商標審決レポート(Clean Energy)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(Clean Energy)

商標「Clean Energy」(指定役務「電気の供給,等」)は登録することができないとされた事案

2022年10月31日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2021-015968 (商願2020-028312)

事案の概要 本願商標「Clean Energy」は、「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)により発電された電気の供給」等については、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものに該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、登録することができないとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2022年9月14日
出願人

香川電力株式会社

商標

Clean Energy (標準文字)

指定役務

第39類 電気の供給,電気の供給に関する情報の提供,電気の供給に関するコンサルティング

審決の内容

本願商標は、「Clean Energy」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字及びこれの読みを表した「クリーンエネルギー」の文字は、別掲1(省略)の辞書によると「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー。風力・太陽熱・地熱・波力など。」を意味する語であることが認められる。

そして、本願の指定役務に関するエネルギーの分野では、廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)を「クリーンエネルギー」のように指称し、「クリーンエネルギー」による発電が広く行われている事実が別掲2(省略)よりうかがえる。また、これら「クリーンエネルギー」により発電された電気も「クリーンエネルギー」のように指称されている事実が別掲3(省略)よりうかがえるものである。加えて、廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさない風力・太陽熱・地熱などのクリーンエネルギーにより発電された電気が供給されている事実が別掲4(省略)よりうかがえるものである。

このような状況を考慮すると、本願商標を補正後の指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、請求人の提供に係る役務であることを理解するよりも、「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)により発電された電気に関する役務」であること、すなわち、「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)により発電された電気の供給」、「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)により発電された電気の供給に関する情報の提供」、「廃棄物(有害物質)による環境汚染をもたらさないエネルギー(太陽光、風力、地熱、波力等)により発電された電気の供給に関するコンサルティング」という、役務の質を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であり、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから商標法第4条第1項第16号に該当する。

コメント

出願人は、電気自体には不純物が含まれることがないことから、指定役務との関係において、本願商標「Clean Energy」は、役務の質を直接的かつ具体的に表示するものではない、等の主張をしている。