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台湾の商標制度

基本情報

商標とは、識別性を有する標識であり、文字、図形、記号、色彩、立体、形状、動態、ホログラム、音声等、またはその組合せにより構成されるものです。識別性とは、商品または役務の関連消費者に、商品または役務の出所を認識させ、自他商品または役務の区別できるものです。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定には加盟していないので、台湾に直接商標出願する必要があります。WTOには加盟しているので、日本出願を基礎とした優先権主張は可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先願登録商標、他人の周知商標との同一・類似、品質誤認の有無、公序良俗違反の有無、著名となっている他人の氏名・名称等を含む商標など、登録を受けることができない商標に該当しないことが必要です。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

願書に出願人名を中国語の繁体字で記載する必要があります。
そのような繁体字の記載を台湾で未使用の場合であっても、弊所と取引のある現地代理人に当該記載の候補の提示を依頼することが可能です。

香港の商標制度

基本情報

商標とは、文字、図形、文字と図形の組み合わせのほか、音声、香りの商標の登録も認められています。団体標章、証明標章、連続商標といった制度があります。

国際条約

パリ条約に加盟しているので優先権を主張することができますが(優先権証明書取り寄せ不要)、マドリッドプロトコル(以下「マドプロ」という)に加盟していないので、マドプロによる香港の領土指定はできません。※2022年中にマドプロ加盟予定です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

ありません。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

例えばモノクロと色付きとの違いのみである等の色違いマークを、シリーズマークとして1つの出願にまとめることができます。
願書に出願人の日本名称のローマ字表記(例えば、●●Kabushiki Kaisha等)を記載する必要があります。
なお、出願から登録までにかかる費用が他国よりも高額である点に注意が必要です。

韓国の商標制度

基本情報

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

実体審査

絶対的登録要件及び相対的登録要件が審査されます。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

2022年1月10日付で国会を通過した商標法一部改正により、指定商品または役務の一部の登録を認めないとする部分拒絶を受けた場合は、応答期限までに補正書等を提出しなくても、部分拒絶を受けなかった指定商品等について公告されます。
当該商標法一部改正は、公布日から1年経過した日から施行されます。
登録済または出願中の商標について、指定商品または役務の追加が可能となる制度があります。もちろん追加登録した指定商品等の存続期間は、追加先の商標登録の存続期間と同一です。追加登録せずに新たな出願で登録を図っても問題ありません。

フィリピンの商標制度

基本情報

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。ただし、国際商標登録出願については、フィリピンにおいてマドリッド協定議定書の効力が発生した2012年7月25日より前の国際登録をもとに事後指定をすることはできません。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。
ただし、出願日から3年目、登録日から5~6年目、更新から1年目に使用宣誓書の提出が必要です。

その他

パリ優先権を主張した場合は、その主張の基礎となった案件が登録されたかの情報提供をオフィスアクションを通して求められます。主張の基礎となった案件が登録されなければ、パリ優先権の主張はないものとして審査されます。

インドネシアの商標制度

基本情報

立体商標、ホログラム商標、音声商標、香り商標などの非伝統的商標の保護が可能となりました。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。但し、使用宣誓が必要です。

その他

先行類似登録の存在を理由として登録が認められなかったとしても、同じ内容で再出願すればすんなりと公告に至り、異議申立も受けずに登録される場合があります。意見書による反論が認められずオフィスアクションが撤回されなかった場合であれ、再出願をご検討いただく価値があります。

シンガポールの商標制度

基本情報

シンガポールでは、団体商標、証明商標の出願が可能です。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

ありません。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

例えばモノクロと色付きとの違いのみである等の色違いマークを、シリーズマークとして1つの出願にまとめることができます。出願商標が日本語の表記である場合は、その英語での翻訳及び音訳を記載した書面が出願時に必要です。当該書面には翻訳者の「翻訳に間違いがない旨の宣言」及び署名も必要です。

ベトナムの商標制度

基本情報

商標とは、互いに異なる組織、個人の商品、役務を識別するための標識をいう、と規定されています。団体商標、連合商標制度があります。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

平仮名、片仮名、漢字等の英文字以外の文字のみのマークで出願した場合には、そのマークに商標としての特徴(いわゆる識別力)がないとして登録されません。このことは、ベトナムならではの判断基準となっております。

