女性活躍社会3|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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女性活躍社会3

1.はじめに

 女性が活躍するには会社としてどのような施策が必要か、という点について、広島県が役立つガイドラインを示しています。本号においては、そのガイドラインをダイジェストしながら引用させていただき、それらの項目が筆者の事務所ではどうなっているかをコメントします。そして、筆者の事務所において活躍してもらっている女性に登場してもらい、その活躍の一端を説明してもらいます。

 

2.女性活躍のためのガイドライン

 

2-1)ガイドライン1(女性従業員のキャリアデザイン形成)

 ガイドラインでは「女性従業員の能力や適性を活かし、より活躍を促すためには、キャリアパス(注1)を『可視化』し、女性従業員の やる気を引き出すことが重要です。女性従業員自身の意識改革とともに、上司である管理職等が理解して育成、サポートしていくことも必要です」と記述しています。

 そして、具体的な施策として、

①多様なロールモデルを提供する

②種々の相談に乗れるようにメンター制度を採用する

③研修制度を充実させて、中長期的なキャリアを考えるセミナー、スキルアップセミナー、女性マネジャーとの交流会を開く、産休、時短勤務に関する情報を明らかにする

などを挙げています。

 筆者の事務所においては、キャリアパスの可視化のための具体的な文書はまだ作成できていません。技術職については、職能について、階級を多段階設けて、能力の上昇にともなって階級を上げていくという制度が実行されています。

 筆者の事務所は、開業53年を経過していることから、事務職員として採用された女性所員が、能力を買われて技術職に変わって外国関連の特許実務に従事し、昨年65歳の定年を迎えたという事例が出ました。彼女は引き続きフルタイムで継続雇用されています。このケースは誰もが認識しうるロールモデルだといえるでしょう。

 また、10年以上勤務している女性所員が約80名、そのうち20年以上勤務している女性所員が約30名、さらに30年以上勤務している女性所員が1名います。彼女たちはまさに現実のロールモデルであり、新人所員にとっては自分のキャリアパスを予見する格好の材料となるでしょう。

 

注1:キャリアパスとは、どのような仕事をどれくらいの期間経験し、どの程度能力が身につくとどのポストに就けるのかを明確化したもの(エン・ジャパン株式会社「エン転職」ホームページより)

 

2-2)ガイドライン2(女性従業員のキャリアアップに向けた育成)

 ガイドラインでは「女性管理職を増やすには、女性従業員に対してもキャリアアップの機会を積極的に与え、意欲・能力を引き出し、管理職としても活躍できるように育成することが必要です」と述べています。

具体的には、

①実質的な男女均等の取扱いを実現する

②キャリア初期の段階で「仕事が面白い」と感じるような経験、成功体験を積ませる

③上司や先輩などが継続的に女性従業員を支援する体制、高いモチベーションを持てる職場をつくる

 筆者の事務所において、男女差別は全くないと確信しています。キャリアアップは実力次第です。

 仕事が面白いと感ずるような体験には、おおいに心当たりがあります。筆者の事務所ではQCサークル活動が35年間にわたって行われています。新人でも2、3年以内にはQCサークルのリーダーが当番のように回ってきます。そこでは自分がリーダーになって、改善作業を進めます。改善が進み仕事が楽になったり正確になったりします。自分が職場環境を改善することにチャレンジして、それを実現していくのですから、やり甲斐のある面白い仕事といえるでしょう。若手がQCサークル活動でリーダーを務めて、所内の発表会で金賞銀賞を獲得したケースも多数出ています。

 新人に対する支援体制という点では、組織的なものはありませんが、OJTでは、丁寧に後輩を指導するという雰囲気は整っています。QCサークル活動は皆で一緒に向上するという活動なので、必然的に後輩に対する指導が熱心に行われることになるのです。

 

2-3)ガイドライン3(パート、アルバイト従業員の戦力化)

 ガイドラインでは「非正規従業員に対する教育制度を整え、キャリアパスを提示し、能力・経験にあった裁量権限を与えるなどして、やる気を引き出します」と述べています。具体的には、

