上海オフィス 設立20年を迎えて|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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上海オフィス 設立20年を迎えて

2022年9月
所長 弁理士 恩田誠

 オンダ国際特許事務所の関連会社であるセブンシーズIPコンサルティング上海(以下、上海オフィス)が、2022年3月をもって、設立から20周年を迎えました。これもご支援いただいたみなさまのおかげであり、心より感謝申し上げます。この節目に、上海オフィスの振り返りをしてみたいと思います。

1.オフィス設立

 2001年10月に北京にある特許事務所からの招待で、日本の特許制度について講演をする機会がありました。その際、中国の発展ぶりに大きな衝撃を受け、当所も中国で何かしなければと思うようになりました。12月には上海も訪問し、進出するならビジネスの中心地である上海と決めました。2002年に入ってからは、とにかくスピード重視で会社設立準備を進めました。そして、2002年3月1日、独資のコンサルティング会社を設立。当時中国では一番高かったジンマオタワー(88階)の31階にあるレンタルオフィスで、スタッフ3名でのスタートでした。外国の特許事務所としては、中国進出第一号となりました。
 当初は、中国企業に対する知財管理のコンサルティング、中国から諸外国に対する特許出願の仲介を事業目的としていました。営業活動として、知財セミナーを何度も開催し、現地企業との関係構築を試みました。当所のお客様企業の知財部長を招待して「日本企業の知財管理」について講演をしていただいたこともありました。
 しかし、当時は中国企業における知的財産に対する意識は高くなく、ましてや費用がかさむ海外への特許出願をするような会社はありませんでした。
 1年後には、日本企業から中国知財に関する相談が徐々に増えてきました。特許・意匠・商標に関する調査と出願、企業調査、模倣品に対する調査と行政による権利行使、税関における知的財産権保護、特許明細書の翻訳と逆翻訳など、中国知財に関するほとんどのサービスを提供してきました。スタッフを増員すると共に、オフィススペースも拡張しました。この頃には、当初の方針を変更し、日本企業の中国での知財活動のサポートが事業の中心になってきました。

 

2.これまでの歩み

 この20年の間には、苦労もいろいろありました。ある現地の特許事務所と業務提携を行っていましたが、長くは続きませんでした。また、立ち上げ当初から関わった責任者が袂を分かつという事件もありました。日本と中国の文化の違いが主な原因だったように思います。
 中国の人から、こんな例え話をされたことを思い出します。「中国人が例えば自転車を作りたいと思ったら、ガラクタでも何でもいいから部品をくっつけて自転車らしきものを作って走り始める。部品に不具合があれば、直しながら前に進んでいく。一方で、日本は完璧なサドルを作ってから、次はまた完璧なペダルを作る、というように、一つずつ完璧に仕上げないと次に進めない。だからいつまで経っても自転車ができない。」日本人の慎重すぎてスピードが遅いことに業を煮やした発言だったように思います。
 それでも、お客様の大切な知的財産を扱うという我々の仕事の性質上、1件でも欠陥のある仕事をするわけにもいきません。一つ一つの仕事を確実に行うためには、時間がかかろうとも、地道な一歩を進むより他にはありません。
 当所では、急速な拡大ではなく、スタッフの教育に特に力を入れました。上海オフィスのスタッフの岐阜オフィスでの研修や、日本人管理者による上海オフィスでの指導を、時間をかけて行いました。また、日本で構築した特許管理システムを、中国での業務に対応できるように改変し、上海オフィスに導入しております。「日本のオンダ国際特許事務所の実務・事務の品質を上海オフィスでも実現する」ことを目指して取り組んでまいりました。
 現在、上海オフィスのスタッフ数は17名です。中国では人の移り変わりが激しいという印象でしたが、上海オフィスの場合、人員の変動が少なく、非常に安定しています。在籍年数19年を筆頭に、半数以上が10年以上の勤務です。
 また、当所岐阜オフィスの特許第13部には、中国弁理士を始め、中国・台湾からのスタッフが6名在籍しています。更に、2013年設立のセブンシーズIPコンサルティング台湾は、中国知財のサポートをメインの業務の一つにしております。当所は、岐阜・上海・台湾の各オフィスの連携により、お客様の中国での知財活動を全面的にサポートする体制ができております。

 

3.現在の状況、将来の展望

 直近5年では、日本のお客様からの中国出願のサポートのみならず、欧米企業からのご依頼が増えています。オンダが日本と中国の2ヶ国をサポートするというコンセプトに賛同いただいております。
 2020年からは、新型コロナウイルスの世界的感染により、日本と中国との間の行き来ができなくなりました。オンライン会議などを通じて、上海オフィスとの連携はできておりますが、早く対面でのコミュニケーションができるようになることを祈るばかりです。
 また、オミクロンウイルスの感染拡大により、今年4月から2ヶ月にわたり上海がロックダウンとなった際には、スタッフ全員がリモート勤務となりました。業務への支障は限定的だったものの、自宅から一歩も出られない日が続き、物資の購入も制限されるなど、大変な日々が続いたようです。
 今後も、中国は知財大国として発展していくと思われます。当所としましては、上海オフィスを中心として、お客様の中国知財活動のサポートに注力していく所存です。何卒よろしくお願い申し上げます。