米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について

平成22年8月3日掲載
弁理士 池上美穂

「日本で拒絶理由通知を回避するためになした陳述が、外国での対応特許の権利に影響を及ぼすことがある」ということは昔からよく囁かれており、これを「外国出願経過禁反言」と言います。

外国出願経過の取り扱いの前提として、

  • クレーム解釈では、内的証拠(クレーム文言自体、明細書の記載、本願出願経過)が優先し、対応外国出願の出願経過は、外的証拠(extrinsic evidence)であるため、外国出願経過が、クレーム解釈中の通常の意味に矛盾するように使用されることはない。
  • 特許性に関する外国での決定は、米国での特許性とは関係がないという前提があるため、米国裁判所は通常、外国出願での経過の適用はあまり積極的に行いたがらない。

ということがありますが、
外国出願経過禁反言が争点になったケースが現在までにどの程度あるのか米国判例を中心に実際に検討したところ、参酌のケースが5件、不参酌のケースが5件見つかりましたのでご紹介します。

A.クレーム解釈の補助に外国出願経過の証拠が使用された判決
(1) Caterpillar Tractor Co. v. Berco, S.p.A., 714 F.2d 1110(Fed. Cir. 1983) 

(事例説明)
原告Caterpillar Tractorはトラクターの車軸のシール部材に関する米国特許第3,841,718号を有し、Berco社のII型シールが718特許の請求項1,10,19を侵害するとしてBerco S.p.A.およびWortham Machinery Co.を’ 718号の特許権侵害として提訴した。

(本件特許の説明)
クレームのシールは三日月型のシールリング43と、圧縮された動作状態(自由な状態は点線で示してある)の負荷リング45とを備え、リング43は駆動フランジ47とシーリングフランジ49とを備え、2つのフランジが可撓性ヒンジ部分を提供する薄壁部分51で接続されており、薄壁部分51は最大の可撓性を与えるよう最小の厚さとなっている。

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

請求項1では「壁部分(51)は2つのフランジ(47,49)よりも実質的に薄い断面積を有する」の文言が記載され、請求項19には「壁部分(51)は2つの端部よりも実質的に薄い断面積を有する」の文言が記載されていた。

(侵害被疑品)
Berco社のII型シールは本件特許とほぼ同じ構造を有し、ほぼ同じ効果を奏するが、ヒンジ部がシーリングフランジよりは薄いが、駆動フランジよりも薄くはなかった。

(CAFCの判断)
請求項1および19に対し、文言侵害はなかったが、均等論の適用があるか否かが争われた。
この点、被告Berco社は、米国特許第3,841,718号には対応英国出願とドイツ出願のファミリーがあり、被告は(1)本発明の実施形態を記載したドイツ代理人に対するCaterpillar社の指示および(2)ドイツ特許庁に対しドイツ代理人がなした引用文献に対する本願発明の陳述を証拠として提出し、かかる指示や陳述が均等論上での禁反言になると主張した。
CAFCは外国出願経過の争点をダイレクトに取り上げ、「外国での特許取得のための法的および手続は多様であるため、特定の種類の陳述は不適当とみなされる場合もある」としながらも、「(本事件では)他の裁判所の決定には十分な拠り所があり、かかる事項が関連する証拠(relevant evidence)を含む場合には考慮されなければならない」と判示した。つまり、外国代理人に対する指示及び外国特許庁に対する主張により生じた外国での禁反言は、本国の権利範囲解釈にまで効力が及ぶ場合がある旨が判示された。
(ただし、本事件では、外国の出願経過を証拠として採用したものの、外国出願経過の中に、請求項1および19の均等論の適用を否定する根拠は見出されず、禁反言にはならないとして請求項1,19の均等論下での侵害が認められた。)

(2) Tanabe Seiyaku Co., Ltd. V. U.S. Intern. Trade Com’s, 109 F. 3d 726 Fed. Cir. 1997)

(事例説明)
原告Tanabeがベンゾチアゼピン誘導体の製造方法に関する米国特許第3,328,035号を有し、クレーム1に基づきFermion社他数社を特許権侵害として提訴した。

(本件特許の説明)
クレーム1には「アセトン(acetone)、低級アルキル酢酸エステル、アセトンと水の混合物、および低級アルキル酢酸エステルと水の混合物から選択された溶媒」が記載されている。なお、ベンゾチアゼピン誘導体は、心血管疾患治療薬として物自体公知。

1. A method of preparing a benzothiazepine derivative of the formula:
米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

wherein R is hydrogen or acetyl, or a pharmaceutically acceptable acid addition salt thereof, which comprises condensing a compound of the formula:

