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高くなったのは、「建物」だけではありません。(2012.7.24)

日本を代表する二つの高層建築物といえば、「東京タワー」と「東京スカイツリー」。どちらも同じ「電波塔」ですが、これを商標の切り口で捉えると、面白い違いが見えてきます。

東京タワーの竣工(工事が完成すること)は1958年。正式名称は「日本電波塔」で、同年10月、「東京タワー」の愛称が採用されることになりました。愛称があるから商標登録も速やかに行われているかと思いきや、そのような動きはありませんでした。なんと、「東京タワー」の言葉を含む商標(「(図形+)東京タワー/TOKYO TOWER」(商標登録第2369739号))が初めて出願されたのは、1988年のこと。竣工から30年経って、ようやく商標登録に向けて動き始めたのです。
一方、東京スカイツリーの竣工は2012年2月。「東京スカイツリー」は正式名称であり、2008年6月に決定されました。商標登録の動きは、東京タワーのときとは比べものにならないほど迅速且つ的確でした。「東京スカイツリー」(商標登録第5143175号)は、2007年10月24日に出願され、2008年6月20日に設定登録されました。正式名称の発表は2008年6月10日でしたから、その頃には登録査定が通知されていたと思われます。商標登録がほぼ確実であることを確認した上で正式発表に臨むという、理想的なスタイルです。

東京タワーは、竣工から30年経って商標登録出願に至りました。一方、東京スカイツリーは、正式発表前から商標登録出願が完了していました。
東京タワーの竣工は、今から半世紀も前の話です。当時は、知的財産、特に商標に対する意識はおそらく一般的に低かったのでしょう。また、『東京タワーは公共物だから商標登録できるはずがない』『「東京タワー」の名を横取りしたり悪用する人など現れないだろう』という、どこか農村的な、ゆるやかな信頼感があったのかもしれません。それゆえ、商標登録の必要性を感じることもなく、出願に至ることもなかったのでしょう。
今では、そのような考えは通用しません。商標が「早い者勝ち」であることは専門家でなくとも知っています。有名な商標であれば、国の内外を問わず、その評判にタダ乗りしようと誰もが狙っています。商標を使用する者は、好むと好まざるとに関わらず、自分の身(商標)は自分で守らなければならないのです。

昔と違い、商標に対する世間の関心はとても高くなりました。それだけ、商標の重要性が増したといえます。東京タワーよりも高くそびえ立つ東京スカイツリー。しかし、建物だけでなく、知的財産に対する意識もまた東京タワー以上に高かったのです。

(注)
・「(図形+)東京タワー/TOKYO TOWER」は、日本電波塔 (株)の登録商標です。
・「東京スカイツリー」は、東武鉄道(株)及び東武タワースカイツリー(株)の登録商標です。