私の仕事【弁理士コラム】|パテントメディア|オンダ国際特許事務所

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私の仕事【弁理士コラム】

2014年1月
弁理士 中島貴志

1.自己紹介

私は弁理士の中島貴志と申します。オンダ国際特許事務所の岐阜オフィスに勤務しております。岐阜オフィスには、私、中島(なかじま)の他に、中嶋(なかしま)と言う弁理士もおります。この記事を作成したのは「なかじま」の方の弁理士ですので、お間違いのないよう・・・。
私は当事務所に2005年に入社しましたので、現時点で8年間、当事務所に勤務したことになります。今、この原稿を書いていると、「もう8年も経ったのか・・・」という気持ちです。入所当時は弁理士の試験勉強で「明細書」や「特許請求の範囲」等の言葉は知っていましたが、それらが具体的にどのようなものかを全く知らない状況でした。そこから8年間、当事務所で鍛えられた結果、今では顧客に満足して頂ける「明細書」や「特許請求の範囲」等を作成できるようになったのではないかと思います。
私は主に国内の特許出願原稿の作成を業務にしております。そこで今回は国内の特許出願原稿の作成の流れ、並びに仕事の進め方を紹介していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。

2.顧客からのご依頼

業務の取り掛かりは顧客からのご依頼になります。当事務所では、お付き合いのある顧客から定期的に特許出願のご依頼があります。ご依頼の形は、通常、発明の内容が記載された書類(特許依頼書)がファックスで送られてくるだけです。次に、特許依頼書に基づいて面談を行う日(特許面談日)を顧客と相談して決定します。その後、当所担当者は特許面談日までに特許依頼書に基づいて発明の概要を把握しておきます。その際、私は、特許面談を円滑に進めるために、発明のポイントを自分なりに押さえるとともに、発明者への質問事項をまとめておきます。なお、発明のポイントについては大まかに捉えるように心がけています。発明のポイントに関して固定観念があると、仮に自分の考えた発明のポイントと顧客の考える発明のポイントとが相違した場合、自分の考えを顧客に押し付けるような誤った対応をする可能性があるからです。自分の考えが間違っていた場合でも、自分の考えを顧客の考えに修正できる柔軟な対応が望ましいと考えています。

3.特許面談

特許面談は、通常、顧客側の発明者及び知財担当者と当所担当者とで行います。特許面談は、発明者に発明の内容を説明して頂くことにより、当所担当者が発明をより具体的に理解する場です。その際、発明者になるべく長く話して頂くのが重要だと考えます。例えば、発明者が話している最中に不明点があったときに、こちらから即座に質問すると、発明者の話を中断してしまい、結果として重要な情報を聞き逃すことがあります。発明者の話を中断しないように心がければ、自ずと発明者から重要な情報を聞き出せることがあります。また、発明者の中には積極的に説明して頂ける方もいますが、その反対に「多くを語らない方」もいます。後者の方からどのように情報を引き出すか、それが腕の見せ所となります。
そして、発明の具体的な内容を理解した後、特許請求の範囲、すなわち権利範囲を顧客側の知財担当者と相談して決定します。これで特許面談が終了となります。

4.明細書の作成

次に、特許面談の内容に基づいて特許出願書類(願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、及び図面)を作成します。国内特許担当者の業務のほとんどは、この特許出願書類の作成に費やされます。 以下、その作業手順を簡単にご説明します。
私の場合は、まず、図面を作成します。図面を作成しながら、発明の内容を具体的にイメージするとともに、過不足なく発明を説明できるかを検討します。うまく説明できない場合には、例えば図面が不足している、自分の技術理解が不足している等の要因が考えられますので、それらの不足部分を明らかにした上で、発明を説明できる程度に図面を完成させます。なお、完成した図面は手書きですので、その清書を当事務所の図面部にお願いします。当事務所では、国内特許担当者の作成する図面は手書きで問題ないので、図面部の存在は非常に大きいと言えます。
その後、明細書及び特許請求の範囲を作成します。明細書及び特許請求の範囲の作成には様々なポイントがありますが、それをここで述べるとページが足りませんので、申し訳ありませんが割愛します。簡単に説明すると、特許請求の範囲を先ずは完成させ、その内容に基づいて明細書を作成するという順序がよいのではないかと思います。特許請求の範囲と明細書との整合性が取れ易くなるからです。また明細書については、構成、作用、効果を意識しながら作成するとよいと思います。これにより明細書が読み易くなり、その品質を向上させることができます。
そして、特許出願書類の作成が完了したら、「パテントチェッカー」という当事務所のオリジナルソフトにより特許出願書類のチェックを行います。この「パテントチェッカー」は非常に高機能なソフトで、特許出願書類の様々なミスを検出してくれます。「パテントチェッカー」は当事務所の特許出願書類の品質を支える縁の下の力持ち的な存在です。
こうして特許出願書類の作成及びそのチェックが完了したら、完成した特許出願書類を顧客に納品します。

5.出願

顧客に特許出願書類を納品した後、顧客から出願指示を受けると、特許出願書類を特許庁に出願します。この出願作業は、当事務所の国内管理部という部門が全て担当しています。したがって、出願時、当事務所の国内特許担当者は特許出願書類の再チェックを行うだけでよく、残りの面倒な手続は国内管理部が行ってくれます。そして特許庁への出願手続が完了すれば、一連の作業が完了です。

6.最後に

以上のような作業を来る日も来る日も続けるのがオンダの国内特許担当者です。このように説明すると、ただのルーティンワークか、という声が聞こえてきそうですが、実際はそうではありません。なぜならば、一つとして同じ発明はないため、毎回異なる「作品」を作らなければならないからです。そういった意味で、この業務は非常にクリエイティブなのです!
最後に、この仕事をやっていく上で大事なのは、「サービス業」の精神ではないかと思っています。自分自身のスキルが向上してくると「自分の望む明細書」を作成しがちになりますが、「顧客の望む明細書」を作成することが何よりも重要であると考えます。そのような信念のもとに今後も精進していきたいと思います。