有名(人の)商標のお話し【弁理士コラム】|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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有名(人の)商標のお話し【弁理士コラム】

2013年1月
弁理士 木村達矢

商標担当の木村達矢と申します。現在は主として外内商標(外国から日本へ出願)を担当しています。外国からの依頼の中には、たまに有名(人の)商標の出願依頼があります(「有名商標の出願依頼」ではありません。なお、有名商標の出願依頼がないというわけではありませんので、念のため)。そこで、今回は、当所で出願した有名(人の)商標をいくつか紹介しようと思います。

ロバート・ダウニー・ジュニア

商  標 「ROBERT DOWNEY JR.」
登  録 第5331048号
指定商品 第9類「コメディ・ドラマ・アクション映画・アドベンチャー映画・アニメを内容とする映画フィルム,コメディ・ドラマ・アクション映画・アドベンチャー映画・アニメを内容とする録音・録画済みビデオディスク及びその他の記録媒体等」

「アイアンマン」シリーズで自ら開発したパワードスーツをまとって戦う、億万長者で天才発明家であるトニー・スタークに扮しているロバート・ダウニー・JRです(シャーロックホームズにも出ています。というよりホームズ役)。これは、実名イコール芸名ですので、氏名がそのまま(ミドルネームは省略されていますが・・・)商標登録されています。

「他人の氏名を含む商標」は、その人格権を保護するため、当該他人の承諾を得ない限り登録されません(生存している限り日本人でも外国人でも同様です)。したがって、本人が出願すれば問題はないと思えますが、同姓同名の他人がいる場合(審査官が発見した場合)、その他人の承諾を得ない限り、自分の氏名の出願であっても拒絶されてしまいます。本件は、同姓同名が見つからなかったようで、ストレートで登録されました(本気で世界中探せばいるのかもしれませんが、さすがに審査官も外国人の氏名にそこまではしなかったようです。ちなみに「長島茂雄」や「SEIKO MATSUDA」が登録されていますが、これくらいであれば同姓同名がいそうですが・・・登録されています)。

ところで、本件は第9類「コメディ・ドラマ・アクション映画・アドベンチャー映画・アニメを内容とする映画フィルム、コメディ・ドラマ・アクション映画・アドベンチャー映画・アニメを内容とする録音・録画済みビデオディスク及びその他の記録媒体等」について登録されていますが、有名な歌手名やグループ名を指定商品「記録媒体(CDやビデオ等)」「印刷物(ブロマイド等)」について商標出願すると、「商品の内容を表示するにすぎない」(音楽CDやビデオが誰によって歌唱,演奏され、誰が出演しているのかを示すにすぎない)から、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとして拒絶されることがあります(有名になると、その名称を商標登録できなくなって、腑に落ちないのですが、現実にそのような運用がされています)。本件は、このような拒絶はされず、ストレートで登録されました。映画は多数の俳優が出演しているのが普通なので、俳優名が直ちに「商品の内容を表示する」とはいえないと判断されているのでしょうか。

有名(人の)商標のお話し【弁理士コラム】 | 2013年せっかく商標出願のご依頼をいただいたからには・・・ということで、彼の最新作である《史上最強映画》「アベンジャーズ」(映画のキャプションが「史上最強映画誕生、日本よ、これが映画だ」とある・・・ちょっと大げさすぎないかぁぁぁ)を見てきました。『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』というアメリカンコミックのスーパーヒーローが集結して、宇宙から無数に襲来するエイリアンとプレデターのような敵を片っ端からやっつけるという荒唐無稽な映画でしたが、それなりに楽しめました。本作は、結構ヒットしているらしく(結構長いこと上映されてたから本当であろう)、“アベンジャーズ現象” “最強○○”などという言葉が流行っているようです。というわけで、現在のところ本件が当所で出願した最強有名(人の)商標と思われます。 ちなみに、映画館で売っていたアイアンマンの消しゴムです。こんな感じの人です。

スティービー・ワンダー

商  標 「SONG TRAVELLING」
登録番号 第5422885号
指定役務 第41類「コンサートにおける音楽の演奏,コンサートの演出又は上演,コンサートの 企画又は運営,レコード原盤の制作等」

ご存じの人はご存じとは思いますが、アメリカンロックorR&B界のスーパースターです。本件は出願人を「本名+スティービー・ワンダー」で出願したところ、芸名の併記は認められないとのことで、権利者は本名になっています。審査官に電話で「スティービー・ワンダー」の芸名が有名であり、この方が分かりやすいので認めて欲しいとお願いしたところ、審査官の反応は「それって誰ですか?」とつれない返事でした。私の世代にはスーパースターなのですが、若い審査官には知られていないんでしょうか(最近はアルバムもだしていないようですし)。しかし、このような商標を日本で取るからには、まだまだ我が国でもツアーを行うのでしょうね。ちょっと昔の有名(人の)商標でした。

イヤードリー・スミス

商  標
有名(人の)商標のお話し【弁理士コラム】 | 2013年
登録番号 第5471460号
第25類 被服(「和服」を除く。)等

知らない人の方が多いと思いますが、アメリカの人気アニメ・シリーズ「ザ・シンプソンズ」(こちらは知っている人も多いのではないかと・・・)に登場するキャラクター、リサ・シンプソン役の声優です(ちょっと脇役ですが)。女優としてもエミー賞を受賞しているとのことです(ウィキペディアより)。アメリカのアニメファンにとっては有名(人の)商標ではないかと思われます。

マックス・ランデー
商  標 「MAX LINDER」
登録番号 国際登録第889289号
第9類 磁気式・電子式・デジタル式又は光学式媒体(レコード・コンパクトディスク(録音済み・録画済み・マルチメディア)及びCD-ROM(読取り専用記憶媒体)・DVD(デジタルバーサタイルディスク(未記録又は記録済みのもの)))等

フランスの俳優兼映画監督兼脚本家です。チャールズ・チャップリンより前に活躍したとのことですので、相当に古い人です(既に故人)。したがって、誰も知らないと思いますが、有名人の氏名を勝手に商標登録することは公序良俗に反するとの理由で拒絶理由が通知されました。昔であれば、何事もなく登録されたかもしれませんが、現在では、インターネットで検索すれば、すぐに分かってしまいます。本件は、マックス・ランデーの遺族による出願でしたので、遺族であることを証明する書面を提出して登録されました。なお、本件は本人が既に故人となっているので「他人の氏名を含む商標」に該当するとの拒絶はされていません(これは人格権保護の規定ですので、既に故人となっている人の氏名については適用されません)。というわけで、かなり昔の有名(人の)商標でした。

若干しりすぼみぎみでしたが、有名(人の)商標の紹介でした。

以上