【ドワンゴ対FC2】最高裁がFC2の特許侵害を認定|お知らせ|オンダ国際特許事務所

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【ドワンゴ対FC2】最高裁がFC2の特許侵害を認定

2025年3月3日、動画投稿サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ(東京)が、FC2(米国)を訴えた2件の訴訟の上告審で、FC2側の上告が最高裁により棄却されました。これはドワンゴが日本で取得した特許について、FC2社が海外サーバーで類似サービスを提供した行為が、日本の特許権侵害に当たるかが争われていたものです。これにより、ドワンゴの勝訴が確定しました。

本件については、過去に、当所所属の二宮弁理士による関連の判例レポートを当WEBサイトに掲載しています。メールマガジン「PATENT MEDIA オンライン」にご登録いただいている方は全文をご覧いただけますので、ぜひご登録ください。

限定公開【判例研究】属地主義に関する判例紹介【その1】(令和元年(ワ)第25152号 特許権侵害差止等請求事件) | 弁理士法人オンダ国際特許事務所

限定公開【判例研究】属地主義に関する判例紹介【その2】(平成30年(ネ)第10077号 特許権侵害差止等控訴事件) | 弁理士法人オンダ国際特許事務所


(以下、弊所二宮弁理士による追記(2025年3月11日)) 

 2つの判例について、以下の点について、問題となった内容でした。

  • 我が国の領域外に所在するサーバと、領域内に所在する端末とを含むシステムを構築する上告人の行為についての、特許法2条3項1号にいう「生産」の該当性
  • 我が国の領域外から領域内にインターネットを通じてプログラムを配信する上告人らの行為についての、特許法2条3項1号にいう「電気通信回線を通じた提供」及び同法101条1号にいう「譲渡等」の該当性

 内容をまとめると、以下の点が判示されて、本件配信による本件システムの構築は、特許法2条3項1号にいう「生産」に当たるというべき、本件配信は、特許法101条1号にいう「譲渡等」に当たるというべき、と判示されました。

  • システムの構成の一部であるサーバが我が国の領域外に所在する場合、システムを構築するための行為やそれによって構築されるシステムを全体としてみて、当該行為が実質的に我が国の領域内における「生産」に当たると評価されるときは、これに我が国の特許権の効力が及ぶと解することを妨げる理由はないというべきである。
  • プログラム等が、電気通信回線を通じて我が国の領域外から送信されることにより、我が国の領域内に提供されている場合、問題となる行為を全体としてみて、実質的に我が国の領域内における「電気通信回線を通じた提供」に当たると評価されるときは、当該行為に我が国の特許権の効力が及ぶと解することを妨げる理由はないというべきである。そして、この理は、特許法101条1号にいう「譲渡等」に関しても異なるところはないと解される。

 そのため、システムを構成するサーバなどの一部が我が国の領域外に所在するからといって、ただちに我が国の特許権の効力が及ばないわけではない、という点が判示内容から明らかになったといえます。

 これらの詳細について、以下のように判示されています。詳しい内容は、弊所岡田弁理士伊東弁理士のレポートをご覧ください。

  • 電気通信回線を通じた国境を越える情報の流通等が極めて容易となった現代において、サーバと端末とを含むシステムについて、当該システムを構築するための行為の一部が電気通信回線を通じて我が国の領域外からされ、また、当該システムの構成の一部であるサーバが我が国の領域外に所在する場合に、我が国の領域外の行為や構成を含むからといって、常に我が国の特許権の効力が及ばず、当該システムを構築するための行為が特許法2条3項1号にいう「生産」に当たらないとすれば、特許権者に業として特許発明の実施をする権利を専有させるなどし、発明の保護、奨励を通じて産業の発達に寄与するという特許法の目的に沿わない。そうすると、そのような場合であっても、システムを構築するための行為やそれによって構築されるシステムを全体としてみて、当該行為が実質的に我が国の領域内における「生産」に当たると評価されるときは、これに我が国の特許権の効力が及ぶと解することを妨げる理由はないというべきである。
  • 電気通信回線を通じた国境を越える情報の流通等が極めて容易となった現代において、プログラム等が、電気通信回線を通じて我が国の領域外から送信されることにより、我が国の領域内に提供されている場合に、我が国の領域外からの送信であることの一事をもって、常に我が国の特許権の効力が及ばず、上記の提供が「電気通信回線を通じた提供」(特許法2条3項1号)に当たらないとすれば、特許権者に業として特許発明の実施をする権利を専有させるなどし、発明の保護、奨励を通じて産業の発達に寄与するという特許法の目的に沿わない。そうすると、そのような場合であっても、問題となる行為を全体としてみて、実質的に我が国の領域内における「電気通信回線を通じた提供」に当たると評価されるときは、当該行為に我が国の特許権の効力が及ぶと解することを妨げる理由はないというべきである。そして、この理は、特許法101条1号にいう「譲渡等」に関しても異なるところはないと解される。
参考情報

グローバル通信時代の特許権の効力とは(ドワンゴvsFC2最高裁判決) | 弁理士法人オンダ国際特許事務所
ネットワーク関連発明等の保護に関する制度的措置の見直しについて | 弁理士法人オンダ国際特許事務所