①パート、アルバイト従業員にも教育の機会を設け、能力開発を支援する

②非正規従業員向けの人事制度を整備し、正社員化を含めキャリアパスを提示する

が挙げられています。

 筆者の事務所では、非正規従業員は非常に少ないのですが、一般所員と分け隔てなく、QCサークル活動への参加をはじめとして、セミナーや交流会への参加を認めるとともに、教育の機会を与えています。そして、条件が整えば正規の所員として採用しています。

 ただ、非正規の所員に対する決められた人事制度やキャリアパスの提示は未だの状態です。

 

2-4)ガイドライン4(管理職へのキャリアアップ意欲を高める)

 ガイドラインでは「女性従業員が持つ管理職への不安を払拭させ、前向きにチャレンジする意欲を持つことへの支援を行います」とあります。具体的には

①社内外で女性ネットワークを構築し、悩みを共有したり、視野を広げたりする場を設ける

②メンター制度等により、管理職候補者を個別サポートする

③管理職へのハードルを下げるポジションや役割を作り少しずつマネジメントの経験を積む

が挙げられています。

 筆者の事務所では、3項目ともまだ初期の段階です。QCサークル活動では他部門の職員と共同で活動することもあります。わずかな所内ネットワークといえるでしょうか。女性向けに限定したものではありませんが、今年からメンター制度を新入所員向けに作り、また部門長の下にグループ長制度が設けられています。
 

2-5)ガイドライン5(多様な人材の活躍を促す人事制度の見直し)

 ガイドラインでは「性別や年齢などの属性や働き方に関わらず活躍する組織づくりに向け、給与や処遇、評価制度を見直し、公正な運用が行われるようにする」となっています。具体的には、

①等級、評価、報酬を連動させた透明性の高い人事制度を構築する

②社内にある多様な働き方のいずれからでもキャリアアップできる人事制度とする

 筆者の事務所では部門長からの申告に基づいて、本部長会議において、等級やボーナス、報酬の査定が行われます。概ね透明性は確保されていると思います。②については明確なものは実行されていません。

 

2-6)ガイドライン6(就業継続・両立支援制度の整備と見直し)

 ガイドラインでは「長期間の育児休業や短時間勤務等でキャリアアップの機会が失われないようにすることを考慮する」となっています。

 このガイドラインは非常に具体的です。要するに出産に伴う育児休業、キャリアブランクを短縮するための短時間勤務制度の充実、さらに、介護に対する支援体制の充実を指摘しています。

 筆者の事務所では、ほぼ完ぺきにこれらの制度は実行されています。最近では男性職員が育児休暇を取るという事例も複数発生しています。

 

2-7)ガイドライン7(上司である管理職層の意識改革)

 ガイドラインでは「既存の男性を中心とする管理職層に対し、経営戦略上の女性活躍の意義重要性などについて理解を促し、多様性を活かすマネジメントスキルを学ぶ研修等を実施する」ことが挙げられています。具体的には

①既存管理職に対する女性活躍に関する研修

②女性従業員に対するマネジメント研修

③経営のトップが女性管理職活躍の重要性について発信すること

 筆者の事務所においては、マネジャー研修は外部の講師を招いて行われていますが、特に女性活躍に関する研修は未だの状態です。②も行われていません。③については経営のトップとして、女性の優秀さは十分理解していますので、その意識は十分持っていますが、それをどんどん発信しているかといえば未だの状態です。反省するとともに実行していきます。

 

2-8)ガイドライン8(フラットな職場環境の整備)

 あらゆる仕事について、男女差をなくすという意味です。お茶出しや掃除は女性、営業や運転は男性というような性別による役割分担をなくしていこうということです。体力的に女性は無理という仕事もハード面の工夫を、心理面の障害についてはソフトの工夫によりフラット化しようということです。具体的には

①清掃やお茶出し等、特定の業務の性別分業をなくすことから社内の意識を変える

②働きやすい環境整備を常に検証しアップデイトし、改善を続ける

 筆者の事務所では、お客様へのお茶出しについては、女性が多い総務部の担当になっているため、大方女性が担当しています。所員に対するお茶くみはありません。所長以下全員が自分ですることになっています。その他の仕事はフラット化されているといっていいと思います。ただ、事務方には女性が圧倒的に多いし、実務方には圧倒的に男性が多い状態が続いています。

