出願を取り扱う特許事務所として、マドプロ出願について一定以上の知見を有していると自負しております。しかし、各国の商標法・審査基準・審査実情等に通じた現地代理人の知識と経験に勝るものはありません。ご相談案件によっては、種々の事情により商標調査を実施されないこともありますが、出願の成否は、どのような商標を選ぶかによってほぼ決まると言っても過言ではないため、できるかぎり商標調査を行い、少しでも商標登録の可能性を高めて頂ければと願うところです。