メドックマラソン参加レポート|お知らせ|オンダ国際特許事務所

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メドックマラソン参加レポート

(パテントメディア2020年1月発行第117号掲載)
所長 弁理士 恩田誠

フランスのワインの産地ボルドーで毎年9月に開催されるマラソン大会、「メドックマラソン」に参加しました。20箇所を超えるシャトーを周り、ワインを飲みながら42キロを走るという異色の大会なのです。ランニング歴11年の私にとって、いつかは参加したいと思っていた夢の大会。実は、一昨年の冬、あるお客様との会食中にマラソンの話題で盛り上がり、この大会に一緒に出ようということに。私にとっては、大会の一週間後にAIPPIの年次大会がロンドンであるし、そのお客様はドイツへの赴任が決まっていて、お互い好都合。同僚の方がフランスに赴任されているので、その方を中心に企画が進行。その後、知財部の方々や、私の友人の米国弁護士も賛同し、総勢7名での参加となりました。そのレポートをお届けします。

2日前にパリに到着。翌日、パリの特許事務所を2箇所訪問してから、電車でボルドーへ移動。ボルドーの中心部のホテルで宿泊。夕食は、ボルドーでも人気の肉料理のレストランへ。マラソン前夜は、カーボローディングが鉄則でもちろん禁酒なのだが、私は鴨肉とワイン。他の方も肉中心の食事。普通は絶対にやらないパターン。飲みすぎてはいけないので、控えめにしたつもりだが、みなさんで赤ワインを2本。しかし、これのおかげで酔ってよく寝られた。

9月7日土曜日、マラソン当日は、朝4時に起床。会場まで持参する荷物の準備に時間を取られる。5時15分にホテルの朝食、6時30分にはバスがホテル前を出発。移動は1時間半。乗って1時間たってもまだ外は真っ暗。夜が明けて、空が少し明るくなり、ワイン畑が見えてきた。見渡す限り広がる畑の大きさにびっくり。

会場にバスが到着。10度ぐらいと寒いし小雨が止まない。仮装したランナーたちが続々と登場。この大会は仮装が義務で、今年のテーマは「スーパーヒーロー」。スーパーマンやバットマン、ワンダーウーマン、ブリーフにマントの怪しいヒーロー軍団と様々。グループでの参加が多いようで、30人ぐらいの大所帯もあった。スタート前からビールで乾杯するグループも。フランス人、イギリス人に続いて、日本人の参加者は多く、セーラームーン、マリオブラザーズ、ドラゴンボール、ピカチューなどの仮装が目立った。我々メンバー7人は、仮面ライダーV3のTシャツとお面と軽目の仮装。

バス駐車場からスタート地点までは、徒歩15分。参加メンバーと記念撮影をしてから、スタート地点300メートルほど後ろに並ぶ。参加者には緊張感はまるでなく、ストレッチする人も、我先にと前の方に陣取りする人もいないのが、通常のマラソン大会と違うところ。お祭りに来た人たちが、楽しそうにスマートフォンで写真撮影をするという状況。こんなにリラックスして楽しい雰囲気のマラソン大会は初めての体験。

9時30分、いざスタート。全然進まない。スタート地点にたどり着いたのは9分後。1km目のペースは、キロ7分24秒。かなりのスローペース。その後も周りのペースに合わせてペースは上げられない。しばらくは、メンバー全員一緒に走る。あまり広くない車道や、ぶどう畑の細い道など、大人数が一度に通れない箇所があり、時々渋滞が起こる。
最初のエイドの前で大渋滞。ここにはまだワインが置いてなかった。給水はコース全体で頻繁にあった。小さなペットボトルの水がもらえる。ワインを飲み過ぎても大丈夫なのは、この給水のおかげか。エイドの食べ物は、バナナ、リンゴ、オレンジ、クロワッサン、甘いパン、クラッカー、コーラが基本で、どこでも同じもの。かなり食べながら走る。

最初のワインをもらう。人が多すぎて、ワインをもらうのも一苦労。「最初から飲みすぎては後が持たないので、前半は口に含んでも吐き出した方がいい」というアドバイスを事前にもらっていたが、いざ飲んでみると実においしい。思わず飲み干してしまう。
コースは、多少のアップダウンがあり、まさにワイン畑の中を駆け抜けるのがメイン。舗装されていないところも多々あり、走りづらい場面も多かった。シャトーの入り口は砂利や小石で走れない。黒色のランニングシューズが灰色になってしまった。


