米国第5巡回控訴裁判所 インターネット・ウェイバック・マシンは裁判所に顕著な事実の証拠としての基準を満たさないと判断|トピックス|オンダ国際特許事務所

米国第5巡回控訴裁判所 インターネット・ウェイバック・マシンは裁判所に顕著な事実の証拠としての基準を満たさないと判断|トピックス|オンダ国際特許事務所

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米国第5巡回控訴裁判所 インターネット・ウェイバック・マシンは裁判所に顕著な事実の証拠としての基準を満たさないと判断

2022年1月25日
米国特許弁護士 マイケル・ピストリオ

Weinhoffer対Davie Shoring社事件、第20-30568号(第5巡回控訴裁判所 2022年)

 2022年1月20日付の判決で、第5巡回控訴裁判所は、証拠として提出されたインターネット・ウェイバック・マシン(Internet Wayback Machine)によって生成されたウェブサイトのアーカイブ版は、自己認証文書(self-authenticating)としての要件を満たさないため、裁判所に顕著な事実(judicial notice 注)としては不適切であると判断した。

 破産したあるプレハブ・メーカーの破産管財人であるDavid Weinhoffer氏は、この会社の資産を競売するために、あるオンライン・オークション会社と契約した。このオークション会社は、第三者のウェブサイトを利用してサービスを提供しており、入札者はこのウェブサイトにアクセスして入札を行う。このウェブサイトには、「落札によって生じた売買契約不履行に起因する損害賠償は、落札額の20%を上限とする」という規約があった。Davie Shoring社は、このオークションでプレハブ住宅を落札したが、そのプレハブ住宅を倉庫から移動させることが困難であることが判明したため、支払いを拒否した。Weinhoffer氏は落札額全額の回収を求めたが、これに対し、Davie Shoring社はオークションの損害賠償は20%が上限とされていると主張した。

 Davie Shoring社は、オークションの規約を2つの方法で証拠として提出した。その1つは、インターネット・ウェイバック・マシンからアーカイブされたウェブページの提出であった。連邦地裁は、連邦証拠法第201条(b)(2)(「その正確さが合理的に疑われない出所」)に基づき、アーカイブされたウェブページを「裁判所に顕著な事実」とするようDavie Shoring社からの要望を受け入れ、損害賠償額を20%に限定した。Weinhoffer氏は控訴し、その一部では「裁判所に顕著な事実」の認定は不適切であると主張した。

 第5巡回控訴裁判所は、インターネットアーカイブの情報源が「裁判所に顕著な事実」の高いハードルをクリアしているか否かについて、他の連邦控訴裁が明確な判断を下していないことを確認した。同裁判所は、第5巡回控訴裁判所内のある連邦地裁が、ウェイバック・マシンの利用規約が正確性の保証をしていないため、ウェイバック・マシンは「裁判所に顕著な事実」の対象として適切ではないと判断したことに注目した。さらに同裁判所は、ウェイバック・マシンからの文書が、他の方法で(規則901に従って)認証された結果、証拠として採用されたという事例を複数取り上げた。これらの判断に基づき、同裁判所は、アーカイブされたウェブサイトは適切に認証されておらず、「裁判所に顕著な事実」の対象とすべきではないと結論づけた。

 ウェイバック・マシンは、アーカイブされたウェブサイトや文書の認証を有料で提供している。しかし、本件では、ウェイバック・マシンによる法的な認証がなかったという点に注意されたい。

 


注:judicial notice 司法確知、裁判所による確知とも訳される。日本法に当てはめると「裁判所に顕著な事実」または「裁判所に明らかな事実」と翻訳するのが適切でると思われる。アメリカでは、当事者が主張した事実があまりに明らかであったり、疑う余地がないような場合に、証拠法で、証拠提出をしなくても立証できる。