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

wherein R is the same as defined above, with 2-(dimethylamino)ethyl halide either in the presence of potassium hydroxide in acetone or in the presence of potassium carbonate in a solvent selected from acetone, lower alkyl acetate, a mixture of acetone and water and a mixture of lower alkyl acetate and water, and if required, further converting the product into a pharmaceutically acceptable acid addition salt thereof.
クレーム1の化学反応は「N-アルキル化反応」として知られ、「TZP」と呼ばれる化合物(II)はN-アルキル化反応の出発物質。’035特許に開示され、クレーム1に記載されている5つの「塩基」と「溶媒」の組み合わせは以下の5つのみ。’035特許の明細書中に溶媒としてのbutanoneの明示的列挙はなし。

 
塩基
溶媒
組み合わせ1 塩化カリウム アセトン
組み合わせ2 炭酸カリウム アセトン
組み合わせ3 炭酸カリウム アセトンと水
組み合わせ4 炭酸カリウム 低級アルキル酢酸エステル
組み合わせ5 炭酸カリウム 低級アルキル酢酸エステルと水

(侵害被疑方法)
被告Fermion社の製造方法は、塩基(炭酸カリウム)と溶媒(ブタノン、butanone)の存在下でのTZPのN-アルキル化反応を含む方法。溶媒としてブタノンを用いる以外はクレーム中の全ての要素が同じであった。

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

(原審(ITC)の判断)
Tanabeは、米国国際貿易ITC(United States International Trade Commission、ITC)に、’035特許のクレーム1を侵害する工程により製造されたFermion社製品等の販売・輸入行為の停止を申し立てた。
クレーム1の文言侵害はないが、均等論の適用があるか否かが争われた。
米国国際貿易委員会(ITC)での手続中、ITCはクレーム文言、特許明細書、原告特許の出願経過、ならびにTanabeが対応外国出願(イスラエル、フィンランドおよび欧州)でなした陳述を考慮したところ、Tanabeは本願発明の塩基と溶媒の組み合わせが先行技術による拒絶に対する期待を超える効果(87%以上の収率)を与えるという証拠を提出していたため、ITCは、一般に均等と考えられるものを含めてクレームされているものを除く塩基および溶媒は除外することをTanabeが示したと決定した。よって、ITCは、溶媒としてブタノンを含む被告製品には均等論下での侵害はないとし、Tanabeの申し立てを認めない決定をした。

(CAFCの判断)
この決定を不服としてTanabeはCAFCに提訴したが、CAFCと「Tanabeの外国出願での陳述は、ブタノンを含む他の溶媒が本願発明の溶媒とは互換不可能であることを当業者に示唆している」としてITCの判断に合意した。CAFCは’ 035号特許の外国対応出願の経過に関する「禁反言」を確立するものとしてITC決定を解釈することは避けたが、Caterpillar事件を引用して「均等論下での侵害を評価する際には、外国特許庁への陳述を、その主題が関連する証拠を含む場合、考慮しなければならない。」と判示した。

(3) Ajinomoto Co. v. Archer-Daniels-Midland (ADM) Co., 228 F. 3d 1338, 56 USPQ 2d 1332 (Fed. Cir. 2000)

(事例説明)
Ajinomoto 社は「特定のアミノ酸を増大量で生産するための細菌の遺伝子修飾方法」に関する米国特許4,278,765号(1979年6月28日出願、1981年7月14日発行)を、旧ソビエト連邦のGenetika社から譲受けた。一方、Archer-Daniels-Midland (ADM) 社は食品サプリの製造メーカであり、Genetika社の実施権者であるABP International社が製造した細菌菌株を用いて1993年から必須アミノ酸として商業的に有用なスレオニンの生産を開始した。そこで、Ajinomoto社は’765号特許に基づきArcher-Daniels-Midland (ADM) 社のスレオニンを生産するための遺伝子修飾細菌の特定の菌株の使用行為を、菌株が’765号のクレーム1,2の方法により製造された物であるとして、米国特許法第271(g)条に関してクレーム1および2の特許権を侵害するとして差し止め、損害賠償を請求した。
譲渡の適法性(特許権者適格)、’765号特許の有効性は認められ、侵害を認定する際のクレーム中の「ドナー細菌の染色体DNA断片」の解釈が争点となった。

(本件特許の説明)

クレーム1 試訳
1.アミノ酸を生産する細菌菌株を製造する方法であって、
選択アミノ酸の合成を調節すると共に該アミノ酸の合成の負の制御を破壊した変異を有する遺伝子を備えたドナー細菌の染色体DNA断片を、増幅を保証可能なプラスミド分子と組み合わせて、ハイブリッドDNA分子を形成すること、および
自身内での前記選択アミノ酸の合成をブロックする変異と、前記選択アミノ酸の代謝に関連する工程を少なくとも部分的にブロックする変異とを有するレシピエント細菌菌株の細胞を、前記ハイブリッドDNA分子で形質転換することと
からなる方法。