 

2-9)ガイドライン9(女性従業員を新しい領域で採用する)

 ガイドラインでは「これまで採用していなかった職域で新たに女性を採用する場合、まず、自社の状況を把握し、課題分析をしっかり行うことが必要です。その上で、必要な人材像・スキル要件、活躍できるポストを具体的に描き、女性向けのインターンシップや説明会などで、自社の魅力をアピールし、採用拡大につなげます」としています。具体的には

①女性が活躍できる領域や、活躍するための方法を再検討し、積極的に女性の採用を進める

②自社の魅力を整理し、応募者のニーズに訴求する工夫を行う

が挙げられています。

 筆者の事務所においては、あらゆる部門に女性が配属されています。そして、必要があるときは各部門からの要望で、常に男女問わず、採用が行われます。特許部門で技術系の実務に携わる女性は男性と比較すると少数ですが、彼女たちは大変優秀です。

 筆者の事務所では理系出身の女性の採用にはおおいに注力しています。しかし、絶対数が少ないため、採用は簡単ではありません。

 技術開発業務に携わっている女性が、産休を取るとします。産休明けに元の職場に戻ることは非常に難しいのが現状ではないかと思われます。職場復帰ができたとしても、元の職場とは別のところということも多いでしょう。その点、当所の場合、例外なく元の職場に戻ることができます。

 女性が子育てと仕事を滞りなく両立させるには、特許事務所は理想的な職場といえます。

 

2-10)ガイドライン10(女性活躍を効果的に進める体制の構築)

 ガイドラインでは「継続的かつ効果的に取り組むために、経営層がリードして、自社に適した推進体制を構築することが重要です。経営へのメリットや意義を踏まえた方針や目的から推進計画を策定し、その進捗状況を経営層がモニタリングし、着実に実行できるような仕組みをつくります」となっています。具体的には、

①トップが旗振り役となり、率先して進める。

②新たに専任部署やプロジェクトチームを作り、主導的に進める。

 筆者の事務所では、①②のような積極的活動は行われていません。ただ、従業員の募集についてはいかに新卒中途採用を効果的に進めるかを、数回にわたってQCサークル活動で研究しました。そして、インターンシップの在り方として、できる限り新人が入所後行う実務に近いことを体験できるようにしたり、就職ガイダンスにはベテラン所員のみならず、若手所員も出席させるなどの対策を取っています。

 

 

3.どんな女性が活躍しているか

 本号においても、筆者の事務所における女性活躍社会にふさわしい4名に登場していただきます。

 
Yさん(意匠部 弁理士)

入所のきっかけ等

 2013年10月1日に入所して以来、意匠担当の弁理士として国内外における権利化実務を担当しております。前職はメーカーの知的財産部で契約等の渉外案件や特許の権利化業務に携わっていました。

 新卒から長く一つの企業に勤めていましたので、違う世界を見たいという気持ちと、大企業の中の一端ではなく、弁理士として自分の名前で仕事がしたい、という気持ちから転職を決め、縁あってオンダ国際特許事務所に入所いたしました。

 弁理士として仕事をするからには勉強し直さなければ、と思い、京都芸術大学通信教育部の建築デザインコースを卒業し、二級建築士の資格を取得しました。

 

仕事でつらかった・嬉しかった思い出

 意匠法では従来、建築物は保護対象ではありませんでした。ところが2020年4月、意匠法の大改正があり、なんと建築物が意匠法で保護できるようになったのです。

 2020年の年明けごろから、いち早く建築物や内装の出願をしたいという敏感なお客様方から、ご相談を受けるようになりました。

 新しい分野なので、我々もお客様も初めての経験です。新しい審査基準はなかなか公表されず、正確な情報が得られない中で、どのような出願をすべきかお客様と何度もご相談を重ねました。所内でも上司と相談しながら試行錯誤を繰り返し、図面や事務の担当者にあれこれ無理をお願いしなければなりませんでした。

