2013年に予想される米国特許庁料金の大幅値上げ|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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2013年に予想される米国特許庁料金の大幅値上げ

2012年5月
米国特許弁護士 ブライアン・ピー・ファー

前回のパテントメディアでも述べたようにリーヒ・スミス米国発明法案は2011年9月16日に立法化されました。長い名称であるためAmerica Invents Act(米国改正特許法)、あるいは省略形のAIAと呼ばれることもあります。この法律により米国特許法に根本的な変革がもたらされました。そのひとつに米国特許庁が請求する料金に関するものがあります。制定日の10日後、つまり2011年9月26日には庁費用が15%アップしました。制定の直前に有効だった料金から15%アップしたのです。

しかしながら、庁費用の値上げはまだ終わっていません。AIAの第10条項には、特許料歳入の総額が運営費を含む特許関連業務の費用見積もりの総額と等しい場合、特許庁は、特許法のもとに「確立され、認可され、あるいは請求される如何なる料金も設定あるいは改定する」権限を有するとしています。

米国特許庁は「料金設定に関する権限を用い、特許関連業務の費用見積もりの総額を回収すべく庁料金の設定と改定を行う」と述べました。ここで、料金改定の対象は従来の業務ですが、値上がりにより得られる歳入が割り当てられる「特許関連業務」は出願審査に要する係属期間の短縮を可能にするための業務を指しています。

米国特許庁によれば、現在、1回目のオフィスアクションを出すまでに平均して22.5ヶ月を要しています。さらに、出願の平均係属期間は34.7ヶ月です。これらは2012年末に約7,800人の特許審査官により達成される見込みの数値です。米国特許庁は2013年には1回目のオフィスアクション発行までの平均時間を16.9ヶ月に、そして平均継続期間を30.1ヵ月することを計画しています。このために2013年に特許審査官を900人増員する予定です。

米国特許庁は「健全な公共政策を通じて、庁料金を実際の費用より高くあるいは低く設定すること」で出願人の動向に影響を与えようとしています。例えば、「出願、調査、審査の料金」を助成することで「出願に掛かる費用を下げること」を考えています。一方で、「補充審査に掛かる料金(supplemental examination fees)を費用を少し上回るものに設定することで、最初の審査で出願人がすべての関連情報を提出するよう促そう」としています。これにより、審査手続きが簡潔になります。

米国特許庁が提案している料金案によれば、米国特許庁は再審査(reexamination)を一種の補充審査とみなしており、抑制しようとしているか、少なくとも奨励することはなさそうです。米国特許庁は再審査請求量を2,520ドルから17,760ドルに値上げすることを提案しています。しかし、従来は小規模団体への値引きがなかったところ、提案されている料金案では、このような値引きが提案されています。具体的には、小規模団体の料金は8,880ドルです。また、超小規模団体(micro entity)については更なる値引きを提案しており、再審査請求料は4,440ドルです。

審判についても米国特許庁は抑制する(つまり、奨励しない)意思があるようです。現在、審判請求書の提出料金は大規模団体、小規模団体についてそれぞれ620ドル、310ドルです。これをそれぞれ1,500ドル、750ドルに引き上げ、超小規模団体については375ドルを設定しようとしています。提案されている料金案では、理由補充書(appeal brief)の提出に掛かる費用が削除されています。これは現在では大規模団体、小規模団体についてそれぞれ620ドル、310ドルで継続審査請求(RCE)についても米国特許庁は抑制する意図があるようです。現在の費用は大規模団体、小規模団体についてそれぞれ930ドル、465ドルです。提案によるとこれをそれぞれ1,700ドル、850ドルに引き上げるとしています。超小規模団体については425ドルが提案されています。

新たな出願をする場合の費用については、3種類の費用が存在します。(1)基本料金、(2)調査料金、(3)審査料金です。現在では、これらはまとめられており、大規模団体、小規模団体についてそれぞれ1,250ドル、625ドルです。提案されている料金案によれば、それぞれ1,840ドル、920ドルに引き上げられています。現在の料金でも提案されている料金案でも小規模団体は電子出願を行った場合100ドルのディスカウントを受けることができます。超小規模団体が新たな出願をする場合の費用については提案されている料金案では460ドルであり、電子出願によって50ドルのディスカウントを受けられます。

米国特許庁はまた、意匠出願についても料金の値上げを計画しています。現在、新たな意匠出願は大規模団体、小規模団体についてそれぞれ530ドル、265ドルです。この料金は基本料金と審査料金を含みます。提案によれば、これらの料金はそれぞれ1,180ドルと490ドルに引き上げられます。超小規模団体については295ドルです。

超小規模団体の条件は以下の通りです。

  • 過去の米国出願で発明者となっている件が4件以内である団体(外国出願、仮出願、国際出願は除く)
  • 総所得額がアメリカの年間平均世帯収入(現在約50,000ドル)の3倍を超えないこと
  • 出願を上記の枠を超える所得がある団体へ譲渡していない、譲渡する義務がないこと

更に、米国の高等教育機関も超小規模団体に含まれます。外国の教育機関は、過去の出願数や収入の要件を満たしていない場合、超小規模団体とは認められません。

米国特許庁はクレーム数の多い出願についても奨励するつもりはなさそうです。現在、4つ目以降の独立クレームは、大規模団体、小規模団体についてそれぞれ250ドル、125ドル掛ります。これらの料金をそれぞれ460ドル、230ドルに上げることを提案しています。超小規模団体については115ドルを提案しています。提案によれば、多数項従属クレームの料金はほぼ倍になります。現在は、多数項従属クレームは大規模団体と小規模団体について450ドルと225ドルです。提案されている料金案によると、それぞれ860ドル、430ドルになります。超小規模団体については215ドルです。

提案されている料金案によれば、クレーム数が61~70のビジネス方法特許の特許付与後レビュー(post-grant review)が最も高い料金になります。125,300ドルであり、小規模団体、超小規模団体の割引はありません。さらに、クレームが10個増える毎に35,800ドル料金が上がります。

料金案によれば、庁料金はかなり高くなりそうです。米国特許庁はほどほどの長さで、クレーム数が20を越えず、独立クレームが3つ以下の出願を奨励するようです。審判、再審査、付与後レビュー、そしてRCEは奨励されていません。審判やRCEの費用が大幅に上がるため、出願人はよく準備された出願書類を準備することがますます重要になってきます。加えて、意匠出願の料金はほぼ二倍になります。

米国特許庁によれば提案されている料金案は「最初の提案であって、最終版には程遠い」ということです。米国特許庁は別の代替料金体系も提案しており、それについては「現行の料金体系と同等の水準であり同じ構成を持つ」としています。米国特許庁はフィードバックと提案を求めています。

米国特許庁は2012年6月に最終の料金案を公表する予定です。その後、公衆は米国特許庁に対して直接、書面でフィードバックを提出できます。米国特許庁は付与前公開と特許発行費用の値下げを除く新料金を2013年の2月に実施する計画です。付与前公開と特許発行費用については2014年の1月に実施予定です。米国特許庁によると、値下げを遅らせるのは2013年に十分な歳入を得るためです。しかしながら、値下げは値上げに比較すれば微々たるものです。