商標審決レポート(e-CONNECT)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(e-CONNECT)

本願商標「e-CONNECT」と引用商標「CONNECT」とは非類似の商標というべきであるとして登録すべきとされた事案

2022年4月27日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2021-009795 (商願2019-129668)

事案の概要 本願商標「e-CONNECT」と引用商標「CONNECT」とは、構成文字全体より生じる外観、称呼及び観念の比較において、いずれも相紛れるおそれはないため、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるとして登録すべきとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2022年3月10日
出願人

東京海上日動火災保険株式会社

商標

本願商標 e-CONNECT
引用商標 CONNECT

指定商品・役務

本願商標の指定役務
第36類 損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,他

引用商標の指定役務
第36類 損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,他

審決の内容

(1)本願商標について
本願商標は、「e-CONNECT」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「電子の、オンラインの、インターネットの」を意味する「e-」と、「(2つ以上の物)をつなぐ、接続する」等を意味する「CONNECT」の平易な語を組み合わせたものといえるが、その構成態様は、各語の間にスペース等もなく、外観上まとまりよく一体的に把握し得るものであり、全体より生じる「イーコネクト」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものである。これに加え、本願の指定役務の分野においては、「e-」が役務の質を表す語とはいい難いものであることからすると両語の識別力に軽重の差があるとはいい難く、「e-」を捨象するような合理的な理由がなく、取引者、需要者は、これを一連一体の一種の造語としてとらえ認識するとみるのが相当である。そうすると、本願商標からは、「イーコネクト」の称呼が生じ、なんらの観念も生じないものである。

(2)引用商標について
引用商標は、「CONNECT」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に応じて、「コネクト」の称呼及び「つなぐ」の観念を生じるものである。

(3)本願商標と引用商標の比較
外観においては、語頭の「e-」の文字の有無という差異により、明確に区別できる。また、称呼においては、語頭の「イー」の音の有無により、構成音に明らかな差異があるから、明瞭に聴別することができる。さらに、観念においては、本願商標から何らの観念が生じないのに対し、引用商標から「つなぐ」の観念が生じることから、相紛れるおそれはない。そうすると、本願商標は、引用商標とは、構成文字全体より生じる外観、称呼及び観念の比較においては、いずれも相紛れるおそれはないため、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、その指定役務について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

コメント

語頭の「e-」又は「E―」の有無に相違があるため、非類似であると判断された併存登録の例として、出願人は以下を挙げている。

・「E-STAGE」と「Stage」
・「e-flex」と「FLEX」
・「e-NAVI」と「NAVI」