 そんな中で前代未聞のコロナ感染症が世界を襲い、突然在宅勤務となってしまったのです。お客様とも所内ともコミュニケーションがとりにくくなり、この頃は精神的にかなり切迫して追い込まれた気分になったことを覚えています。

 ところが人間とは調子のいい生き物で(私が調子いいだけという説もあります)、この頃に出願した意匠が登録に至った現在では、あの頃つらかったことは全て美しい思い出に変わっております。

 創作者の方から直接デザインコンセプトを教えていただいてワクワクしたり、意匠的な特徴について知的財産部のご担当者と話し合ったりすることで、刺激を受け、建築っていいなあ、好きだなあ、と改めて建築デザインへの愛を確認することができました。

 上司や仲間に助けていただき、たくさんの力を集結してお客様のために苦労したことを思い出すと、感謝の気持ちでいっぱいになります。

 マラソンでも、大会までの準備と、当日42.195キロを走っている間は苦しくてつらいのですが、終わってしまうと楽しかった気持ちしか残らず、寒い中ボランティアの方々がたくさん応援してくれたことを思い出して感謝で幸せな気持ちになる、というのと似ているかもしれません。

 

QCサークル活動について

 これもまた2020年の活動です。コロナ感染症の影響で、出願面談、研修会の開催など対面でのコミュニケーションができなくなったことに危機感を覚え、新しいコミュニケーションの取り方を模索するQCサークル活動を行いました。

 具体的には、それまでも行っていたホームページやニュースレターなどの発信を、更に強化して情報発信を続けること、また、新たな取り組みとして、オンラインセミナーを開催すること、です。

 特に、オンラインセミナーについては当所としても初めての取り組みであったことから、プラットフォームの検討からお客様への案内、実際の運営をどうするか、などゼロからのスタートとなり、部門をまたいだ横断的な活動となりました。

 オンラインセミナーは改正意匠法について異なる内容で7回無事に開催することができ、開催して満足するだけではなく、セミナー動画のアーカイブを保存してお客様に閲覧可能とするなど、その後につながる活動を心がけました。

 セミナー開催後は、コロナの影響で落ち込んでいた受任件数が元の水準に戻るなど、一定の成果があったと考えます。

 これらの活動について、専用業者などに依頼することなく全て自分たちで取り組んだため苦労がありましたが、QCサークルメンバーだけではなく他部署のみなさんの多大なお力添えで、何とかやりきることができました。

 ここでもまた思い出すと感謝の気持ちでいっぱいになります。

 

女性の仕事と職場について

 これまで、自分が仕事をしてきている範囲では、女性と男性との違いを感じたり、女性ならではの苦労を感じたりしたことはあまりなく、現在も概ね毎日幸せに仕事をしています。

 特に現在の職場は女性が多いので、周りのみなさんの思いやりを強く感じます。誰かが突然の子供の発熱で休暇すれば周りが全力でフォローしますし、時短勤務や育児休暇などに冷たい目が向けられることなど考えられません。

 女性に限らず男性も含めて、当所は温かい職場であると思います。個人的にとても気に入っているのは、所内の会話でもお客様のことを「XX様」「XXさん」と会社名に敬称をつけて呼んでいるところです。

 法律事務所や会計事務所など、いわゆる士業では、お客様のことを「クライアント」と呼ぶことの方が一般的だと思いますので、入所当時「さん付け文化」に感激したことを覚えています。

 日本の社会全体ではジェンダーに関する問題があり、何か自分ができることはないか、と考えさせられることも多いです。

 でも今自分にできることは、日々の仕事に真摯に取り組み、お客様や職場の仲間に貢献することしかありません。今後も感謝の気持ちを忘れず頑張りたいと思います。

 

Gさん(知財戦略支援部)

入所について

 オンダ国際特許事務所に新卒入所して、今年ちょうど20年が経ちました。

 私は、岐阜市生まれ岐阜市育ち、岐阜の自然豊かなところが大好きで就職もぜひ地元でしたいと考えていました。…とは言っても、就職氷河期世代。岐阜市にあるオンダ国際特許事務所に就職できたことは運が良かったと感じています。

