商標審決レポート(Parallel)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(Parallel)

商標「Parallel」(指定役務「消費者向け娯楽提供のための無線による電気通信」)は登録することができないとされた事案

2022年11月29日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2021-016030 (商願2020-112058)

事案の概要 商標「Parallel」は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるため登録することができないとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2022年10月24日
出願人

パラレル株式会社

商標

Parallel (標準文字)

指定役務

第38類 消費者向け娯楽提供のための無線による電気通信

審決の内容

本願商標は、「Parallel」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「平行。電気で、並列。」の意味を有する語として広く親しまれている語であるから、本願商標は、「パラレル」と読まれるものと容易に理解されるものである。 

そして、原審で示した証拠を含む別掲の事実によれば、本願の指定役務に係る電気通信やITの業界において、「Parallel」及びその読みである「パラレル」の片仮名(語)は、「並列」すなわち「複数の処理や伝送を複数の主体で同時に実行すること」ほどの意味合いを表す語として認識される。また、該「パラレル」の片仮名と本願商標の指定役務に係る「通信」の文字とを一連に表した「パラレル通信」の文字が、複数の信号線を用いて複数データを送受信する通信方式の名称として、広く使用されている実情が認められる。 

以上を踏まえると、本願の指定役務との関係において、「パラレル」の語は、複数の信号線を用いて複数データを送受信する通信方式である「パラレル通信」ほどの意味合いを表す語として使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。 そうすると、「パラレル」の片仮名を欧文字で表したものと認められる「Parallel」の欧文字からなる本願商標を、その指定役務に使用するときも、その役務が、複数の信号線で複数データを送受信する通信方式であるパラレル通信による「消費者向け娯楽提供のための無線による電気通信」の提供であることを取引者、需要者に、認識させるにとどまるものというのが相当である。 

してみれば、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。 

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

コメント

出願人は、拒絶理由を解消するため、出願時の指定役務「電気通信,電子計算機端末による通信,メッセージの送信のための通信,電気通信装置の貸与(第38類)」等を「消費者向け娯楽提供のための無線による電気通信」に限定している。

※出願人は2022年11月22日に出願取下書を提出している。