【台湾特許判例紹介】 台湾登録I231439号 複数の地域支店及びネットショップを結合したシステム|判例研究/レポート|特許業務法人オンダ国際特許事務所

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【台湾特許判例紹介】 台湾登録I231439号 複数の地域支店及びネットショップを結合したシステム

2015年5月21日掲載

係争特許:台湾登録 I231439号
「複数の地域支店及びネットショップを結合したシステム」
●被告:統一超商股份有限公司(セブンイレブンを経営している)
●原告:林碧菁/利達康股份有限公司
(ファミリーマート、OK、HILIFEなど三つのコンビニ会社の合資会社)

1999.8.28 係争特許出願
2005.2.4 係争特許登録
2009.8.21 無効審判 089117366N01(無効申立人:林碧菁)
2009.12.3 被告が応答し、権利範囲を修正する
2012.4.11 TIPOが権利範囲修正に関して原告の意見聴取
2012.5.16 無効審判請求の補足
2012.10.5 無効審判請求の補足
2012.12.5 無効審判請求の補足
2013.5.15 TIPOによる当事者面談
2013.6.14 無効審判請求の補足
2013.9.6 被告応答
2013.10.25 無効審判 089117366N02(無効申立人:利達康股份有限公司)
2013.11.21 判決:無効審判請求不成立、権利範囲修正許可
●被告:TIPO
●原告:利達康股份有限公司
2014.4.9 訴願判決。不成立。
2015.1.15 行政訴訟判決: (103年度行専訴字第40号) 

ファミリーマート、OK、HILIFEなど三つのコンビニ会社の合資会社「利達康股份有限公司」と、セブンイレブンを経営している「統一超商股份有限公司」が当事者で、消費者がネットショップで商品を注文し、最寄りのコンビニ店舗で受け取るシステムに関する特許の訴訟である。以下は網付きの二つの判決をレジュメにする。

無効審判判決(089117366N02

原告:利達康股份有限公司
被告:統一超商股份有限公司

【係争特許】

【台湾特許判例紹介】 台湾登録I231439号 複数の地域支店及びネットショップを結合したシステム | 2015年

注文システムは、ネットショップで指定の引渡地域支店情報を含む商品の注文内容を中央情報システムに伝送する。消費者が地域支店で引渡取引を行ってから、支店端末システムが引渡取引内容を中央情報システムに伝送し、中央情報システムがさらにそれを処理した上で処理済のデータを注文システムに送る。

1:消費者、2:ネットショップ、21:注文システム、211:第一通信ネットワーク、212:第二通信ネットワーク、213:第三通信ネットワーク、214:第四通信ネットワーク、221-223:金流、231-233:物流、4:本店、41:中央情報システム、5:地域支店、51:支店端末システム、6:物流センター

【係争請求項1】
複数の地域支店及びネットショップを結合するシステムであって、
前記複数の地域支店を保存する中央情報システムがあって、
注文システムがあって、前記ネットショップに設けられ、第二通信ネットワークに通じて前記中央情報システムと連結し、消費者に取引のための第一通信ネットワークを提供し、前記取引は前記第二通信ネットワークを通じて前記中央システムが前記複数の地域支店の情報を取得し、前記複数の地域支店を選んで、付属取引を行う地域支店を指定または任意の支店指定しないと決め、前記購入システムは第一取引関連情報を前記中央情報システムに伝送することを含み、
支店端末システムがあって、前記複数の地域支店に配置され、第三通信ネットワークを通じて、前記中央情報システムと連結し、前記消費者が特定または不特定の指定の、または任意の前記地域支店において前記付属取引を行った場合、前記支店端末システムが前記付属取引に関する第二取引関連情報を前記中央情報システムに伝送し、前記中央情報システムが前記第二取引関連情報に対して処理を行ってから、第三取引関連情報を前記注文システムに伝送し、
前記付属取引を提供することによって、前記取引の信頼性が上がるシステム。
(※線引き部分は、2013.11.21の判決で承認された修正部分である。)

無効証拠① 本案係争特許の公開公報
無効証拠② 日本特開平10-214284  添付 H
無効証拠③ 日本特開平11-175634  添付 I
無効証拠④~⑩省略

証拠②【日本特開平10-214284】

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1:サーバー、2:モータ、2a:仮想店舗、3:顧客、3a:顧客端末、4:小売業者、4a:仮想店舗端末、5:メーカまたは卸売業者、5a:メーカー端末、6:商品センター、7:宅配業者の発店、8:宅配業者の着店、9:コンビニエンスストア、10:特定の人

【課題】 顧客の不在による商品配送業務の効率低下を解消し、顧客のタイムリーな商品受領が可能なオンラインショッピングシステムを提供する。
【解決手段】 サーバー1とサーバー1上に構築した仮想店舗2aとサーバー1に接続可能な顧客端末3aとを備え、顧客端末3aとサーバー1が通信を行って仮想店舗2aを介してサーバー1に商品発注を行うオンラインショッピングシステムにおいて、商品の配送先を顧客の居所又は顧客の居所の最寄りのコンビニエンスストアの何れかを選択可能に構成したオンラインショッピングシステム。

証拠②に関する判決内容:
※係争特許の「地域支店」は、証拠2の「顧客の居所の最寄りのコンビニエンスストア」とは異なる。
その理由は、コンビニエンスストア9の情報はサーバー1の中に入っていない。それに対して、係争特許の「地域支店」の情報は中央情報システムに保存されている。

