ブラジルのこと|お知らせ|オンダ国際特許事務所

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ブラジルのこと

(パテントメディア2020年9月発行第119号掲載)
弁理士 田中真理子

私はオンダ国際特許事務所に入所してもうすぐ3年ですが、その前まではブラジルに3年住んでいました。ブラジルと聞いて、みなさま、どのようなことを想起されますか。最近はコロナ問題であまりよい話を聞かないかもしれません。でも暮らしてみて、私はとても面白かったです。しばらく飛行機も乗れそうにありませんし、遠すぎて多分みなさまのほとんどが訪れることはないであろう、地球の裏側のブラジルのお話が、気分転換になればと思いお話いたします。
その前は愛知県の精密機械メーカーの法務部で約15年働いていました。そこでは長きにわたり、いろいろな経験をさせてもらい、お世話になったみなさまにはいまも感謝しています。もしかしたらこの記事を見ているかもしれません。みなさまのご活躍をお祈りしています。

さて、ブラジルは、南米の大国です。面積的にもブラジルとアルゼンチンがひろいのですが、特に人口が多いです。2億947万人。この人口の圧倒的な多さと伸び率で、「BRICs」として注目されたりしていました。
大都市では最大がサンパウロとリオデジャネイロ。特許庁はリオにあります。首都は人工都市のブラジリアです。未来的なデザインで作られた町で、公共建築の主任建築家はオスカー・ニーマイヤーさんです。訪れましたがとても素敵でした。
北部がアマゾン流域です。真ん中あたりには、上記の大都市と、大西洋に面した美しいビーチ街が有名。南部にバンタナールという草原地帯があります。
私が住んでいたのはサンパウロです。サンパウロは経済の中心地で、車や人がとにかく多くて、活気に満ちていました。気候は、夏は暑いですが湿気がないので過ごしやすく、冬は10度くらいにはなり普通に寒かったです。都市部とそれ以外は、違う国なんじゃないかというくらい、様子が違います。サンパウロの中でも、ファベーラという貧民街があったり、桁違いのお金持ちの豪邸があったり、その両極端ぶりにはいつも驚かされました。
治安はとても良くなくて、普段使う車は防弾ガラスでしたし、日中でも歩いて好きなところへどこへでも、ということはできませんでした。

歴史的には南米唯一のポルトガル語大国ということでもわかるようにポルトガルの植民地でした。独立後は、南米でも最も多彩な移民を受け入れたため人種構成が他国に比べてもかなり多様です。ブラジルはポルトガルが宗主国というけど、ポルトガル人が国の経済や政治を独占しているわけでも人数的に多いわけでもなく、イタリア移民、ドイツ移民もかなり多いし、もちろん日系も多いです。
この多様性と、自然と資源があることが、ブラジルの特徴かなと私は感じていました。
ちなみにブラジルの国旗、緑色の地に黄色の菱形と青い円を組み合わせたデザインですが、中央に「Ordem e Progresso」と書かれています。秩序と進歩、です。ああこの国はこれを目指している、その通りかもしれないなと感じずにはいられませんでした。

日系移民といえば、ブラジル滞在中に私は何度かブラジル日本移民資料館を訪れました。笠戸丸がブラジルについてから、厳しい環境の中でいかに日系移民たちが苦労してきたかが伝わる資料館なのですけれど、ここで見つけた忘れられないひとこと。
“ブラジルは土地が広大であり、収穫を増やすことは、すなわち開墾する土地を拡大することと同義であった。そこに移民した日本人は「狭い土地の生産性を高めて収穫を増やす」という概念を持ち込んだのだ。”
生産性という概念をもたらしたのが日本からの移民だそうです。
ひろい土地と資源に恵まれ、大きいことはいいことだ、的なブラジル人に、効率よく生産しようとする、日本人。これもあまりに対照的だと思いました。
そういうこともあってか、日系人はとても日本のことを誇らしく思ってくれていて、私のような一時的な滞在者にも、やさしく接してくれました。すごくありがたかったです。いま日本にいる外国人たちに同じようにしているだろうかと、改めなければならないと思っています。

わたしはいま意匠商標部門にいて、主に外国出願を担当しています。ブラジル知的財産庁には審査遅延の問題があるようです。カーニバルからクリスマスにかけては、ブラジル人はみんなお休み、審査官たちもしっかりお休みとは、なんともブラジルらしいと思って聞いていましたけど、まさか帰国してブラジルの案件にかかわることになろうとは、なんとも不思議なものです。

ブラジルだけでなく、当所意匠商標部は豊富な外国出願実績を有しています。意匠商標の外国出願はオンダ国際特許事務所へ、ぜひご相談ください。どうぞよろしくお願いいたします。