(侵害被疑菌株)
ADM社がABP社から得た菌株は、元々Genetika社が製造しABPに提供した細菌から、自発変異を起こさせて作製した新たなハイブリッドプラスミドG472T23(pYN8)およびG472T23(PKYN1108:06)の2つであった。ADMはABPにpYN8からアンピシリン耐性を与えるDNA部分を除去してテトラサイクリン耐性のみを残すようにし、スレオニンを生産する部分は残すようにABPに依頼し、G472T23(pYNSTOP)およびG472T23(pYNTE2)が製造された。
地裁ではかかる新たに製造された2つの菌株は薬剤耐性のみが異なると認定したが、ADM社は、新たな細菌中の、ABP社がプラスミド分子と組み合わせたハイブリッドプラスミドはクレーム中でいう「ドナー細菌の染色体DNA断片」には該当せず、ADM社は、ABP社が使用したDNA断片は「ドナー細菌」ではなく、ハイブリッドプラスミド由来であることを強調し、当該菌株のDNA断片はドナー細菌の断片ではないのでクレームの範囲に入らない旨反論した。

(CAFCの判断)
CAFCは、地裁で、当業者にとっての「ドナー細菌の染色体DNA断片」の意味を検討するに際し、両当事者の専門家陳述書を調べ、ADM社が日本の農水省に提出した書類においてADM社がスレオニンオペロンのことを「E.Coli染色体断片」と述べている用語の使い方と、ABP社の、ADM菌株に関する所有者マニュアル(Owners Manual for the ADM strains)における用語の使い方とを参酌し、染色体DNA断片はハイブリッドプラスミド中に同定可能であり、そのように分類されるべきであると結論し、地裁の侵害の認定を支持した。

(4) Glaxo Group Ltd. V. Ranbaxy Pharms, Inc., 262 F.3d 1333, 1335 (Fed. Cir 2001)

(事例説明)
Glaxo社は1981年5月12日に抗生物質であるセファロスポリンのファミリーに関する米国特許第4,267,320号を取得し、明細書には好ましい実施形態としてセフロキシム(cefroxime)の1エステルであるセフロキシム アキセチルが開示されており、クレーム4の化合物としても記載されていた。’320号特許は延長登録により2年間の延長を得て、2000年5月12日に満了した。
セフロキシム アキセチルは(1)無定型(分子が無秩序な配列)および(2)結晶型(分子が秩序立った配列)の2つの物理的形状をとり、この形状が特徴となっている米国特許第4,562,181号をもGlaxo社は取得しており、’ 181号のクレーム1は、
「1.残りの溶媒を除き、95%以上の純度を有する、結晶材料が本質的に存在しない無定型のセフロキシム アキセチル。」と記載されており、’ 181号特許は2003年6月29日に満了した。
Glaxo社はセフロキシム アキセチルの新薬使用についてFDAの許可を得て、’320号特許および、’ 181号の実施形態であるCeftin(登録商標)を1988年から市販し始めた。
1999年4月19日にRanbaxy社は、’320号の権利満了を期待して、セフロキシム アキセチルの後発医薬を市販するために医薬品簡略承認申請(ANDA)をFDAに申請した。Ranbaxy社のセフロキシム アキセチル製品は、約10~15%の結晶性セフロキシム アキセチルと、残りの無定型セフロキシム アキセチルとを含むものである。
Glaxo社はRanbaxy社を’ 181号特許に基づき、地裁に提訴し、仮差止が認められ、Ranbaxy社がこれを不服としてCAFCに上訴したものであり、均等論侵害の適用があるか否かが争われた。

(本件特許の説明)
’ 181号のクレーム1
1.残りの溶媒を除き、95%以上の純度を有する、結晶材料が本質的に存在しない無定型のセフロキシム アキセチル。

(侵害被疑品)
約10~15%の結晶性セフロキシム アキセチルと、残りの無定型セフロキシム アキセチルとを含むアキセチル製品。

(CAFCの判断)
CAFCは、’ 181号の出願時のクレーム1および4は、
1.実質的に無定型の高純度のセフロキシム アキセチル。
4.結晶材料が本質的に存在しない請求項1に記載の製品。
となっており、クレーム4の「本質的に存在しない」は「実質的に無定型の」よりも狭い意味であり、また明細書の実施例22には「X線結晶分析によれば製品は実質的に無形型で、結晶材料が少含量であることが判明した。」と記載されているため、「本質的に存在しない」は「少含量」よりも小さいはずと認定した。
これに対し、CAFCは、Glaxo社は’ 181号の実施例22と同じ実施例22を含む米国特許第4,995,567号および第5,013,833号の出願経過で、実施例22は製品が約10%の結晶材料を含むことを示していると説明し、「少含量」が’10%とするならばその下位概念である「本質的に存在しない」は10%未満であることが示唆されると認定した。
また、「結晶物質が本質的に存在しない」の解釈に関し、’ 181号特許は英国特許出願第8,222,019号の優先権を主張しているが、当該英国特許出願には「本発明のセフロキシム 1-アセトキシエチルエーテルは好ましくは結晶物質が本質的に存在せず、これは存在し得る結晶材料の量がX線結晶分析で検出できない程度に低い、すなわち化合物のサンプルのX線写真がリングを示さないことを意味する。」と記載されていた。かかるサンプルの結晶含量はゼロと見なされ得る。
このためCAFCは「結晶物質が本質的に存在しない」の解釈に当たり上記外国出願経過を参酌し、「結晶物質が本質的に存在しない」とは最大結晶含量が10%未満であることを意味し、さらにFesto判決(2000, complete barの時の判決)を引いて、均等論適用は認められないとした。

