Johnson&Johnson社が「PISSTERINE」の米国商標登録の阻止に成功|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

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Johnson&Johnson社が「PISSTERINE」の米国商標登録の阻止に成功

2022年2月7日
米国特許弁護士 マイケル・ピストリオ

Johnson&Johnson社 対 Pisterine LLC 異議番号第91254670号(2022年1月18日)

米国特許商標庁商標審判部は、登録商標「LISTERINE」と混同が生じる可能性の存在を理由として、商標「PISSTERINE」に対するJohnson&Johnson社の異議申立を認容しました。

Instagramのページによると、Pissterine LLCは、商標「PISSTERINE」を付した「家族全員のための尿風味の口内洗浄剤」なるノベルティ品を市場に流通させています。国際分類第3類の指定商品「口内洗浄剤(医療用のものを除く。)、口内洗浄剤及びうがい液(医療用でないもの。)、口内洗浄剤(医療用でないもの。)」についての「PISSTERINE」の出願をPissterine LLCは行いました。そして、「LISTERINE」として有名な口内洗浄剤に対する多数の有効な商標登録に基づいて、Johnson&Johnson社は当該出願に対する異議申立を請求しました。

審判部は最初に、周知有名な標章は『他の標章よりも広い権利範囲』を備えるため、需要者にあまねく知られている「LISTERINE」を付した商品は、『混乱が生じる可能性があるとの申立』を強く支持すべき強力な商業的強さ/名声を持っていると示しました。

混乱が生じる可能性についてのDuPont factorsに基づく極めて一般的な分析を通して、互いの標章が実質的に類似しているとともに、流通経路及び受領者が重複していると審判部は判断しました。さらに審判部は、需要者の商品に対する専門度は「普通」であると判断しました。そのため、異議を認容するとともに、上記出願の登録を拒絶しました。

なお審判部は、パロディーの作成を意図していると判断したため、「PISSTERINE」が悪意に基づく出願であるとは認定しませんでした。

とはいえ、一般的な需要者が「PISSTERINE」をパロディーとして認識する可能性を加味せずに、審判部がJohnson&Johnson社の主張をそのまま認容したことに注意が必要です。これはおそらく、「PISSTERINE」についての需要者の認識に関する証拠、すなわち、審判部がJohnson&Johnson社の主張をそのまま認容したことに対する反論をPisterine LLCが一切提出しなかったためであると思われます。

また、審判部よる今回の決定は、上述のように登録を拒絶するものの、Pisterine LLCによる「PISSTERINE」のパロディーとしての使用を排除するものではないということにも注意が必要です。