商標審決レポート(VENN)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(VENN)

商標「VENN」と引用商標「B E N」とは非類似の商標であるとして、登録すべきとされた事案

2022年7月28日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2021-010952 (商願2020-025316)

事案の概要 本願商標「VENN」と引用商標「B E N」とは、観念において比較できず、称呼を共通にするとしても、外観において、印象が顕著に異なり判然と区別し得ることから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2022年6月21日
出願人

株式会社ベン

商標

本願商標 VENN (標準文字)

引用商標 B E N(標準文字)

指定商品・役務

本願商標の指定商品及び役務
第37類 配管の設置工事・保守・修理等

引用商標の指定役務
第37類 建物の解体工事,建物の増改築工事,建物の取り壊し

審決の内容
(1)本願商標と引用商標について

ア 本願商標について 

本願商標は、「VENN」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、既成の語として辞書等に採録されているものではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものであるから、一種の造語として看取されるものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ベン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 

イ 引用商標について 

引用商標は、「B E N」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「奥部屋」又は「山頂、丘」、あるいは「(愛称)ベン(→Benjamin)」の意味を有する語として辞書に掲載されているものの、いずれの意味も、我が国において、当該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に親しまれているものとはいえないから、当該文字は、一種の造語として看取されるものである。 
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ベン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 

ウ 本願商標と引用商標との類否について 

本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、外観においては、上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、両商標は、僅か4文字あるいは3文字という少ない文字構成において、本願商標は、各文字がスペースを空けずに書されているのに対し、引用商標は、各文字の間にスペースを介して書されていること、かつ、最も目立つ語頭の文字が「V」と「B」とで相違すること、また、本願商標が、その構成中3文字目と4文字目において、「NN」と表記しているのに対し、引用商標は、語尾である3文字目に「N」の文字を表記していることの差異があり、外観上与える印象が大きく異なるものであるから、両者は判然と区別し得るものである。
次に、称呼についてみるに、両者は「ベン」の称呼を共通にするものである。 
さらに、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、観念において比較することはできない。 
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できず、称呼を共通にするとしても、外観において、印象が顕著に異なり判然と区別し得ることから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

エ 小括 

本願商標と引用商標は、上記ウのとおり、非類似の商標であるから、本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務の類否について判断するまでもなく、本願商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)まとめ 

以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないから、同項同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

コメント

本願商標に対して商標「VEN」も引用されたが、審判段階において抵触する指定商品を削除したため、商標「VEN」による拒絶理由は解消された。