(5) Gillette Co. v. Energizer Holdings, Inc., 405 F.3d 1367 (Fed.Cir. 2005)

(事例説明)
原告Gilletteは、複数の刃(好ましくは3つ)を備えた(comprising)かみそりに関する米国特許第6,212,777号を有し、被告Energizer の侵害被疑品である4つの刃を備えたかみそりのQUATTRO(登録商標)を’777号特許を侵害しているとして提訴した。

(本件特許の説明)

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年’777号特許のクレーム1
1.安全カミソリ刃ユニットであって、
ガード (2)と、
キャップ (3) と、
ガード(2) とキャップ(3)との間に位置する、平行で鋭利なエッジを有する第1の刃(11)、第2の刃(12)、および第3の刃(13)のグループとを備え(comprising)、
第1の刃(11)は-0.2mm以上の負の向きを有するガードに最も近いブレードエッジを定義し、
第3の刃(13)は-0.2mm以下の正の向きを有するキャップに最も近いブレードエッジを定義し、
第2の刃(12)は第1の刃(11)の向き以上かつ第3の刃(13)の向き以下の向きを有するブレードエッジを定義するユニット。

先行技術の3枚以上の刃を有するカミソリは、2枚の刃を有するカミソリよりも皮膚により近づいて毛を剃ることができたがブレードユニットを皮膚上で移動させたときに牽引力が作用してユニット全体の性能が落ちるという課題があり、本願発明はこれを解決するため、皮膚に近づいて剃れるよう、ブレードの向きや間隔(S1~S4)のパラメータを漸進的に増大させている点に特徴がある。

(侵害被疑品)
被告Energizer社のQUATTRO(登録商標)は、4つの刃を備えたかみそりであり、ガード とキャップを有し、先頭ブレードは-0.2mm以上の負の向きを有し、後尾ブレードは-0.2mm以下の正の向きを有し、残る2つのブレードが先頭ブレードと後尾ブレードの間に配置されている以外、’777号特許の構成と同じであり、本願発明と同じ効果を奏するものとなっている。

(CAFCの判断)
CAFCはcomprisingがオープンエンドな用語であるため3つよりも多い刃を備えたかみそりは含まれ、4つ以上の刃のものは3つの刃程好適でないにしても原則通りクレームの範囲に属すると判示した。この際にGilletteの’777特許の対応欧州特許(EP722379A)の異議申立で、EPOに対し被告Energizer自身が欧州対応出願のクレームが4つ以上の刃の構成を排除しないと議論してcomprisingがオープンに解釈されることを支持していると述べ、被告自身の自認も’777号特許のクレームが3つよりも多い刃を有するかみそりを包含するようCAFCが解釈するのを明らかに支持している、と判示した。

まとめの表

 
原告
(特許権者)
被告
(侵害被疑者)
証拠の種類
証拠
取扱い
結論
事例1
Caterpillar Tractor Berco

原告がドイツ代理人に指示してドイツ特許庁になした引用文献に対する本願発明の陳述 (禁反言なし)

参酌

均等侵害あり

事例2
Tanabe Fermion他 原告が対応外国出願(イスラエル、フィンランドおよび欧州)でなした陳述 (禁反言あり) 参酌

均等侵害なし

事例3
Ajinomoto ADM

被告が日本の農水省に提出した書類(用語の解釈)

参酌

文言侵害あり

事例4
Glexo Group Ranbaxy Pharma

原告の関連米国出願の出願経過
原告の英国出願の記載(禁反言あり)

参酌

均等侵害なし

事例5
Gillette Energizer 被告が欧州対応出願の出願経過でEPOに提出した意見書(用語の解釈) 参酌

文言侵害あり

B.クレーム解釈の補助に外国出願経過の証拠が使用されなかった判決
(6) Heidelberger Druckmaschinen AG v. Hantscho Commercial Products, Inc., 21 F.3d 1068, 1072 (Fed. Cir. 1994)