※係争特許の「地域支店端末システム」は証拠2に見当たらない。証拠2の中に最寄りコンビニの情報はサーバー1に保存されていないため、最寄りコンビニにPOSシステムがあっても係争特許の「地域支店端末システム」とは異なる。

※証拠2は、係争特許の「第一通信ネットワーク」、「第二通信ネットワーク」、「第三通信ネットワーク」などの技術特徴と、「中央情報システム」「注文システム」「地域支店端末システム」などの要件の間の連結関係を示していない。

証拠③【日本特開平 11-175634】

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1:個人(宅配物受取側)、2:商品販売業者(荷物発送元)、3:宅配業者(宅配機構)、4:ストックポイント、5:物流統括管理機構

【課題】宅配に関わる種々の無駄なコストの削減、現金取り扱いのトラブルをなくして社会的な物流促進のより一層の円滑な発展を図り、社会的に無駄に消費されるコストの大幅削減。
【解決手段】宅配物受取側1の物流識別データおよびそれに付随する物流管理データを統括管理する物流統括管理機構4と、複数の荷物発送元2と、前記各荷物発送元2それぞれから発送されてくる荷物を宅配物として宅配物受取側1にそれぞれ個別に宅配する宅配機構3とを具備し、前記荷物発送元2は前記宅配機構1に宅配物を発送するに際して前記物流統括管理機構5から取得した前記物流識別データを前記宅配機構3に通知し、前記宅配機構3は、前記物流識別データを前記物流統括管理機構5に照会して前記宅配物を前記宅配物受取側1に宅配する構成。

証拠③に関する判決内容:
※証拠3の「商品販売業者2」は係争特許の「注文システム」に該当するが、
「物流統括管理機構5」は係争特許の「中央情報システム」と異なる。
その理由は、係争特許の「中央情報システム」に消費者に選択させるための複数の地域支店情報が保存されているが、それに対して「物流統括管理機構5」は配達先を保存してあるが、業者から顧客に提供するものではない。

※証拠3の「ストックポイント4」は係争特許の「地域支店」とは異なる。
その理由は、証拠3の「ストックポイント4」は顧客から指定して「物流統括管理機構5」保存することができるが、そのストックポイント4の資料は物流統括管理機構5により顧客に提供するものではない。

※係争特許「地域支店端末システム」は証拠3に見当たらない。

※係争特許の「第一通信ネットワーク」、「第二通信ネットワーク」、「第三通信ネットワーク」などの技術特徴と、「中央情報システム」「注文システム」「地域支店端末システム」などの要件の間の連結関係を示していない。

○以上諸理由によって証拠2及び証拠3の組合せとしても、係争特許の技術特徴と効果に至らないと判決される。
○請求項1の変更は、明細書7ページの「前記取引は第二通信ネットに通じて前記中央 情報システムが前記複数の地域支店情報を取得する」との技術特徴を請求項1に導入する。ここは、請求項1の技術特徴をさらに限定しており、修正後の技術内容も、出願時の開示内容を超えていないため、権利範囲の拡大にならない。請求項1の変更は認められる。

●無効審判判決感想:
証拠2の判決に関して、「コンビニエンスストア9の情報はサーバー1の中に入っていない」と主張してコンビニエンスストア9は係争特許の地域支店と異なると判決される。しかし、サーバーは単にネットワークの一部にすぎない。コンビニエンスストア9がサーバー1に入らなくても、その他の要件との間にネットワークがないとは言えない。係争特許の技術的特徴(消費者とネットショップ、本店とネットショップ、コンビニ支店と本店との間にそれぞれネットワークがあること)の特許性は、それが当時の当業界で一般常識かどうか、または証拠2に基づいて容易に想到できるかどうかも含めて考慮し、判断すべきではないかと考える。

行政訴訟判(103 年度行専訴字第 40 )

原告:利達康股份有限公司
被告:台湾知的財産局
参加者:統一超商股份有限公司

判決内容:係争特許の修正は不成立。原処分を取消し、再処分する。
理由:請求項1に対して「前記取引は前記第二通信ネットワークを通じて前記中央システムが前記複数の地域支店の情報を取得し、前記複数の地域支店を選んで、付属取引を行う地域支店を指定し、または任意の支店指定しないと決め、前記購入システムは第一取引関連情報を前記中央情報システムに伝送することを含み、」の中に追加した
前記第二通信ネットワークに通じて前記中央システムが前記複数の地域支店の情報を取得し」部分は、「取引」の内容とされているが、明細書では消費者が「地域支店を指定すると決めた場合、さらに第二通信ネットワークを通じて中央情報システムから
複数の地域支店の情報を取得する必要があって、それに対して消費者が任意の支店と 決めた場合、第二通信ネットワークを通じて中央情報システムから複数の地域支店の 情報を取得する必要がない」と述べ、ここから分かるように、「前記第二通信ネットワークを通じて前記中央システムが前記複数の地域支店の情報を取得し」は、「取引」に関する限定内容ではなく、「地域支店を指定すると決めた場合」に関する限定内容です。
そのため、該当修正は、「取引」の技術内容の一部を下位概念に取り換えることでもないし、「取引」の技術特徴をさらに限定することでもないため、登録時の請求範囲と比べて実質的変更となる。

上記内容によって、本案の行政訴訟判は訴願判決及び原処分を取り消し、本来の処分機関に差戻し、改めて処分すると判決される。

●行政訴訟判決感想:
統一超商股份有限公司は、台湾のコンビニ業界では圧倒的に高いシェアを占めているため、この行政訴訟判決の結果はまだ完全に統一超商股份有限公司の負けとは言えないが、特許訴訟の中では大きな意味を持つだろう。

以上