寒かった朝からは随分と暖かくなり、日差しが強い時間も結構あったが、曇ったり、風が吹いたりする瞬間もあった。雨にならず本当によかった。最高気温は22度ぐらいで、結局絶好のマラソン日和となった。
自分の周りはだいたい同じペースの人達が走っているので、何度も同じ人に遭遇する。最後まで抜きつ抜かれつの繰り返し。リアカーに看板を立てて引っ張るグループ、マリオカートなどが結構速くて驚かされる。大きな亀の形の山車は「プラスチックはこちらへ」という表記で、飲み終わったペットボトルを集めていた。電動スクーターに乗ってる人までいて、もうやりたい放題。
沿道の応援はかなり多い。ボランティアの数も相当多い。allez allez(アレーアレー)という声援が常に聞こえる。応援しながらランチパーティをしているグループもいたりして、地元の人にとってもお祭りなんだと改めて感じる。小さな子どもたちがハイタッチを求めるが、かわいらしくて、ついわざわざ行ってまでして応じてしまう。

走っては次のシャトーでワインを楽しみ、また再スタートの繰り返し。次のシャトーまでの距離が長いところもあったが、1kmもしないうちに次ということもあった。お城のように美しい建物やきれいに整備された庭など、じっくりと景色を楽しみたいところが多かった。ずっと赤ワインだったが、どれも本当においしい。高級なワインを出しているところもあり、とてもじゃないが、口に含んで吐き出すなんてもったいなくてできないので、たいてい飲み切ってしまう。実際、後半の1箇所を除いて、全部もらって飲んだはず。大抵がプラスチックカップでの提供だが、ワイングラスで出してくれるところもあった。その方が雰囲気が出ておいしく感じる。後半はさすがに酔ってきたので、なるべく少ない量のカップをもらう。酔いながら走っている感覚もあり、若干ふらつきそうにもなったが、一応お酒を飲みながらでも走れるということがわかった。
楽しみすぎて、気がついたら折り返し地点ですでに12時30分、つまり3時間も過ぎていた。このペースでは、制限時間以内にゴールできない。何としても完走メダルとフィニッシャーズ・ワインはもらいたいから、ペースを上げ始める。一番速いペースで1キロ5分25秒。このあたりからみなさんとはバラバラになってしまった。

後半になって、左の太ももの筋肉が引きつってきた。通常ならつるところだが、少し立ち止まってマッサージをしたりして、何とか持ちこたえる。ワインを飲むと一旦痛みが引くのが怖い。走るのにも飽きてきて、だんだんペースは落ちてくるし、シャトーの前後では周りにつられてダラダラと歩いてしまう場面も多々あり。
後半に行くにつれて、ポテトチップやチーズ、ぶどうなど、エイドでのおつまみが充実してきた。エナジードリンクをくれたところも。カナレというボルドーで有名な小さな焼菓子をもらったが、これがすごくおいしかった。終盤のエイドでは、バンドの演奏に合わせて、踊りまくる集団も。ゴール近くだから余裕なのか、それとも、もう酔っ払ってどうでもよくなっているのか。

残り3kmを切ったところか、生ガキが振舞われた。うれしくて5個くらい、レモンをかけながら楽しむ。ここで初めて白ワインが出てきた。これはうれしい。カキは当たると怖いと食べるのを避けた人もいたが、ゴール間近なので、ここは当たるのを覚悟で食べた。その次のエイドではステーキ。ミディアムレアだがおいしかったので、おかわりの肉をパンとチーズに挟んでいただく。最後のエイドでは、デザートのアイスクリーム。これがおいしくて、最後のパワーとなった。それにしても、コース料理のような順番で出てくる食事に、いかにもフランスらしさを感じた。
最後の1km、少し真剣になって、スピードを上げ、多くの人を抜きさる。
そして、見事ゴール。タイムは予想よりかなり遅い、5時間48分12秒。これまでのマラソンでの最低記録更新だったが、最高に楽しい大会となったので、目標は達成。フィニッシャーズ・ワインがほしくて、これのためにがんばった。いや、フランスまで来て完走できないではショックなので、本当によかった。そして、めでたく、メンバー全員が完走。

帰りのバスでは爆睡。夜の打ち上げは、フランス料理のレストラン。ここでもまたワイン。途中から寝てしまう。とにかく疲れた。ありがたいことに、筋肉痛はほとんどなかった。しかし、日曜日にはドイツ・ミュンヘンに移動、月曜日から現地特許事務所の訪問があったこともあり、2日間は若干気分が悪く、疲れていた。やはりワインを飲みながらのマラソンは体、特に胃腸に負担があったかもしれない。しかし、2晩寝たら体調がよくなり、火曜日の朝にはリハビリランもできた。

本当に楽しい大会だった。夢の大会をこのように終えられたことを本当にうれしく思う。一緒に参加していただいたメンバーのみなさんに心から感謝したい。この大会、仲間と走らないと面白くないと思う。また、いつかオンダマラソンチームのメンバーを大勢引き連れて、参加したい。