 

仕事内容について

 情報サービス室(現:知財戦略支援部)に配属が決まり、すぐに特許法勉強会が行われました。大学時代、理系だったためか知財関連の講義がなく、全く知財とは無縁の学生生活でした。そのため、基礎勉強会と言っても一から学ぶことばかり…。仕事から帰宅後、テキストを復習しながら必死に勉強しました。

 入所当初の仕事内容は、請求書発行や発送などの事務作業、SDI調査、パテントマップ作成、ホームページ作成、パテントデータベース構築など、入社から5~6年は色んな業務経験をさせていただきました。ただ、ルーチンな仕事内容だったため、少し物足りなさも感じていました。

 その思いを察知(?)した当時の上司が、特許調査実務をやってみないか?と声を掛けてくださったのが1回目の育児休暇明けから少し経った時でした。子供がまだ小さく、保育園迎えのため定時ダッシュは必須でした。しかし、ずっとやってみたかった仕事だったため、「ぜひ、頑張らせてください!」と即答をしたのを覚えています。でも実際にやってみると特許調査と言っても奥が深く、特許分類やキーワード選定、調査対象に対する検索式のアプローチ方法など、そう簡単にはいきませんでした。

 予備検索を行い、検索式を検討して上司にチェックしてもらうと、

「調査対象に対する技術理解や予備検索があまい。」

「概念の掛け合わせが違っている。多観点なアプローチになっていない。概念の二重がけになっている。」

「この特許分類を使った理由は?なぜこちらの分類を使わなかったのか?分類が持つ概念が理解できていない。」

「キーワード展開が足りない。類義語がまだ他にもあるだろう?」

など、本当に沢山のダメ出しを受けました。

 フィードバック=上司の調査スキルを盗むチャンスだと思って、頑張ったのを覚えています。特許調査は、自分の専門分野以外の案件を担当することが多々あります。そのため、ノーチェックとなった今でもアプローチ方法に悩むことが多々あるため、こんな時には初心に立ち戻って予備検索にじっくり時間を掛け、漏れの少ない調査範囲の設定に努めています。

 また、仕事から帰宅し、一日の家事も終わってくつろいでいる時、ハッと気付くとスマホで調査案件の関連ニュースを見たり、J-platpat(特許情報プラットフォーム)で簡易な仕事の予備検索をしていることがありますが、会社で検索している時と違い、リラックスした気分で検索するため、キーワード検索のみでも「おっ!」と思う記事が出てくることもあります。頭がリラックスできていないのでは?と思われるかも知れませんが、のんびり寝転がりながら検索するこの時間が好きです。また、集中して類似するニュースばかりをネット検索・閲覧していると、上位に関連記事があがってきたりもします。食品や生活用品の場合、関連する他社製品を試してみたい衝動にかられ、ネットショッピングも増えます。他社状況の把握という意味では少し役に立っているのかもしれませんね。

 

QCサークル活動について

 調査業務に関連するQCサークル活動をたくさん行ってきましたが、その中で一番思い出に残っているのは、私自身がリーダーとして取り組んだ「調査業務に付随する事務的作業の効率化」に関する活動です。抽出公報一覧表のデータを成形したり、公報ハイパーリンクを設定するマクロプログラムを一から組んで、自動作成できるようにしました。今現在も業務には欠かせないツールの一つとなっています。常に業務改善することの重要性を実感する活動の機会となりました。

 

同僚の育成と子育ての関連について

 子育てにおいて、「親が解決すべき問題」と「子供自身に解決させるべき問題」とをきちんと見極めることが大切と感じています。とは言いつつ、それが自分の子供に対して実践できているかと言われると難しいところです。当所には、子育てしながら働いている女性がたくさんいますので、悩みや困ったことを聞いてもらいながら私自身も勉強をさせてもらっている段階です。

 同僚の育成については、仕事内容のチェックをすることはありますが、同じ仕事を行っている仲間として、困ったときにはアシストし、逆に良い部分があれば吸収させてもらっています。良い仲間と共に、常に自己研鑽し続けていきたいなと感じています。

 

Kさん(国際管理部)

