中国専利出願に関するFAQ|オンダ国際特許事務所

中国専利出願に関するFAQ|オンダ国際特許事務所

中国専利出願(特・実・意)FAQ

Q.中国への専利(特許、実用新案、意匠)出願のルートを教えてください。

A.

中国への専利(特許、実用新案、意匠)出願は、直接出願と、パリ条約による優先権主張出願と、PCT(特許協力条約)出願との三つのルートがあります(ただし、PCT出願は、特許、実用新案のみ)。

Q.電子回路は実用新案登録可能ですか?実用新案で保護の対象にならないものにはどんなものがありますか?

A.

電子回路は登録の対象となりません。その他、方法、化学品、薬、人体に直接使用する医療器具、平面デザインのみを特徴とする製品、複数の装置からなるシステムはいずれも保護の対象にはなりません。

しかし、例えば、道路のインターチェンジの形状については登録可能です。原則目に見えるものは登録可能といえそうです。電子関係のデバイスでもパッケージ化され、そのパッケージの形状に特徴がある場合には登録可能です。

Q.半導体回路配置権に関する法律が施行されたとのことですが、その特徴は何ですか?

A.

2001年10月1日に施行されました。半導体回路配置登録条例です。その特徴は、日本の法律と同じと考えてよいと思います。 具体的には、半導体回路配置権の期限は10年とし、登録出願日と商業利用を始めた日(ビジネスとして初めて実施される日)のうちいずれか早い方から計算します。

「商業利用」とは、商業の目的で、保護を受けるレイアウト・デザイン、当該レイアウト・デザインを含む集積回路又は当該集積回路を含む物品を、輸入、販売又はその他の方式で提供する行為を指します。「商業利用を始めた日」とは、中国国内のみならず、世界中(いずれかの国)が基準となります。なお、いずれにせよ、半導体回路配置の設計完成日より15年後には保護の対象になりません。また、ビジネスとしてはじめて実施される日から2年以内に登録出願しなかったものに対しては、登録出願権がなくなります。

Q.コンピュータプログラムは特許の対象にならないとのことですが、コンピュータプログラムを記憶した記録媒体は特許の対象となりますか?

A.

コンピュータプログラムそのものや、記録媒体(例えば、磁気テープ、磁気ディスク、あるいはその他の読み出し可能な媒体)に記録されたコンピュータプログラムである場合、そのプログラム自身は、特許の対象とはなりません。

ただし、特許出願が、コンピュータにプログラムを入力して、プログラムによって制御される装置、又はプログラムによって制御される生産方法であれば、技術的な問題点を解決でき、技術的な効果を有するため、特許可能です。
この点、日本との取り扱いが異なるので注意が必要です。今後、中国において、コンピュータプログラムや記録媒体が特許対象になるかどうかについては不明ですが、世の中のIT化の流れから見て、特許対象となるような方向で法改正等されるのではないかと期待されます。

Q.ビジネス方法は特許の対象となりますか?

A.

なりません。

Q.米国の一部継続出願のような制度はありますか?

A.

ありません。

Q.中国本土と香港の両方で権利を取得したいのですが、どのような手続をすればいいのでしょうか?

A.

香港においては長期又は短期の特許権を取得することができます。長期特許権の場合は、中国本土の特許又は英国の特許出願の公開後6ケ月以内又は権利登録後6ケ月以内に香港において登録申請をすればいいのです。

また、短期特許権の場合は、中国又は英国の特許申請のサーチレポートを受け取った日からいつでも香港における登録申請ができます。期限は決められていません。

Q.特許と実用新案とを同時に出願することを提案されていますが、同時に出願した実用新案で特許出願の新規性が否定されることはないですか?

A.

中国専利法の規定によると、同一発明を同一出願人が同時に特許と実用新案の両方を出願した場合、抵触出願にならないため、同時に出願した実用新案で特許出願の新規性が否定されることはありません。

Q.特許と実用新案を同時出願する場合、クレームは広狭の差を設けるべきですか?

A.

