【オンダ国際特許事務所所員が選ぶ】2021年の知財業界 10大ニュース|トピックス|オンダ国際特許事務所

【オンダ国際特許事務所所員が選ぶ】2021年の知財業界 10大ニュース|トピックス|オンダ国際特許事務所

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【オンダ国際特許事務所所員が選ぶ】2021年の知財業界 10大ニュース

2021年も残り10日ほどとなりました。
そこで、オンダ国際特許事務所の所員に、今年一年を振り返って、印象に残った知財関連のニュースやトピックスについてアンケートを実施し、回答者の多かったニュース・トピックスを10個選びました。みなさまの印象に残っている知財のニュースは、入っているでしょうか?

 

1.日本製鉄株式会社がトヨタ自動車株式会社に対し、特許権侵害を理由とした損害賠償請求訴訟を提起(10月)

2021年10月14日、国内最大手鉄鋼メーカーである日本製鉄株式会社が、トヨタ自動車株式会社と中国の鉄鋼メーカーである宝山鋼鉄股份有限公司に対し、無方向性電磁鋼板に関する同社の特許権侵害を理由に、それぞれ損害賠償請求訴訟を提起。併せてトヨタ自動車株式会社に対して、同社の無方向性電磁鋼板を使用したモータを搭載した電動車の製造・販売の差止仮処分の申し立てを行いました。
国内大手企業同士の争いということで、様々な媒体で報道され、当所でも関心を持つ所員が非常に多いニュースでした。

(参考情報)
日本製鉄株式会社ニュースリリース「当社無方向性電磁鋼板特許に関する訴訟の提起について」(2021年10月14日)

 

2.「特許法等の一部を改正する法律」が公布(5月)

2021年3月2日に閣議決定された、「特許法等の一部を改正する法律案」が令和3年5月14日に可決・成立し、5月21日に法律第42号として公布されました。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に変化した経済活動のあり方に対応するため、以下の3点を中心とした改正です。
(1)新型コロナウイルスの感染拡大に対応したデジタル化等の手続の整備
(2)デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し
(3)知的財産制度の基盤の強化
当所の業務に直結するトピックスのため、当然ながら所員の関心も高いようです。

(参考情報)
特許庁WEBサイト「特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)」(2021年5月21日)

 

3.ユニクロ セルフレジの特許訴訟で敗訴(5月)

「ユニクロ」「GU」などを運営するファーストリテイリングが採用していたセルフレジの特許を巡り、セルフレジの技術を開発したIT企業アスタリスクとファーストリテイリングが争っていた訴訟で、知的財産高等裁判所はアスタリスク側の特許は無効であるというファーストリテイリングの主張を退ける判決を言い渡しました。ベンチャー企業と取引先大手企業との特許訴訟ということで注目を浴びたこのニュース。「判決後、ユニクロからセルフレジが突然姿を消したのが印象的だった」という声が聞かれました。

(参考情報)
日本経済新聞「セルフレジ巡る特許でファストリ敗訴 知財高裁」(2021年5月20日)

 

4.南アフリカとオーストラリアでAIが特許の発明者と認められる(7月)

南アフリカ企業・知的財産委員会は、AI「DABUS」を発明者とする出願に世界初の特許を付与しました。またオーストラリアでは、AI「DABUS」を発明者とする出願を特許庁が出願却下したものの、この決定に対する行政処分不服訴訟で、連邦裁判所により、出願却下決定は無効とされ、出願が特許庁に差し戻されました。
なお、日本では特許庁より「発明者の表示は、自然人に限られるものと解しており、願書等に記載する発明者の欄において自然人ではないと認められる記載、例えば人工知能(AI)等を含む機械を発明者として記載することは認めていません」という内容の通知が出されています。

(参考情報)
ジェトロWEBサイト「南アフリカでAIを発明者とする出願に世界初の特許付与」(2021年8月2日)
パテント2021 Vol.74「豪州におけるAI関連発明について」(2021年9月発行)
特許庁WEBサイト「発明者等の表示について」(2021年7月30日)

 

5.「無印良品」中国企業に商標登録された…良品計画の声明は名誉棄損と賠償命令(11月)

生活雑貨店「無印良品」を展開する株式会社良品計画が、商標を持つ中国の現地企業「無印良品」から訴えられた裁判で、良品計画側に賠償金の支払いが命じられました。良品計画が、中国の「無印良品」に、商標を抜け駆け登録されたという声明を掲示したことが、名誉毀損にあたるとされました。
中国での商標登録に関しては、眞子さんのお名前や「秋篠宮」「佳子」などがすでに商標登録をされていたり、「小室圭」さんのお名前が商標登録申請されていたニュースをあげていた所員もいました。