入所から現在の仕事内容

 2002年4月に入所し、勤続19年になります。入所以来、国際管理部の内外グループ(日本のお客様の外国出願の事務処理を行う部署)一筋で勤務しております。その中で出願グループ(ご依頼から出願完了までを担う部門)と中間グループ(中間処理から査定までを担う部門)を行ったり来たりしました。

 

入所以来の出来事を振りかえって

 19年というと途方もなく長い期間の気がしますが、今思い返してみると本当にあっという間でした。最初は「こんなに細かくて、気を遣う仕事なんて自分に出来るのか?」と思っていましたが、その思いは今でも相変わらず持ち続けています。と言うより、更に深くなっていて「いつまで続けられるのだろうか?」という不安とプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、日々の業務にあたっているというのが実情です。

 入所した2002年当時は現地代理人やお客様とのやり取りもFAXと郵送が主流で、山のような郵便物をせっせと仕分けをしていたのを思い出します。紙を触り過ぎて、指紋が無くなるんじゃないかと思ったほどです。PCT出願も特許庁へ持ち込むのが普通で、緊急出願はFAXで送っていましたから、何とも悠長な時代でした。

 そこから徐々にデジタル化が進行し、今ではFAXなんてオオサンショウウオ並みに珍しいものですし、現地代理人との通信手段はEmailが99.9%。お客様への納品も郵送はマイナーな手法になってしまいました。

 コロナの影響もあり、世界中のデジタル化が進み、当部門も在宅勤務が可能になりました。しかし、事務部門が在宅勤務を行うのは容易ではなく、QCサークル活動を通して様々な取り組みを行った結果、何とか環境を整えることができました。当所で長年培ったQC手法と、それを使いこなす部員の能力の高さを思い知った事例です。

 デジタル化がもたらしたのは良いことばかりではなく、注意を要する事項は飛躍的に増えました。お客様からの納品方法をデジタル化するというご連絡は尽きること無く、今では数十種類の納品システムを扱うことになっています。その一つ一つに向き合うのは頭も目も酷使し、心臓が痛くなります。納品という点から見ると、今が一番つらい時期かもしれません。今後はいかにデジタル納品に対応していくかが、事務としての最大のポイントになっていくでしょう。

 辛かったと言えばもうひとつ、メンバーが次々と辞めていった時期です。ほぼ女性ばかりの職場なので、結婚や出産でやむを得ず離職される方もある一方で、仕事がつらくて辞めていかれる方もありました。仕事量と重圧に耐えかねて辞めるという選択をされた時に、それを止められない自分の力量の無さをとても不甲斐なく思いました。環境改善の努力はしてきたつもりでしたが、全然足りていなかったことに気が付き、辛いまま辞めていかれた方には本当に申し訳なかったなと思っています。

 逆にうれしかったことと言えば、「オンダさんならご存知かと思って」と外国出願についてのご質問を受けたことです。世界の自動車メーカーの方からそんな質問を受けるなんて、外国出願に強い事務所である「オンダ国際特許事務所」を微力ながら支えているんだ、という自負で大変誇らしかったですし、日々の業務が報われた気がしました。

 

部下の育成について

 当所には「お褒めメール制度」がありますが、人は誰しも褒められるのが大好きです。間違いは指摘しつつも、「こういうところはとてもいいし、今後もおおいに期待している」と伝えると、一瞬目の奥がキラッとする事があります。そうすると仕事への向き合い方も積極的になることが多いと感じます。特に若い方には的確な言葉で、タイミングよく褒めるのが必要だと感じます。二度と「仕事が辛くて辞める」人が出ないように、一層努力していこうと思います。

 

Yさん(国内管理部)

担当業務

 2001年4月に新卒で入所し、20年が経ちました。

 ずっと所属している国内管理部は、お客様・特許庁と、当所をつなぐ窓口の役割を果たしており、事務的なことから法律の正確な知識を必要とする問い合わせまで、幅広い対応能力が求められる部署です。

