商標審決レポート(cawaii)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

商標審決レポート(cawaii)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

アクセス

商標審決レポート(cawaii)

「cawaii」と「商標審決レポート(cawaii) | 2021年」とは類似しないとして登録すべきとされた事案

2021年3月30日
弁理士 八代則子

審判番号 不服2020-7842 (商願2018-147178)
事案の概要 「cawaii」と「商標審決レポート(cawaii) | 2021年」とは類似しないとして登録すべきとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2021年2月15日
出願人 株式会社ワンピース
商標 本願商標 cawaii
引用商標  商標審決レポート(cawaii) | 2021年
指定商品

第25類 被服,被服用えり,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

審決の内容

(1)本願商標

本願商標は、「cawaii」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に成語として掲載されていないものであって、特定の意味合いを有するものとして認識されているような事情も見いだせないものであることからすれば、一種の造語として認識されるというべきものであるから、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って、「カワイイ」の称呼を生じ、また、特定の観念は生じないものである。 

(2)引用商標

引用商標は、「かわいい」の平仮名、「カワイイ」の片仮名及び「KAWAII」の欧文字を、左右を揃えて3段に書してなるところ、その構成中「かわいい」の平仮名は、「愛すべきである。小さくて美しい」の意味を有する語であり、また、その構成中の「カワイイ」の片仮名及び「KAWAII」の欧文字は、当該平仮名を、文字種を変えて表したものと無理なく理解されるというのが相当である。そうすると、引用商標は、これに接する需要者、取引者をして、その構成中、1段目の「かわいい」の平仮名を、文字種を変えて、2段目及び3段目に配したものと認識するにとどまるというべきであるから、引用商標からは、「カワイイ」の称呼を生じ、また、「愛すべきである。小さくて美しい」の観念を生じるものである。

 (3)本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、全体の外観を比較したときには、その構成態様において、明らかな差異を有するものである。また、本願商標を構成する「cawaii」の欧文字と引用商標の構成中の「KAWAII」の欧文字との外観についてみたとしても、小文字と大文字の相違に加え、これら文字部分のうち最も印象に残る語頭の「c」と「K」の欧文字が相違するものであって、6文字という比較的短い文字数におけるこれらの差異は、外観全体から生じる視覚的印象に与える影響は決して小さいものとはいえない。そうすると、両商標は、外観上、判然と区別できるものである。次に、称呼についてみるに、本願商標と引用商標は、「カワイイ」の称呼を共通にするものである。また、本願商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「愛すべきである。小さくて美しい」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼を共通にするものの、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というべきである。さらに、他に本願商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。

(4)まとめ

以上により、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

コメント

審査段階の拒絶理由通知書において、本願商標を本願の指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「カワイイ商品」と理解するにとどまるとして、識別力なしとの判断もされたが、『需要者等は本願商標を特殊な綴りで表された一種の造語と認識するのであって、十分に自他商品の識別標識として機能するものである』等の出願人の意見書における反論によって、同拒絶理由は解消された。