2026.07.07
限定公開令和5年(ワ)第2668号 土留め用植生土嚢に関する意匠権等侵害差止請求事件
‐自然物を含む意匠の保護範囲と特許均等論における「のみ」限定‐
2026年7月7日掲載
弁理士 正木 美穂子
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裁判所・判決日 |
大阪地方裁判所・令和7年1月23日 |
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事件番号 |
令和5年(ワ)第2668号 |
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原告/被告 |
環境緑化関連事業者/植生用土嚢袋の製造販売業者 |
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争われた権利 |
意匠登録第1531256号・第1531255号、特許第6625327号 |
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結論 |
請求棄却(意匠・特許とも侵害不成立、無効理由は判断せず) |
1. はじめに
本判決は「土留め用植生土嚢」という、自然物(植物)を含む工業製品に係る意匠権及び特許権の侵害成否が同時に争われた事案である。原告は、被告製品である植生用土嚢袋について、意匠法38条の間接侵害及び特許権の均等侵害を主張したが、大阪地裁は、本件意匠と被告土嚢(被告製品に土砂が詰められたもの)は類似せず、また被告製品は本件特許発明と均等なものでもないと判断した。なお、無効理由については判断されていない。
意匠については、本件各意匠の登録対象として実線で表された「草」を、どの程度定型性・再現可能性を有するものとして認定するかが、類否判断上の問題となった。特許については、「植生シートは袋本体の開口縁部においてのみ、脱落可能に固定してある」との構成要件が、均等論上の本質的部分に当たるかが争点となった。
本稿では、自然物である「草」を含む意匠の類否判断を中心に判示内容を確認しつつ、特許における均等論の判断もあわせて概観する。その上で、自然物を含む意匠の出願及び権利行使に関する実務上の留意点を検討する。
2. 事案の概要
原告は、環境緑化工事の設計施工等を目的とする会社であり、下記に示す本件意匠権及び本件特許権を他社と共有していた。
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本件意匠1 |
本件意匠2 |
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意匠登録第1531256号(部分意匠) |
意匠登録第1531255号(全体意匠) |
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意匠に係る物品:いずれも「土留め用植生土嚢」 |
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| 本件特許 |
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特許第6625327号 |
原告は、植生用土嚢袋を製造販売していた被告に対して、上記意匠権及び特許権に基づき、被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄を求めた。
なお、意匠については、登録意匠に係る物品が草の生えた「土嚢」であったのに対し、被告が製造販売していたのは土砂充填前の「土嚢袋」であったため、意匠法38条の間接侵害が問題となった。
3. 意匠に関する裁判所の判断
3.1 本件意匠における「草」について
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