特許と実用新案を同時出願する場合、クレームは広狭の差を設ける必要はありません。
なお、実用新案の請求項を作成するときは、なるべく保護範囲の広いクレームから保護範囲の狭いクレームまで、段階的にたくさん作成すべきです。

その理由は次のとおりです。特許は、実体審査における拒絶理由に対応して各クレームを補正することができますが、実用新案は、実体審査がないため、無効宣告の無効理由に対応して広すぎるクレームを削除するといった補正しか認められないからです。

Q.実用新案権の調査報告書をいつから請求できますか?

A.

実用新案権の調査報告書は権利付与の日から権利者及び利害関係者より請求できます(権利付与前に調査報告書の請求はできません)。

Q.実用新案を出願してから調査報告書が交付されるまで、最短どのぐらいかかりますか?

A.

通常、実用新案出願から権利付与までは6~8ヶ月かかります。そして、権利付与の日から権利者が調査報告書を請求すれば、中国知的財産権局より調査報告書が交付されるのはおよそ3ヶ月かかります。

したがって、実用新案を出願してから調査報告書が交付されるまで最短でおよそ10ヶ月かかります。

Q.同一の内容について、特許と実用新案とを同日に出願した場合、実用新案権を行使して、その後により狭い範囲で特許権が成立したときには、すでに受け取ったライセンス料、損害賠償金又は不当利得は返還しなければいけないのでしょうか?

A.

特許権と実用新案権の両方を存続させることはできません。したがって、特許の方が狭くなってしまうことは審査の経過の中で分かるはずですので、特許が拒絶される方向へ進めばいいわけです。 特許権を選択せずに実用新案権を選択して残せば、問題ありません。もちろん、実用新案権の無効の問題は出てきます。

仮に特許を成立させ、実用新案権を放棄した場合にも実用新案権者には故意又は過失はなかったのですから、ライセンス料等の返還の必要はないでしょう。 このように考えるのが通説です。

Q.意匠について、実体審査をするのでしょうか?意匠審査の相対標準について詳しく説明してください。

A.

中国では、意匠出願に対して実体審査を行いません。
中国特許法23条の規定により、意匠権を付与する意匠は、出願日前に国内外の刊行物上で公に発表された又は国内で公に使用された意匠と同一及び類似でないものでなければならず、また他人が先行取得した合法的権利と衝突してはなりません。

「相対標準」というのは、意匠出願は出願日前に外国で公に使用された意匠と同一及び類似であるとしても、意匠権を付与することができます。

Q.意匠権と著作権の保護範囲の広狭は?著作権での権利行使は難しいのでしょうか?

A.

意匠保護の対象は製品の形状のデザインですが、著作権は作品自身が対象となります。著作権の権利行使はそれほど難しくないですが、他人の製品の生産を差し止めたいときは、著作権より意匠権のほうが行使しやすいです。

Q.損害賠償請求の他に、不当利得の返還請求は可能でしょうか?

A.

損害賠償請求も不当利得の返還請求もともに可能です。

しかし、特許権者の損害が損害賠償によってすべて補填されたときは、それ以上の不当利得の返還請求はできません。不当利得の返還は特許権者の被った損害の額を限度として、請求が可能ということになります。通常の損害賠償訴訟において、損害が認定されると、それがすべての損害額ということになりますので、実務上不当利得返還請求はそれ以上不可能ということになります。

Q.特許侵害の訴訟に要する期間はどのくらいでしょうか?

A.

通常、無効審判の提起がなければ、1年以内に決着がつくのが普通です。しかし、無効審判が起こりますと、これに2~3年かかりますので、その分訴訟は遅れることになります。

Q.間接侵害はどのように規定されていますか?

A.

専用品であって、他の用途がないとき、又は特許侵害に対して示唆があったときに間接侵害の規定の適用があります。

例えば、特定の添加物を添加する食品の製造方法が特許されていたとします。その添加物によって食品の味が良くなる、保存が利くという効果があったとします。
その場合、その添加物のみを製造販売する会社が添加物を売るについて、その性能を宣伝する行為は示唆になります。

Q.裁判管轄権について説明してください。

A.

中国の民事訴訟法によりますと、権利侵害行為があった場合、権利侵害行為地所在の人民法院がそれぞれ裁判管轄権を有する、とあります。