(事例説明)
Heidelbergerは、ウェブ供給型回転式印刷機用の折りたたみ装置に関する米国特許第4,509,939号特許(発明者Muller)の譲受人であり、この折りたたみ装置は印刷機から印刷物のシートが現れたときにシートを折りたたむための装置でチョッパとも呼ばれ、Heidelberger は’ 939号特許の譲受人で該チョッパを備えた印刷機の製造業者でもあった。Hantscho社も該チョッパを備えた印刷機の製造業者であり、侵害のかどで提訴された。

(地裁の判断)
被告Hantscho社は、Mullerの’ 939号特許の出願経過で挙げられたRichiterの米国特許第4,239,201号およびCulbertsonの米国特許第2,309,047号と、追加で英国特許第1,427,739号およびIngenious Mechanisms for Designers and Inventors(Franklin D. Jones ed, 1978)という本をさらに提出して本願特許の自明性を主張した。地裁はRichiterとIngenious Mechanismの組み合わせによりMullarの発明は自明であり、’ 939号特許が無効であると判示した。

(CAFCの判断)
地裁で、Hantscho社は、多くの反論のうちの一つの外的証拠として、HeidelbergerがEPO審査官によるIngenious Mechanismsの文献を主因例とする出願拒絶の後、対応欧州出願を単純に取下げており、これは本願特許の装置の不特許性を確認するものであると述べたが、Heidelbergerはドイツ、日本、米国では特許が認められているためEPO特許の出願経過を強調すべきでなく、不特許とは譲らなかったが、CAFCは、地裁のこの判示は不適切であり、特許性の理論および法律は国ごとに違うため審査実務も国ごとに違うことに留意すべきである、理論や実務の国際的調和が達成されていないのだから米国特許法で103条要件を満たすか否かの判断に外国の特許審査のアクションを適用するには注意が必要である、と判事した。

(7) Northern Telecom Ltd. V. Samsung Electronics Co. 215 F. 3d 1281, 55USPQ2d 1065 (Fed. Cir. 2000)

(事例説明)
Northern Telecom社はアルミニウムおよび酸化アルミニウムの気体プラズマエッチングに関する米国特許第4,030,967号の特許権者であり、Samsung Electronicsを特許侵害としてテキサス北部地区連邦地裁に提訴した。

(地裁の判断)
クレーム中の「プラズマエッチング」と「アルミニウムおよび酸化アルミニウム」の解釈が争点となり、地裁は「プラズマエッチング」をイオン衝撃の機械的プロセスを必ずしも除外しない科学的プロセスと解釈し、「アルミニウムおよび酸化アルミニウム」を純アルミニウムおよび酸化アルミニウム層とし、アルミニウムシリコンのような合金は含まないと解釈した。
そして、Samsungの三塩化{さん えんか}ホウ素を金属表面原子と化学反応させ、該金属表面原子を除去する、金属表面原子を用いた反応性イオンエッチングプロセスは’ 967号の文言侵害であると認定した。これを不服としてSamsungがCAFCに上訴した。

(CAFCの判断)
Samsungは、クレーム中の「プラズマエッチング」がイオン衝撃の機械的プロセスを除外することを説明する多くの反論のうちの一つの外的証拠として、発明者が関連日本出願の出願経過でなした、プラズマエッチングがイオン衝撃を用いたプロセスとはエッチング機構が異なるとする陳述を示したが、CAFCは「違う出願における違うクレーム中の用語を解釈する陳述である限り、・・・記録によると特許権者がプラズマエッチングをイオン衝撃と違うとみなしていることが明確であることを認めても、(クレーム1の「プラズマエッチング」からイオン衝撃を排除する必要があると発明者が同意すると確信するに足る証拠がないため)これを非侵害の事実認定のための義務とすることには同意できない。」とした。

(8) TI Group Automotive Systems (North America), Inc. v. VDO North America, L.L.C., et al., 375 F. 3d 1126 (Fed. Cir. 2004) 

(事例説明)
原告TI Groupは燃料タンクからエンジンへの燃料輸送装置に係る発明の米国特許第4,860,714号の特許権者であり、VODを特許権侵害で訴えた。

(本件特許および侵害被疑品の説明)
’ 714号の発明のアセンブリは上部開口部12と下部開口部14を備えたリザーバ10を備え、高圧ポンプ26がリザーバ10中に存在し、燃料を配管106を介してエンジン燃料噴射装置116に送る。ジェットポンプ30はノズル54とベンチュリ管58を備え、開口部14を介して燃料タンクから燃料を引き出して燃料をリザーバ10に供給する。タンク内の燃料が少なくても、ジェットポンプ30はリザーバ10内および高圧ポンプ26への入口42周囲の燃料を比較的高いレベルに維持するように作用する。
先行技術の燃料枯渇防止システムは高圧ポンプからのすべての出力をエンジンに送り、燃料をリザーバに圧送するジェットポンプの駆動にエンジンから戻る燃料を使用する「戻り側システム」であるのに対し、’ 714号の発明は燃料を高圧ポンプからジェットポンプに直接供給する「供給側システム」である点で有利な構成となっている。侵害被疑品も本件特許と同じ「供給側システム」である。

