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参考審決例

ブーメラン形状の散光式警光灯に3条2項該当性が認められた事案

(2013.9.3)

パトライト社のブーメラン型回転灯にかかる立体商標出願に登録審決(不服2012-24811)

本件商標

第9類「警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯」

1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、本件審決時を基準として、客観的に見れば、ブーメラン形状が特徴的なものであるとしても、いまだ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当であり、需要者が指定商品の形状として一般に認識し得るものというべきである。
本願商標は、その指定商品との関係において、単に「散光式警光灯」の商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当する。

2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について

本願商標のブーメラン形状が、他に見当たらない特異性を有し、1996年(平成8年)年以降17年以上にわたって本件審決時まで、本願商標と同一の形状からなる商品「散光式警光灯」が一貫して製造、販売され、市場シェアからみて需要者の強い支持を得ていることに照らすならば、本願商標についての「パトライト」、「エアロブーメラン」等の商標の使用及び「AWS型」、「AXS型」等の品名の表示を考慮してもなお、…本願商標は、自他商品識別力を獲得するに至っており、本願の指定商品「警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯」の需要者が、本願商標に接するときは、請求人に係る散光式警光灯であることを認識することができるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するというべきである。

コメント

商標法3条2項は、本来的に識別力を欠く商標であっても「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる」と規定している。
本願商標は、パトカーに搭載されるブーメラン形状の散光式警光灯の立体形状にかかる商標について、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」と認定されたものである。

たしかに、出願人の商品は、パトカー、救急車、非常停止表示などの回転灯において、近年のシェアは、ほぼ100%(ウィキペディアより)という寡占状態であり、需要者がほぼ警察に限られることからすれば、「需要者・取引者」にとっては「何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる」のかもしれない。

しかし、本願商標は指定商品の形状そのものであり、ブーメラン形状は視認性の向上という機能的な側面を有すると考えられる。このような商標を、ごく限られた「需要者・取引者」の現在の認識を基準にして安易に商標登録を認めることは、当該商品形状自体(及びその機能面)の独占を許し、将来における他分野からの参入を半永久的に排除することになり、商標の独占適応性(3条1項3号)及び「産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」商標法の趣旨に反するのではないかと思われる。
なお、当該商品形状のグレースケール及びカラーの写真からなる商標についても登録審決がされている。