【2026年7月1日施行】EU意匠制度改正 第2フェーズにおける主要変更点|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

【2026年7月1日施行】EU意匠制度改正 第2フェーズにおける主要変更点|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

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【2026年7月1日施行】EU意匠制度改正 第2フェーズにおける主要変更点

1.改正の経緯

欧州連合(EU)では、意匠制度を取り巻く様々な課題に対応するため、欧州連合意匠規則を改正する規則(EU)2024/2822および意匠の法的保護に関する指令(EU)2024/2823が採択され、いずれも2024年12月8日に発効しました。

この改正は、デジタル時代への適応、意匠や製品の定義・保護範囲の明確化、手続の簡素化、ならびにEU加盟国間における保護ルールの調和等を主な目的とするものです。

改正規則に基づく変更は段階的に適用されることとされており、第1フェーズは2025年5月1日から適用されています。第1フェーズにおける主要な変更点については、【2025年5月1日】欧州意匠規則改正 第1フェーズの主要変更点をご参照ください。

 

2.第2フェーズの適用開始日

第2フェーズでは、Commission Implementing Regulation (EU) 2026/138及びCommission Delegated Regulation (EU) 2026/137が2026年7月1日から適用され、改正EU意匠規則(EUDR)の実施に必要な、出願・登録・公告・無効手続等に関する詳細な手続きルールが整備されました。

 

3.第2フェーズで導入される主な変更点
(1)図面数

 従来、1意匠につき提出できる図面は最大7図までとされていましたが、第2フェーズでは、静的表示(図面、写真等)については、最大10図まで提出できるようになりました。

(Design Guidelines 5.2.1

 

(2)意匠の新しい表現方法

従来から認められていた図面や写真による静的表示に加え、3Dモデルや動画を用いて意匠を表示することが可能となりました。

ただし、1つの意匠については、静的表示、動的表示又はアニメーション表示のいずれか1種類の表現方法を用いる必要があり、これらを組み合わせて表示することはできません。静的表示には図面又は写真が含まれ、動的表示には3Dモデル等が、アニメーション表示には動画等が含まれます。

3Dモデル又は動画を用いる場合、1意匠につき提出できるファイルは1ファイルのみです。

また、3Dモデル又は動画による表示は、EU域外のすべての国・地域で認められているわけではありません。そのため、当該EU意匠出願を基礎として、EU域外の国・地域で優先権を主張する場合には、当該国・地域においてこのような表現方法が認められない可能性がある点に留意する必要があります。

Commission Implementing Regulation (EU) 2026/138 Article 2(1), Design Guidelines 5.1, 5.2, 5.3

(3)図面等の補正・変更

第2フェーズでは、出願中のEU意匠について、重要でない細部(immaterial details)に限り、補正(amendment)が認められることとなりました。また、登録後のEU意匠についても、重要でない細部に限り、登録簿上の図面等を変更(alternation)することが可能となりました。

ここでいう「重要でない細部」とは、例えば、削除、ディスクレーム、修正若しくは追加された特徴、又は変更若しくは取り下げられた図が、その大きさ又は重要性に照らして極めて軽微であり、通常認識されない程度のものである場合を指します。

EUDR Article 47a, Article 50e, Commission Implementing Regulation (EU) 2026/138 Article 7, Design Guidelines 9.3.1, 11.3.1

 

(4)製品表示の取扱いの明確化

Article 48(4) EUDRに基づく製品表示の不備について、EUIPOにおける審査上の取扱いが明確化されました。

ガイドラインでは、製品表示に関する不備が問題となり得る例として、主に以下の場合が挙げられています。

  • ロカルノ分類に基づくの製品名リスト(DesignClass)にない名称が記載されており、製品の内容やロカルノ分類上の位置付けを判断できない場合
  • 図面、写真、3Dモデル等に表された意匠の内容と製品表示が一致しない場合
  • 製品の一部(part of-)、複数製品から構成されるセット(set of-)、製品に施される装飾・模様を保護対象とする場合に、製品表示がその内容に適切に対応していない場合
  • 製品表示が広範又は曖昧であるため、各製品をロカルノ分類上の1つのクラス及びサブクラスに分類できない場合

EUIPOは、出願時に出願人が職権による製品表示の変更を許容するオプションを選択している場合は、出願人に確認を求めることなく、職権で製品表示を変更して審査を進めることがあります。一方、当該オプションを選択していない場合は、製品表示の変更案を提示し、出願人の回答を待つことになります。

なお、適切な製品表示がDesignClassに掲載されていない場合には、出願人が独自の製品表示を記載することも可能です。ただし、その場合であっても、製品表示は、対象となる製品の性質を明確に示し、ロカルノ分類の該当するクラス及びサブクラスに分類できるものである必要があります。また、ガイドラインでは、登録手続を迅速かつ簡素化し、提出された用語の翻訳に伴う遅延を避けるため、DesignClass掲載の製品表示を用いることが強く推奨されています。

EUDR Article 48(4), Design Guidelines 6.1.5.3, 6.1.5.4

 

(5)無効請求手続における優先的判断

第2フェーズでは、登録EU意匠の無効請求手続についても、一部見直しが行われました。特に、新規性又は独自性の欠如を理由とする無効請求において、登録EU意匠の権利者が無効理由又は請求内容を争わない場合には、EUIPOが当該無効請求について優先的に判断する旨の規定が設けられました。
これにより、権利者が争わない無効請求については、通常の審理を経る場合と比べて、より効率的に処理されることが期待されます。

Commission Delegated Regulation (EU) 2026/137 Article 7)

 

4.参考資料