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年(地裁の判断)
いくつかの用語の定義がクレーム解釈上争われ、その一つに、燃料をリザーバへ送るポンプ手段(pumping means (26))がwithin the reservoir (10)に位置するとの記載があり、このwithinの用語の定義があった。
地裁はwithinがinsideを意味すると解釈し、TI Groupはこの定義は不必要に狭いとしてこれを不服としCAFCに控訴した。

(CAFCの判断)

CAFCで、TI Groupは、特許権者はwithinをinsideやon the interiorよりも広い意味で使っているため、クレームの範囲には全外延が許容されるべきであると主張した。VDOは、(1)図面に示されている構造はポンプ手段がリザーバのinsideに位置することを示している、(2)TI Groupの反論はwithinの最も重要な定義を無視している、(3) TI Group自身が対応日本出願の出願経過でwithinがinsideを意味するという陳述をしていると反論した。
CAFCはVDOの(3)の主張に対して判示するのを避け、「外国での特許取得のための法的および手続は多様であるため、特定の種類の陳述は米国でのクレーム解釈で考慮するには不適当とみなされる場合もある」と示した。
上記争点について、CAFCはTI Groupが採用するようCAFCに促したwithinの定義が、VDOの主張する定義や地裁が採用した定義と変わらず、通常の用語の使用法によるとwithinはoutsideではなくinsideを指すため、withinをinsideとする地裁の解釈を支持した。VDOの侵害被疑装置のポンプ手段はリザーバから燃料タンクを分ける開口部の外側にあるため、非侵害の判決が下された。

(9) Tap Pharm. Prod. Inc. vs. Owl Pharm., L.L.C., 419 F. 3d 1346 (Fed. Cir. 2005)

(事例説明)
TAP Pharmaceutical Products, Incは製剤の賦形剤として有用な生分解性高分子ポリマーの発明に関するは米国特許4,728,721号(‘721号特許)の特許権者であり、この権利でカバーされる前立腺がん治療の徐放製剤ロイプロリドを市販している。Owl社は、ロイプロリドの後発医薬を市販するために医薬品簡略承認申請(ANDA)をFDAに申請したが、TAP社はOwl社を‘721号特許の侵害として提訴した。

‘ 721号特許のクレーム1
1.製剤組成物の生産において賦形剤として有用な生分解性高分子ポリマーであって、
約50~100モルパーセントの乳酸と、約50~0モルパーセントのグリコール酸とからなり、約2,000~50,000の重量平均分子量を有するコポリマーまたはホモポリマーを含み、
水溶性低分子化合物の含有量が、前記各化合物が一塩基酸であると仮定して計算した場合に、前記高分子ポリマー100グラム当たり0.01モルよりも少ない、生分解性高分子ポリマー。
従来技術のマイクロカプセルでは、(1)マイクロカプセルからの薬物の最初の放出が多すぎる、(2)マイクロカプセル製造中に組み込める薬物が少ない、(2)マイクロカプセルに使用されるポリマーの長期安定性が低いという問題があったが、‘ 721号特許は水溶性低分子化合物の含有量を低濃度に減らしたことでこれを解決したものである。

(地裁の判断)
Owl社のポリマーは、ラクチドおよびグリコライドから開環重合で得たものであった。
地裁の略式判決では、用語『コポリマー』は、出発分子としての乳酸とグリコール酸を含む直接重合により製造されたコポリマーを含め、乳酸とグリコール酸がまずラクチドおよびグリコライドという環式ダイマーに変換されてから触媒で開環されてコポリマーとなる開環重合でもよく、いかなる方法で生産されてもよいと認定し、OWL Pharmaceuticalが‘ 721号特許のクレーム1を侵害していると判示した。OWL社がこれを不服としてCAFCに上訴した。

(CAFCの判断)
用語「乳酸とグリコール酸とからなるコポリマー」の解釈が問題となった。Owl社はかかる用語はコポリマーが出発物質として乳酸とグリコール酸から製造される必要がある、つまり直接重合により製造されたコポリマーである必要があるとして争った。また、Owl社は、本特許の対応欧州出願での出願経過で「高分子ポリマー(high molecular polymer)」の用語が記載不明瞭であることが指摘されると共に、引例が挙げられ、出願人であるTapはクレームを補正し「本願の高分子ポリマーは、引例のようなラクチドおよび/またはグリコライドの(開環)重合物ではない。」と述べ、ラクチドとグリコライドから製造されたコポリマーをTAPが排除したと主張した。