マレーシアの商標制度

基本情報

連続商標(シリーズ商標)制度があります。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

現地委任状、及び宣誓書(公証人認証を受けたもの)が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

弊所の経験上、他国よりもより具体的な(例えば、商品の用途等で限定した)指定商品役務の記載とするように求めるオフィスアクションが出される可能性が高い傾向にあります。そのため、出願前の現地代理人への指定商品役務の確認を推奨いたします。出願商標が日本語の表記である場合は、その英語での翻訳及び音訳を記載した書面が出願時に必要です。当該書面には翻訳者の「翻訳に間違いがない旨の宣言」及び署名も必要です。

ミャンマーの商標制度

商標法が正式に施行される時期(いわゆるグランドオープンの期日)がいつになるか不明です。ただし、グランドオープンまでの期間(いわゆるソフトオープン期間)にて、従来の商標登録者証制度の登録が存在する等の条件を満たしていれば、先行出願することができます。なお、グランドオープン後に、この先行出願はグランドオープンの日に出願されたものとして取り扱われます。ただし、先行出願に要するミャンマー商標局の公的費用が公表されていません。そのため、この公的費用が公表され次第、先行出願の公的費用を出願後に支払う必要があります。

基本情報

国際条約

パリ条約に加盟しているので優先権主張が可能ですが、マドリッドプロトコル(以下「マドプロ」という)に非加盟ですのでマドプロ出願は不可能です。

権利付与の原則

商標法が施行されれば、日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用される見込みです。
しかし、政情不安のため、施行日は未定です。

実体審査

絶対的登録要件が審査された後、公告され異議申立てがされた場合に相対的登録要件が審査されます。

出願必要書類

(ソフトオープン期間中の場合)商標登録者証の写し、及びミャンマー紙への新聞広告の写しが必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

(未定です。)

タイの商標制度

基本情報

写真、絵画、創作された図、ロゴ、名称、語句、文、文字、数字、署名、色の集合、物体の外形(shape)もしくは形状、音、またはそれらの一つもしくは複数が結合したものに対して登録が認められています。2016年改正で音商標が保護対象に追加されました。
登録要件として、識別性を備え、商標法で禁止されている特徴を持たず(不登録事由は別途規定があります)、他人の登録商標と同一または類似しない商標であることが求められます。

国際条約

パリ条約(優先権証明書取り寄せ不要:日本代理人の署名付の「日本で出願中の案件で間違いない」旨を証明する書面の提出は要)、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

出願必要書類

現地委任状(公証人認証を受けたもの)が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

弊所の経験上、他国よりもより具体的な(例えば、商品の用途等で限定した)指定商品役務の記載とするように求めるオフィスアクションが出される可能性が高い傾向にあります。そのため、出願前の現地代理人への指定商品役務の確認を推奨いたします。

以前は、英文字マークについて、母音を含む3文字以上かつ単語として発音可能な場合(例:「DOG」「CAT」)のみ識別力有と商標局は判断していました。しかし、審査基準の改定により緩和され、指定商品との関係上品質を表す文字列や、連続するアルファベット(例:「ABC」「XYZ」)でなければ、識別力が認められるようになりました。

インドの商標制度

基本情報

インドでは登録主義とともに先使用主義を採用しています。先使用権は明文規定で認められています。使用は商標出願の条件ではありませんが、出願商標が競合する場合、登録が認められるのは最先に使用を開始した出願人です。

商標制度はコモンローの影響が大きいです。そのため、先に使用されている未登録商標も保護され、この未登録商標の侵害者を相手に詐称通用(Passing off)に基づいて訴訟を提起することができます。

国際条約

パリ条約、マドリッド協定議定書に加盟していますので、日本出願を基礎とした優先権主張や国際商標登録出願が可能です。ただし、国際商標登録出願については、インドにおいてマドリッド協定議定書の効力が発生した2013年7月8日より前の国際登録をもとに事後指定をすることはできません。

権利付与の原則

日本と同様、先願主義(最先の出願人に権利を付与する制度)が採用されています。

実体審査

(絶対的登録要件)
識別性を有するものであることが必要です。

(相対的登録要件)
先行する他人の登録商標に類似する商標は、登録を受けることができません。

インドでは出願商標が競合する場合、登録が認められるのは最先に使用を開始した出願人になります。

出願必要書類

現地委任状が必要です。

更新時の使用証拠の提出有無

不要です。

その他

インド市場で使用開始済の商標を出願する場合は、当該商標をインド国内で使用した最初の年月日を願書に記載することになります。ただし、当該年月日を証明可能な使用証拠がなければ、これからインドで商標を使用する(使用意思有)として出願することになります。
オフィスアクションに応答した場合であれ、ほとんどの場合に商標局からヒアリング(面接審査)への参加指令を受けます。登録をご希望の場合は、ヒアリングへの参加が必須です。