会社を吸収合併する際の「商標的」注意点|トピックス|オンダ国際特許事務所

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会社を吸収合併する際の「商標的」注意点

以前、「社名を変更する際の『商標的』注意点」をまとめましたが、今回は「吸収合併」の場合の注意点です。消滅する会社をA社、存続会社をB社として、ここではB社の商標管理担当者が気を付けるべきことをまとめます。

 

1.存続会社B社のハウスマーク商標に係る商標権は、消滅会社A社の事業をカバーしているか?

吸収合併により、今後、A社の事業はB社が運営することになります。B社が安全にA社の事業を運営するには、B社のハウスマーク商標の商標権が、A社の事業をカバーしていることが重要です。

たとえば、A社もB社も共にレストラン事業を運営しているという場合はどうでしょうか。この場合は、両社の事業は共に「第43類:飲食物の提供」に属するため、B社が自社のハウスマーク商標を適切な分野で登録していれば、まず大丈夫といえるでしょう。

しかし、たとえばA社が住宅販売事業を運営し、B社が家電量販事業を運営しているという場合はどうでしょうか。A社の事業は「第36類:建物の売買」や「第37類:建設工事」に属しますが、B社の事業は「第11類:家庭用電熱用品類」や「第35類:電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などに属します。B社が自社のハウスマーク商標を適切な分野で登録していたとしても、A社の事業に係る第36類・第37類の役務まではカバーしていないため、このままではB社は安全に住宅販売事業を運営することができなくなってしまうおそれがあります。このような場合は、まず商標調査を行ってA社の事業分野におけるB社のハウスマーク商標の登録可能性を評価し、登録可能性が高ければ速やかに出願することをおすすめします。

 

2.消滅会社A社は、商品・サービスに関する商標を適切な分野で登録しているか?

吸収合併によりA社の社名はなくなりますが、事業によっては、A社の商品名・サービス名がそのまま使われることがあります。そのような場合、B社の商標管理担当者は、A社の登録商標を調べ、A社の商品・サービスに関する商標が正しく登録されているかどうかを確認する必要があります。

正しく登録されているなら、それらの登録商標について「合併による移転登録申請」を行います(吸収合併は相続と同じ一般承継であるため、登録原簿に記録されなくとも法律上の効力が発生しますが、承継人は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出る必要があります。)。

一方、正しく登録されていない場合(そもそも出願していない,登録商標と使用商標が一致しない,指定商品に漏れがある等)は、すぐに商標調査を行い、できる限り早めに出願することをお勧めします。もしすでに他人の先願・先登録商標が存在しており、権利侵害を回避することが難しいと予想される場合は、商標の変更を検討する必要があります。

 

3.消滅会社A社は、子会社・関連会社を有しているか?

子会社・関連会社を有していない場合は問題ありませんが、有している場合は、「子会社・関連会社の社名の一部にA社の商号が含まれているかどうか」を確認します。含まれている場合は、次に「A社が消滅した後、子会社・関連会社の社名をどうするか」を確認します。

「A社・B社とは無関係の社名に変更する」のであれば各社の判断に委ねることになります。しかし、「B社の商号を含む社名に変更する」という場合は、それら子会社・関連会社の事業についても、B社のハウスマーク商標に係る商標権によってカバーされているかどうかを確認する必要があります。具体的には、子会社・関連会社が販売・提供する商品・サービスを調べ、それらの商品・サービスが、B社のハウスマーク商標の指定商品・指定役務に含まれているかどうかを確認します。カバーされていない場合は、それらを指定商品・指定役務とする新たな商標出願を行い、B社のハウスマーク商標の権利範囲を広げることをお勧めします。

 

吸収合併の背景にはさまざまな事情が存在するため、想定外のことも多々生じますが、最低限のポイントとして上記①②③を押さえていただけると良いかと思います。弊所では、吸収合併はもちろんのこと、新設合併に伴う新社名の商標出願、名義変更等をサポートした経験もございますので、お困りの際はぜひご相談ください。