【商標審決レポート】拒絶査定不服審判 – 最終的に特許庁が識別力を認めた事例(弊所取り扱い案件)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

【商標審決レポート】拒絶査定不服審判 – 最終的に特許庁が識別力を認めた事例(弊所取り扱い案件)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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【商標審決レポート】拒絶査定不服審判 – 最終的に特許庁が識別力を認めた事例(弊所取り扱い案件)

2025年5月26日
弁理士 佐久間勝久

審判番号

不服2024-005298(商願第2023-7294号)

事案の概要

  • 出願商標「3dpod」(標準文字)は、「3D」と「pod」とから構成される。
  • 「3D」なる文字は「三次元(three dimensions)」を意味する。
  • 「pod」なる文字は「print on demand」の略であって、「オンデマンド印刷」を意味する。
  • 本願の指定商品役務を取り扱う業界では、需要者の注文に基づいて三次元の造形物を提供するオンデマンド印刷サービスを提供している。
  • 同サービスの提供時に、「オンデマンド3Dプリント」等の文字が使用されている。

との認定に基づいて、「3dpod」は単に商品の品質・用途、役務の質・提供方法等を何ら特別ではない記載で表示するにすぎない、すなわち識別力がないとして、審査官は出願商標の登録を拒絶しました。
拒絶査定不服審判にて、審査官の認定を審判官は覆しました。

審決日

2025年3月27日

出願商標

商願第2023-7294号

3dpod

指定商品役務

第07類:3Dプリンター 等
第37類:3Dプリンターの修理又は保守 等
第40類:3Dプリント加工、3Dプリンターの貸与 等
その他、第19類の指定商品、並びに第36類及び第42類の指定役務を含みます。

審決の概要

同書同大で記されているため、出願商標「3dpod」(標準文字)は、全体としてまとまりよく記載された文字列であるとともに、日本の辞書等に記載のない造語である。
本願の指定商品役務を取り扱う業界で、「オンデマンド3Dプリントサービス」、「プリントオンデマンド(POD)」等の文言を使用している。しかし、当該業界で、需要者の注文に応じた三次元加工サービスを提供する際の「3dpod」なる文言の使用を発見できない。
そのため、「3dpod」が、以下の各文字の組み合わせであると直ちに認識できない。

  • 「三次元(three dimensions)」を意味する「3D」なる文字
  • 「print on demand」の略であって、「需要者の注文に応じて印刷物を提供するサービス(オンデマンド印刷)」を意味する「pod」なる文字

また、「需要者の注文に応じて三次元の造形物を加工する」旨を「3dpod」が示すと一般的に認識されている事実もない。
以上より、審査官の認定は誤りであると判断する。

コメント

弊所の主張を審判官が認容しました。
当該主張の中でも特に、本願の指定商品役務を取り扱う日本の業界では注文に応じて「二次元の印刷物」を提供するサービスで「pod」が使用されている旨の主張、及び当該業界では造語である「3dpod」が使用されていない旨の主張がカギであったと考えます。