USPTOにおけるAFCP2.0の実務|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

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USPTOにおけるAFCP2.0の実務

(パテントメディア2015年9月発行第104号掲載)
米国特許弁護士 スコット マンダ―

AFCP2.0(After Final Consideration Pilot 2.0)プログラムは、USPTOが提供する試験的なプログラムであり、ファイナル・アクションの発行後における審査手続の効率を高めるためのものです。

通常、少数の限られた例外を除いては、37C.F.R.§1.116(連邦規則第37巻§1.116:最終指令後、審判請求前における補正書及び宣誓供述書又は他の証拠物件)による応答の際、クレームに対する実体的な補正は認められません。出願人がファイナル・アクションの後にクレームを補正しようとする場合には、RCE(継続審査請求)が必要になり、その庁料金は相当なものです(初回:1200ドル、それ以降:1700ドル)。

AFCP2.0では、所定の条件が満たされる場合、審査官には限られた付加時間が与えられます。この時間を使って、審査官はファイナル・アクションに対する応答においてなされた補正を考慮したり、サーチを行ったりできます。2013年5月に開始されたこのプログラムは数回の延長を経ており、現在は少なくとも2015年9月30日まで有効です。出願人は、請求によって、このプログラムによる考慮を要求することができます。この請求は、ファイナル・アクションに対する応答とともに提出されなければなりません。

適法な請求には、さらに次のものが含まれる必要があります:
(1)所定のフォーム*(Form PTO/SB/434)を用いた請求書面
*http://www.uspto.gov/forms/sb0434.pdf
(2)少なくとも1つの独立クレームに対する補正(範囲を拡張しないもの)
(3)必要な全庁料金(例えば、延長料)

請求は、EFS-Web(電子出願システム)を用いて行われる必要があり、ファックス、郵送、持ち込みをすることはできません。

1つのオフィス・アクションに対しては、AFCP2.0は1回しか請求できません。しかしながら、オフィス・アクションに対して既に応答を提出した場合でも、他の応答とともにAFCP2.0の請求を行うことができます。つまり、他の条件が満たされる限り、出願人は、ファイナル・アクションに対する意見書や補正書を含む応答をまず提出し、続いてAFCP2.0の請求を含む別の応答を提出することができます。

AFCP2.0の請求を行った後、出願人が審査官から受け取るアドバイザリ・アクションに、その請求を審査官がどのように取り扱ったかに関する追加の情報がほとんど、または全くない(あるいは、請求が考慮されたかどうかさえも)ことがよくあります。請求が適切でなかったのか、必要なサーチが多すぎる補正であったのか、あるいは何か他の理由があったのか、そうしたことを知る手段を出願人が全く持たないとしたら、情報の欠如に苛々させられることでしょう。

アドバイザリ・アクションには、補正によって“さらなる考慮およびサーチを必要とする新たな問題が生じた”と書かれている場合があります。そのような文章は、アドバイザリ・アクションの書面にはお馴染みのものですが、AFCP2.0の請求後にそうしたアドバイザリ・アクションを受け取った場合、それだけでは何を表しているかはっきりしないこともあります。
しかしながら、取り扱いがより明確に示されるように、最近、新しいフォーム(PTO-2323)が導入されました。AFCP2.0の請求に続く審査官からの通知には、このフォームが必ず含まれることになり、その請求がどのように取り扱われたかが説明されます。このフォームは請求に対する処分を示すものであり、(インタビューが行われた場合には)インタビュー・サマリも含みます。出願人がAFCP2.0の請求を行ったのに、このフォームを受け取っていない場合には、出願人は審査官に電話してフォームを要求するべきです。

AFCP2.0のプログラムで最も良いことは、庁料金が掛からないことです。コストの観点、つまり、コストが掛からないことは、請求を行うか考慮する際に出願人が消極的にならない理由の1つでしょう。また、請求の提出にマイナス面はあまりありません。

ファイナル・アクションに対して提出しようとする応答が条件を満たす場合(例えば、独立クレームに対してクレーム範囲を広げない補正を含む場合)には、必ずAFCP2.0の請求を行うことをお勧めします。

この請求は、通常、1つのフォームに記入する以上の手間は必要なく、最終的には、RCEが回避されることによって、より迅速に少ない費用で出願の許可に繋がる可能性があります。AFCP2.0の請求が直ちに出願の許可に繋がらない場合でも、割り当てられる付加時間は、補正について議論する上で、また将来の審査手続において審査官と出願人との間の開かれた対話や協力を促す上で、やはり有益でしょう。

また、AFCP2.0の請求前に審査官に電話し、まもなく請求を行うことを知らせ、補正の概略を説明することもお勧めします。この簡単な電話によって、出願人が審査官からの有用な洞察を得ることができ、また、補正の内容について審査官の理解の向上を助けることで請求の有利な処分の可能性を高めることができます。
ファイナル・アクション後のすべての応答と同じように、出願人はファイナル・アクションの送達日からの経過時間を意識する必要があります。ファイナル・アクションに対する応答の提出は(AFCP2.0の請求を行うかどうかによらず)、通常、ファイナル・アクションに対する応答の期限をリセットしたり、“時計を止めたり”するものではないからです。

AFCP2.0は、わずかな制限はありますが、ファイナル・アクション後にある程度の補正が考慮されるための手段を提供するものであり、出願人がより効率的に、かつコストを必要としないで審査を続行させる助けとなります。ファイナル・アクション後にクレームに対する補正を検討する場合、出願人は常にAFCP2.0の利用を考えるべきでしょう。

以上