台湾無効審判の効率化について|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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台湾無効審判の効率化について

2020年1月
台湾弁理士 林 文立

今回の台湾専利法の改正は、2016年から公聴会を開催、2年間をかけて意見を募集し、特許、実用新案、意匠など様々なテーマについて議論されました。そして、今年の4月にようやく立法院会議で可決され、施行期日も今年の11月1日に決定しました。本稿は、今回の法改正において最も重要なポイントと思われている無効審判の改正について簡単に説明したいと思います。

現在の問題点 -無駄な証拠追加や訂正請求が多い

従来の無効審判では、新証拠提出期間や、訂正請求可能期間について厳しく規定されていないため、無効審判請求人は新証拠を何度でも追加することができ、特許権者も追加された証拠に対していつでも何度でも訂正することができます。その結果、審査が全く進まず、審決が出るまで2~3年かかるのが一般的です。

改正の要点1  -新証拠の追加は無効提起から3ケ月内

新証拠の追加は、無効審判請求から3ケ月以内に提出しなければならないと規定されています。法改正前は、所定期間を過ぎても審決が出るまでに提出された証拠も採用されますが、法改正後はそれらの証拠が採用されなくなります。なお、法改正前の無効審判についても、新規定を適用することになります。例えば2019年8月1日に提起された無効審判は、2019年11月2日から新証拠を追加できなくなりますので、ご留意ください。

改正の要点2  -訂正請求の提出は答申期間に限る

訂正請求の提出は答申期間に限られます。答申期間を過ぎると訂正請求をすることができません。また、答申期間を過ぎた場合は、たとえ面接を受けたとしても、直接訂正請求することができません。この場合、まず審査官にもう一度OAを発行してもらい、OAを受領してから訂正請求をすることになります。なお、もし当該係争特許が民事訴訟や行政訴訟で係属中の場合、訂正請求は訴訟の防御手段としてみなされるため、上記の答申期間の制限を受けません。

改正の要点3  -答申期限を過ぎた意見書は却下

法改正前は、答申期限に遅れて提出された意見書の採用が可能でしたが、法改正後は、答申期限に遅れて提出された意見書は不適法なものとして却下されることになります。すなわち、答申期限を過ぎた後、1回目の意見書の瑕疵を2回目の意見書で治癒することは認められないため、ご留意ください。なお、特許権者が審判請求書の副本に対する答弁(最初の答弁)は、例外として答申期間の経過後に提出することが許容されます。

答申期間の決定と延長

答申の期間は、法定不変期間ではなく、審査官の裁量によって自由に伸縮することができます。実務上、無効審判の答申期間は1ヶ月ですが、当事者の請求によって更に延長することができます。なお、延長期間については、公聴会の会議記録によると、1回目のOAに対しては特許権者が慎重に対応できるように2ヶ月の延長期間が与えられ、合計3ヶ月の答申期間となり、案件が複雑な場合、2回目の延長申請も認められます。一方、2回目以降のOAに対して提出された意見書は、前回の補充説明とみなされるため、期間の延長申請は1回のみ認められ、延長期間も原則として1ヶ月までです。

まとめ

今回の法改正は無効審判の審査時間を1年以内に抑えることが目的とされているため、特許権者にとって対応できる時間が短く、翻訳や訂正案の作成も大変です。また、答申期限を過ぎた訂正請求や意見書は直接却下されるため、必要があれば期間延長の手続きをし、余裕をもって慎重に検討してください。

  法改正前 法改正後

新証拠の追加

無効提起から1ヶ月内
審理が終わるまで提出可能

無効提起から3ヶ月内
期限過ぎると提出不可

訂正請求の時期

随時可能

答申期間内

意見書の提出

原則的答申期間内
審理が終わるまで提出可能

答申期間内
期限過ぎると提出不可