 「お客様の大切な財産をお預かりしている」という意識は、職務への理解が深まるとともにその重要性が身に染み、勤務年数に比例して、どんどん実感が強くなっています。

 また、法改正があり、時流の影響も受けますので、お客様、事務所から私たちの部署に求められる内容は、どんどん変わり、レベルアップしています。

 その要請に応えるため、自己研鑽の日々です。大変ですが、それが遣り甲斐でもあります。

 常に最先端のものと向き合い、求めればどんどん自分で能力を高めていける仕事に、新卒で入社した会社でめぐり合えたことは、とても幸運だと思っています。就職氷河期でしたが、採用していただいたこともありがたく思います。
 

QCサークル活動

 私が所属する国内管理部は、所内QC発表会で上位入賞常連のサークルです。その時々の部門の課題をQCサークル活動で解決し、自分達自身が「やって良かった!得した!!」と思う成果を上げてきました。その経験から、QCサークル活動に高いモチベーションで取り組むことができることが、入賞し続けられる秘訣だと思います。活動のいくつかをこの場を借りてご紹介します。

 

■QCサークル活動の具体例1(RPAの導入)

 今、所内各部で大活躍のRPAも、国内管理部は先陣を切って導入しました。部内の様々な業務で使用しています。例えば、弊所はご依頼案件の管理について、電子包袋システムを採用しており、一部業務で、一時的に紙包袋を使用しますが、最終的には紙書類を破棄し、データとして保管する運用を行っています。後日必要になった時に備え、紙で保管していた各証跡(記録として残すべきお客様・所内の承認記録や、やり取りの資料)をスキャンして該当案件の「電子包袋」へ保存してから、紙包袋を破棄するのです。従来の手順では、資料をスキャンし、どの件のどの工程で発生したどんな種類の資料か、手入力で登録していました。この手入力部分(入力結果の印刷工程を含むところまで)をRPAへ変更しました。

 また、RPAはお客様へ納品するデータの生成にも活躍しています。お客様毎に異なる、納品に必要な諸ルールをRPAへ覚えさせ、ご要望に沿った納品用のデータをRPAが作ります。人はそれを確認し、納品すれば良いのです。お客様の整理番号や作成するデータの種類など、ルールとにらめっこしながら、人間が神経をすり減らして作っていたものをRPAが作ってくれるようになりました。

 どちらの活動も、年間100万円以上の経費削減効果があり、従来、人間が慎重に目で判断し、手を動かして行っていた工程を、より、早く正確に進めることが可能になりました。

 これらの活動のように、専門知識や所内システム構築・変更が必要な改善の場合、社内のシステム開発部員もQC活動メンバーに入ってくれる体制があります。自分達だけでは難しい改善も遅滞なく実現することが可能な環境があり、大変、ありがたく感じています。

 

■QCサークル活動の具体例2(アナログ系改善)

 アナログな改善も、たくさん活動実績があります。

 部内で複数の産休者が発生した大ピンチにも、QCサークル活動が大きな役割を果たしてくれました。現状把握として各部員の部内業務に対する知識レベルを確認し、誰が何を覚えるべきか、どのマニュアルを整備すべきか、優先順位も含めて共有。効率的な引継ぎを実施して乗り越えることができました。

 また、部員に大きな負荷のかかる業務を明らかにし、複数メンバーで対応する体制へ手順を変更したところ、該当業務にかかる時間が画期的に短縮化できたこともあります。

 ある時は、部門近くの書庫を整理してスペースを作り、遠くに複数分かれていた書庫から包袋等を移動させ、部門近くで一元管理を可能にした改善もありました。

 さらにオフィス増築に伴い勤務フロアの引っ越しが必要になった時も、QCサークル活動をフル活用。その機会に、弊所開業以来保管していた世界遺産級(?)の資料や、紙で永年保管していた書類を洗い出し、保管期間を再設定。引っ越し用の荷造りをしながら、破棄用の書類もまとめ、効率的な整理・引っ越しを実現しました。この時、個人で所有していたマニュアルや資料、さらには、部門と個人所有のデータも整理してスッキリさせました。個人で所有していた対応記録など、紙で個人的に所有していた情報もデータ化して業務毎に一元管理し、マニュアルと連携する対策も実施しました。QCサークル活動で取り組んだからこそ、着実かつ、効果を伴った活動が実行できたと思います。

