ハウスマークの保護と商標管理について【弁理士コラム】|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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ハウスマークの保護と商標管理について【弁理士コラム】

2016年9月
商標部 弁理士 田口裕子

商標部所属の田口と申します。昨年9月に国内特許第1部から商標部に異動となり、商標担当となって1年が過ぎました。

商標部に異動してから、雑誌の広告欄などに表示されている商標が、よく目にとまるようになりました。特に、広告欄に、会社名をデザイン化したロゴや社章といったハウスマークが表示されていると、そのハウスマークが適切に商標登録されているかといったことが、とても気になるようになりました。それは、この1年間の実務を通じて、ハウスマークについて適切に商標権を取得されていない会社が意外と多いのではないかと感じているためです。
今回のコラムでは、ハウスマークの商標登録の重要性とその管理についてふれたいと思います。

<ハウスマークの商標登録の重要性について>

ハウスマークが会社名を示すものである場合、ハウスマークを商標登録しなくても、会社名が商号登記されていることにより保護されているとお考えになる方もいらっしゃるかと思います。しかし、同一の商号は、会社の住所が異なれば日本国内で複数存在し得るため、商号登記しても独占的にその名称を使用できるというわけではありません。そればかりか、先に同一又は類似の会社名について商標権を取得した同業者から、使用の差止請求をされてしまうケースさえあります。
このように差止請求された場合であっても、例えば、商品の「製造元」等の欄に会社名を表示するといったように、会社名を普通に用いられる方法で表示する場合には、商標権の効力は及びません。しかし、会社名を、ロゴなどのデザイン化された文字で目印として表すことは、普通に用いられる方法で表示するものとはいえないため、商標権の効力が及び、差止請求を受け入れざるを得なくなります。
また、商標法においても、特許法と同様、先使用権を認める規定はありますが、商標の使用についての先使用権が認められるには、商標が自己の業務にかかる商品・役務を表すものとして需要者の間に広く認識されていること(周知性)が必要となります。この周知性については、全国的に知られているということまで必要とはされませんが、周知性が認められるか否かは、裁判所の判断にゆだねることになります。
つまり、ハウスマークであっても、他人に商標権を先取りされてしまえば、使用できなくなる可能性が高くなり、その場合は、滅多に変更できない会社名や社章を変更して、また一から会社のブランド価値を築いていかなければならなくなります。以上のことから、ハウスマークを安全に使用し続けるには、商標登録することが必須といえます。

<ハウスマークの商標管理について>

ハウスマークは、会社の全ての事業分野において使用されますので、実施している事業分野(商品・役務)の全てについて商標登録をする必要があります。
したがって、会社の設立時やハウスマークの変更時には、事業分野の全てを網羅するように商品・役務を指定して商標登録出願をすることが必要になります。また、既にハウスマークに関する商標権を保有されている場合でも、新たな事業を開始される際には、ハウスマークについて、その新規事業分野に対応する商品又は役務を指定した新たな商標登録出願をなされることをお勧めいたします。
ところで、会社の設立時にハウスマークを商標登録して、その後に新たな事業を開始された際に、その新たな事業分野についてハウスマークの商標登録をしていない場合には、ハウスマークの商標権について必要分野での取得漏れが生じるおそれがあります。また、事業分野の拡大の度に、ハウスマークを商標登録出願した場合には、取得漏れを防ぐことはできても、同一の商標について同一区分の商品や役務を指定した複数の商標権が存在するといった事態も生じ得ます。このように、ハウスマークの商標は、使用する事業分野が広範囲にわたるため、その管理が難しくなります。したがって、既にハウスマークについて商標権を取得済みのお客様においても、定期的に、その商標権が事業分野と合致したものであるかを見直すことが必要です。
弊所の「商標ポートフォリオ整理®」サービスでは、お客様が保有されている商標権の権利範囲と実際にお取り扱いの事業分野とのずれを把握した上で、最適な商標管理方法を提案させて頂いております。このサービスにより、ハウスマークの商標権の必要分野での取得漏れを防ぐだけではなく、商標管理の手間や更新費用を抑えることもできます。ハウスマークについて商標登録がお済みでないお客様、ハウスマークの商標管理についてお困りのお客様は、ぜひ、弊所にご相談頂きたいと思います。

※「商標ポートフォリオ整理」は、弊所の登録商標です(商標登録第5625958号)。