しかし、地裁では、出願人がクレームを上記のように特徴付けたにも関わらず第2回目のOA時に欧州審査官がこの特徴付けを拒絶して「グリコライドはグリコール酸の環式ダイマーであるため、本願発明のポリマーがラクチドおよび/またはグリコライドの重合物ではないと出願人が述べるのは正しくない」としたため、TAPは以後、本願発明の新規かつ特許性のある特徴は不純物である水溶性低分子化合物のレベルにあるとしてこの特徴付けから遠ざかっていると説明したため、地裁が出願人が欧州審査官になした陳述に重きを置かないのは妥当であるとCAFCでも地裁の判断を支持し、Owl社の‘ 721号特許侵害の地裁判断を支持した。

(10) Pfizer, Inc. vs. Ranbaxy Lab. Ltd, 457 F.3d 1285(Fed. Cir. 2006)

(事例説明)
原告Pfizerは、被告Ranbaxyが原告の米国特許第4,681,893号を侵害しているとして提訴した。’893号特許のクレーム1は、特定の構造式を有する化合物であり、被告Ranbaxyの被疑侵害品はR-トランスエナンチオマー(鏡像異性体)であった。

1.構造式Iを有する化合物。

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

(各置換基の記載は省略)

上記化合物は左側にピロール環(置換基はR1-R4の4つ)があり、右側にピラン環(またはラクトン)があり、これら2つの環をアルキル鎖Xで連結したものであり、化合物のラクトン環が開いた形式のこのヒドロキシ酸や医薬として許容される塩も包含している。

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

Pfizerによると、抗高脂血症薬Lipitor(登録商標)の有効成分はアトルバスタチンカルシウムすなわち

米国における外国出願経過禁反言(Foreign Prosecution History Estoppel)について | 2010年

である([R-(R*, R*)]-2-(4-fluorophenyl)-β, δ-dihydroxy-5-(1-methylethyl)-3-phenyl-4-[(phenylamino)carbonyl]-1Hpyrrole-1-heptanoic acid, calcium salt (2:1) trihydrate)。

(CAFCの判断)
被告Ranbaxyは、(1)地裁がクレーム1の式Iを解釈するに当たり鏡像異性体のアトルバスタチンカルシウムを含めすべてのトランス型異性体を含むとしているのには誤りがある、当業者は鏡像異性体であるラセミ体を示すはずであり式Iもラセミ体(ラセミ混合物、つまり(±)またはR体とS体で表される同じ化合物の鏡像体の両方の等量混合物)に限定されるべきである、(2)明細書にもラセミ体を生産する反応系列のみが開示されている、(3)対応外国出願の出願経過で、特許権者は「トランス-」を「トランス(±)」と読むべきであると主張したため、式Iはラセミ体に限定されるべきであり、RanbaxyのANDA薬はアトルバスタチンカルシウムのR鏡像異性体(つまりラセミ体の一方だけ)であるため’893号特許のクレーム1を侵害しないとして争った。
CAFCは、争点(1)(2)については特許権者がR-cis異性体とS-cis異性体の権利放棄したことを除けば、クレーム1は式Iの4つすべての異性体を包含すると用語を解釈するとし、Ranbaxyがいう「ラセミ体」「ラセミ混合物」は’893号特許にもクレーム1にも明示に記載されていないとした。
争点(3)は、対応デンマーク出願の出願経過で、クレーム範囲が「包括的すぎる」という審査官の拒絶に対応するために、出願人はクレームをラセミ体に減縮し、対応欧州出願経過でも、IUPAC規則に従って「トランス-」を「トランス(±)」と補正したが、地裁はこの減縮補正はデンマークおよび欧州特許法に規定された法的および手続的要件に対応するためであるとみなし、先のTI Group判例(今回の事例8)を引いて、明細書とクレームの明示的用語に基づき、外国対応出願の出願経過での出願人の陳述は、米国での893号特許の地裁クレーム解釈とは無関係であると判示し、問題となっている文言を「鏡像異性体を含むすべてのトランス型異性体を含む」と解釈し、地裁の判決を支持した。

まとめの表

 
原告
(特許権者)
被告
(侵害被疑者)
証拠の種類
証拠
取扱い
結論
事例6
Heidelberger Hantscho

原告の欧州出願での主引例に基づく出願取下げの事実 (権利の有効性判断)

不参酌

特許有効

事例7
Northern Telecom Samsung Electronics 原告が関連日本出願の出願経過でなした陳述 (用語の解釈) 不参酌

文言侵害あり

事例8
TI Group VDO

原告が対応日本出願の出願経過でなした陳述(用語の解釈)

不参酌

文言侵害なし

事例9
Tap Pharm Owl Pharm

原告が対応欧州出願の出願経過でなした陳述(用語の解釈)