 時代に合わせて、事務処理の手順もどんどん変化していく必要があります。QCサークル活動は、その変化を可能にする大きな手段です。上記でご紹介した以外にも、紙でしかできない処理を電子化し、ペーパレス化を実現、在宅勤務体制の確立にもつなげる活動など、困りごと解決や、正しくかつスピーディな対応・手続きを実現するための改善に終わりはありません。

 入所してからずっと手順が変わっていない業務の方が少ないです。弊所内は改善スピリットにあふれ、やりにくいこと、困ることがあれば「QCで解決しよう!」という雰囲気があります。変化を恐れず、他部署への相談もしやすい集団の中で、刺激的な活動に参加できる環境は、現状に満足せず、常に高みを目指す、仕事への取り組み姿勢にもつながっています。

 

うれしかったこと、失敗したこと、苦労話あれこれ

 私は、どちらかというと慌て者の傾向があります。失敗もたくさんし、その経験から、多くを学んで能力を高めてきました。見放すことなく、辛抱強く育ててくださった皆様に、感謝の気持ちでいっぱいです。

 なかでも新人時代から(現在も!)鍛えていただいている先輩方には、業務にとどまらず、仕事への取り組み方や、同じ部署、所員をはじめとする身近な人への配慮の仕方など、現在の私の礎となる、社会人として、また人として大切なものを多く教えてもらっています。入所して半年くらい経った頃、そんな先輩のお一人に、私の作ったマニュアルのチェックをお願いしたところ、「OKです。最高にOKです。」と書いた付箋を付けて、返してくださったことがあります。独り立ちしたばかりで、自分の仕事をこなすことに必死だった当時の私に、大きな自信を与え、前向きに誠実に目の前の仕事一つ一つに取り組むことの大切さを教えてくれました。付箋は今も持っていて時に見返し、励みにしています。

 そして、そんな私を追いかけ、ついてきてくれる後輩達も、ありがたい存在です。私がしてもらっているように、後輩にとって良い手本となるよう、心掛けています。

 

育児と仕事の両立

 人として、いかに、足りない部分があるか、結婚して、子供を持って、痛感させられました。

 結婚・出産前後で一番大きく変わったこと。それは、「自分の思うようにならない」ことの存在を実感し、広い心で相手を受け止め、理解して寄り添おうとする気持ちを、周囲の人たちに対し、前向きに持てるようになったことです。また、自分が思うように進むことばかりではないことも、家でも職場でも同じです。不満としてためこむのではなく、その中で少しでもより良い状況にするためには、どうしたら良いか、自分にできることは何かを、考えて行動しています。最初からこの境地に至った訳ではありません。育児と仕事を両立する中で、イライラ・葛藤を私も、私の周囲も抱え、そこから学んで今に至ったように思います。

 今、私自身が育児も仕事もどちらもやることに葛藤がない訳ではありません。特に家事や育児は一般的に「やっている」と人さまに言えるレベルには遠く及ばず…。「これだけはやろう」と自分で決めたことをひたすらこなす毎日です。その状況でも、育児と仕事のどちらからも学びがあり、どちらも自分のできる範囲でやらせてもらっていることで、良い相互作用があることも実感しています。私に気付きを与えてくれる存在が増えたということです。前述の先輩をはじめとする職場の皆さん、「なんちゃって母」の私にも、「お母さん大好き!」と言ってくれる子供たち、私の生き方に付き合ってくれる家族に、感謝しています。

 

さいごに

 性別・結婚や子供の有無を意識した行動が、職場で必要になることはありません。私自身の意識としては、女性であること、結婚していること、子供がいることを、業務上の言い訳にしないようにしています。長い年月をかけ、先人達が整えてきてくれた環境を、より一層、良いものにして次の時代を担う人たちへつなぐ、一助となればという思いからです。

 所員としても、母としても、人としても、相変わらず不器用な私ではありますが、完璧でないからこそ、少しでも自分と関わってくれる人たちに、自分の存在がプラスとなるよう、今後も努力を続けていきたいです。