商標審決レポート(Prince Hotel)|判例研究/レポート|特許業務法人オンダ国際特許事務所

商標審決レポート(Prince Hotel)|判例研究/レポート|特許業務法人オンダ国際特許事務所

アクセス

商標審決レポート(Prince Hotel)

2021年8月31日
弁理士 木村達矢

審判番号 無効2020-890029(登録5750467号)
事案の概要 欧文字の「P」をモチーフにしたロゴマークについて、ともに欧文字「P」をモチーフにしているものの、ロゴの傾きの程度、下辺が「∞」のような形でリボンのような終筆であるかという点などにおいて、顕著な差異を有するものであるから、時と処を異にして離隔的に観察しても、紛れるおそれはないとされた事案。
審決/判決 審決
審決日 2020年12月2日
出願人/権利者 株式会社プリンスホテル
商標

本願商標
商標審決レポート(Prince Hotel) | 2021年

引用商標1登録5059390号

商標審決レポート(Prince Hotel) | 2021年

引用商標2登録5454197号

商標審決レポート(Prince Hotel) | 2021年

指定商品

第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,かき氷」

第43類「飲食物の提供」

審決の内容

1.商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、欧文字「P」をモチーフにした筆記体風のものを右側に大きく傾けた「本件Pロゴ」と、その右側に「Precious」の文字、その下にこれよりも小さく「Mon Favori Sweets」の文字をそれぞれ配してなるものである。
そして、「本件Pロゴ」は、その右側に配されている「Precious」及び「Mon Favori Sweets」の欧文字部分とは、視覚的に分離されて看取されるうえに観念的な関連性も見いだせず、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないことから、「本件Pロゴ」部分が独立して分離、抽出される場合もあるといえる。また、「本件Pロゴ」部分を、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとみるべき事情はない。
そうすると、本件商標は、その構成中、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得る「本件Pロゴ」部分をもって取引に資する場合もあると判断するのが相当である。

(2)引用商標

引用商標1は、直立した筆記体風の欧文字「P」をモチーフにし、縦棒から連なる下辺が「∞」を描くように折り重なるように表された「Pロゴ」からなるものである。
引用商標2は、「Pロゴ」の下部に「Prince Hotel」の欧文字が配されており、「Pロゴ」部分をもって取引に資する場合もあると判断するのが相当である。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標の構成中の要部の一である「本件Pロゴ」と、引用商標1の「Pロゴ」及び引用商標2の構成中の要部の一である「Pロゴ」(以下「ロゴ部分」という。)とを対比してみると、両者のロゴ部分は、ともに欧文字「P」をモチーフにしているものの、ロゴの傾きの程度が大きく相違している点、縦棒から連なる下辺が、「∞」のような形でリボンのような終筆であるかという点などにおいて、顕著な差異を有するものであるから、時と処を異にして離隔的に観察しても、紛れるおそれはないというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、それぞれの要部である「ロゴ部分」において顕著な差異を有するものであるから、両商標の全体を比較しても判然と区別することができ、相紛れるおそれはないというべきである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2.商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められず、また、本件商標と引用商標とは、非類似であって別異の商標である。

してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起、連想して、当該商品及び役務を請求人の業務に係る商品及び役務、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

コメント

本件Pロゴは、類似しているとも思われるが、このような書体はアルファベットのスクリプト系(筆記体)の書体としてはありふれたものであり、結局、引用商標のPロゴの特徴は、ロゴの傾きの程度及び縦棒から連なる下辺が「∞」のような形でリボンのような終筆である点にあり、これを具備しない本件商標とは紛れるおそれはないと判断されたものと思われる。