不参酌

文言侵害あり

事例10
Pfizer Ranbaxy 原告が対応デンマーク出願およびEPO出願の出願経過でなした減縮補正(用語の解釈) 不参酌

文言侵害あり

上記判決からわかる傾向

  • CAFCには年間3000件前後の侵害訴訟が提起されている事実から考えると、外国の出願経過が争点になったケースは予想していたよりも少なかった。参考文献5以降、日本の特許権者が関与する近年目立った判例がありませんでした。
  • 外国出願経過を争点にするにしても、一般に、多くの争点のうちでも補助的な取り扱いになっており、真っ向から外国出願経過がメインの争点となっているものは事例1や2のように極めて少ないことがわかりました。
  • 外国出願の経過が参酌される場合は、原告や被告が自身の互いに矛盾する主張を元に無理に権利を要求しているような場合が殆どで、基本的には原則通り、米国特許の重要度の高い内的証拠に基づいて権利解釈がなされています。
  • 外国対応出願で、争点と無関係な拒絶を解消するために提出された意見書や補正書が、証拠として米国裁判所に採用される可能性は低いと考えられます。
  • 外国出願経過から考慮される証拠は、外国特許庁に特許権者(または被告)がなした陳述(例えば意見書)がメインであり、補正だけだと、外国特許庁特有の実務に合わせて補正したとか補正の根拠が明確でない場合があるため、参酌するか否かの判断がより慎重になっています。
  • 今回の1~10の事例は、争点・状況がかなりバラバラで判断も個別に分かれているため、近いケースに注意するという対策が最も有効と思われます。
  • 外国の出願経過が認められる可能性のある場面は2つあり、すなわち(1)文言侵害のためのクレーム解釈における外国出願経過の使用と、(2)均等論適用の際の特許権者への禁反言の証拠としての外国出願経過の使用があり、事例8-10のように最近の判例では(1)の文言侵害の認定の際に外国出願経過を参酌するのを避ける傾向があります。

実務上の指針・考察

文言侵害のためのクレーム解釈において、近年出願人がなした外国出願経過の主張が使用されにくいことが分かりました。米国で権利者がよほど自己矛盾する主張をしない限り、外国出願経過禁反言を過度に恐れる必要はないと言えるかもしれません。ただし、ファミリー出願の中間処理の際に、引例を回避したいがためにあれもこれもと必要以上に反論しない方がよいという原則は当然守った方がよいと思われます。
米国の外国出願経過の判例自体、蓄積が少ないことがわかったので、近いケースを参考にするという検討の仕方が有効と思われます。
なお、日本、欧州、中国、韓国についても調べられる範囲で外国出願経過禁反言のケースも探してみましたが、韓国は参考文献6がありましたが、他の国については最近の事例でネットで話題になるような判例は見当たりませんでした。中国はまだ判例の蓄積が少ない、日本・欧州・中国は米国より審査が厳しくクレームも狭くなる傾向があるため、外国出願の経過を証拠として挙げるのが有効でない、等の理由が考えられます。
中間処理時の注意事項として、ファミリー案件は同一担当者が担当し(当所はこのようになっていますが)、拒絶理由通知に対する意見書・補正書の内容を、対応ファミリーである程度一致させ、極力、はみ出ないように注意した方がよく、日本で厳しい拒絶理由が発せられている場合、意見書の書き方を工夫したり、対応ファミリーの審査結果を示しつつ面接を利用する等も有効かもしれません。
・権利行使時の注意事項として、攻め側の場合、外的証拠としての相手のファミリー外国出願の出願経過を証拠方法として考慮し(事例(1) 、(2) 、(4))、自身の主張の矛盾にも気をつけるべき(事例(3)、(5))であり、守り側の場合、中間処理時に無駄な陳述を避けると共に、ファミリー外国出願の出願経過が考慮される証拠とならないよう考慮されなかった先例(事例(6)-(10))を検討しておくのがよいでしょう。

参考ウェブサイト

  1. The Potential Effects of Foreign Prosecution on Patent Infringement Litigation Baker Botts IP Report, November 2006
  2. The Role of Foreign Prosecution History in Patent Infringement Actions Tung T. Nguyen Sidley Austin Brown & Wood LLP
  3. PATENTLY IRRELEVANT? USE OF FOREIGN PROSECUTION HISTORY AS EXTRINSIC EVIDENCE DURING LITIGATION OF A COUNTERPART U.S. PATENT
    Journal of Technology Law&Policy, Elizabeth Cowan Wright, June 2005
  4. The Effect of Statements Made During Prosecution of Foreign Counterpart Patent Applications on United States Patent Claim Scope
    PETER G. THURLOW AND ANTHONY D. MUSTILLO
  5. 知財管理 2004年11月号 河野英仁 「禁反言の効力とその適用限界」
  6. Hyung Joon Lee. 2009. “PROSPECTIVE OF FOREIGN PROSECUTION HISTORY ESTOPPEL IN KOREAN PATENT LITIGATION”, 2009

以上