(参考情報)
讀賣新聞オンライン「「無印良品」中国企業に商標登録された…良品計画の声明は名誉棄損と賠償命令」(2021年11月6日)
時事通信JIJI.COM「良品計画に賠償命令 「無印」めぐる現地企業批判で―中国」(2021年11月6日)
講談社 マネー現代「無印良品もハメられた、中国の「商標ビジネス」の恐ろしい実態」(2021年12月6日)

 

6.コロナワクチン特許の一時放棄に関するニュース(5月)

アメリカ政府は、南アフリカ、インドがWTOで要請していた、新型コロナウイルスワクチンの特許権の一時放棄を支持すると表明しました。これは、より安価に、世界各地で自由にワクチンを生産できるよう、製薬会社の特許権を一時的に放棄することを途上国がWTOで求めていたものです。アメリカに続き、フランス、中国も一時放棄を支持した一方、ワクチンをファイザーと共同開発した医薬品会社を抱えるドイツは慎重な姿勢を見せています。

(参考情報)
日経新聞「米、ワクチン特許放棄を指示 供給増へ途上国が要請」(2021年5月6日)
時事通信社JIJI.OM「G7、ワクチン特許放棄で溝 米仏は賛成、独は慎重」(2021年6月12日)
ロイター社「ワクチン特許放棄、WTOの協議行き詰まり 提案から1年」(2021年10月5日)

 

7.「たけのこの里」立体商標登録(7月)

株式会社明治の定番ともいえるチョコレート菓子「たけのこの里」が立体商標として商標登録されました。「たけのこの里」の40年以上にわたってのライバルといえば、こちらもお馴染みの「きのこの山」。その「きのこの山」は2018年にすでに立体商標登録されており、「きのこの山」に続いての登録は「たけのこ派」の所員には喜ばしいニュースのようでした。
商標関係の話題では、他にも、国際オリンピック委員会(IOC)が「五輪」の文字を商標登録したことを巡り、登録の無効を求める審判請求をされたニュースなどもあげられました。

(参考情報)
テレ朝news「「たけのこの里」の立体形状を商標登録」(2021年8月20日)
SankeiBiz「「たけのこの里」立体商標登録 特許庁の“拒絶”を覆した明治の底力」(2021年8月30日)

 

8.「つながる車」特許侵害か 米社、トヨタ・ホンダを提訴(12月)

アメリカのインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)が、車内でWi-Fiを使う際に必要な通信部品が特許を侵害しているとしてトヨタ自動車、ホンダ、米GM社をテキサス州連邦地裁に提訴した事件。IV社は特許に関する取引を主たる事業とする特許管理会社です。あるベテラン所員からは、「IoTは今後大企業を巻き込んだ大規模な特許紛争につながる可能性があると言われており、数十年前に吹き荒れたサブマリン特許の恐怖を思い出します」というコメントがありました。

(参考情報)
共同通信「つながる車」特許侵害か 米社、トヨタ・ホンダを提訴(2021年12月9日アップデート)

 

9.イギリスのEU離脱完了(1月)

2020年12月31日に、イギリスの欧州連合(EU)離脱に伴う移行期間が終了し、離脱プロセスが完了しました。
これにより、イギリスでの意匠権及び商標権の取得に際して、欧州連合商標や欧州共同体意匠による出願ルートが利用不可となりました。2021年1月1日からは、イギリス知的財産庁に直接出願、又はハーグやマドプロでイギリスを指定する必要があります。

(参考情報)
特許庁WEBサイト「英国のEU離脱(ブレグジットによる特許・商標・意匠等への影響」(2021年6月15日更新)

 

10.コーポレートガバナンス・コード改訂(6月)

2021年6月、コーポレートガバナンス・コードが改訂され、知的財産に関わる項目が新たに追加されました。これにより、上場企業は、知的財産への投資についての具体的な情報開示や、取締役会等による実効的な監督が求められこととなります。

知的財産への投資について、新たに追加された内容は以下の通り。
■人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつわかりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。(第3章 適切な情報開示と透明性の確保 補充原則3-1③)
■人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。(第4章 取締役会等の責務 補充原則4-2②)

(参考情報)
日本取引所グループ(JPX)マーケットニュース「改訂コーポレートガバナンス・コードの公表」(2021年6月11日)