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知的財産トピックス

EPC規則改正(2010年4月1日発効)について

2009.9.28

EPC規則が2010年4月1日に改正されます。改正内容は、以下の通りです。

1.分割出願時期の制限  

2010年4月1日以降の出願、及び2010年4月1日時点で係属中の出願について分割出願を行う場合、これまで通り親出願が係属中であることに加え、以下の新たな時期的要件を満たす場合においてのみ分割出願を行うことができます。

(1)自発的な分割出願を行う場合

最先のEPC出願の審査部による最初の審査通知*から24ヶ月以内

*2009年8月20日付けの欧州特許庁からの通知によれば、「最先のEPC出願の審査部による最初の審査通知」とは、ファミリーの最先の出願において発せられたオフィスアクション又はEPC規則71(3)に基づく通知(特許査定に相当)を指します。すなわち、後述するように欧州拡大サーチレポート(EESR)に対する応答義務が発生しますが、EESRに含まれる見解書は、「審査部による最初の審査通知」には含まれません。

(2)発明の単一性違反の拒絶を受けた場合

発明の単一性を満たしていないことを指摘した最初の審査通知のあった日から24ヶ月以内

EESRに含まれる見解書(調査部が作成)に発明の単一性違反の記載が含まれることがありますが、審査部も同じ判断である場合には、審査部からの最初の審査通知においてもこの発明の単一性違反が指摘されるため、審査部からの最初の審査通知から期限を起算します。なお、分割出願において発明の単一性違反の審査通知を受けた場合において、もし先の出願で既に同じ内容の発明の単一性違反の審査通知を受けていた場合には、当該先の出願における発明の単一性違反の審査通知から期限をカウントします。

(3)経過措置

2010年3月31日以前の出願については、経過措置として、2010年10月1日まで分割出願を行うことができます。なお、上記(1)又は(2)の期限が2010年10月1日よりも後に到来する場合には、(1)又は(2)の期限が分割出願の最終期限となります。

2.欧州拡張サーチレポート(EESR)への応答の義務化

現在、欧州特許庁(EPO)を国際調査機関(ISA)又は国際予備審査機関(IPEA)とするPCT出願を除いた全出願について、欧州拡張サーチレポート(見解書付きサーチレポート。略称EESR)が発行されています。規則改正により、EESRが2010年4月1日以降に発せられる出願については、EESRに対する応答(すなわち見解書において述べられている拒絶理由に対する応答)が義務化されます。応答期間は、通常出願の場合はEESRの公開から6ヶ月、欧州特許庁をISA又はIPEAとしないPCT出願の欧州領域段階出願の場合は、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(現行では2ヶ月)です。応答を行わなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされます。

上記期限経過後においては、自発補正は認められず、補正には審査部の同意が必要です。

3.国際調査機関(ISA)又は国際予備審査機関(IPEA)として欧州特許庁(EPO)が作成した国際調査見解書又は国際予備審査報告に対する応答の義務化

国際調査機関(ISA)又は国際予備審査機関(IPEA)として欧州特許庁(EPO)が作成した国際調査見解書又は国際予備審査報告に対する応答が義務化されます。応答期限は、領域段階手続が行われてから約1〜2ヶ月後に発行されるEPC規則161に基づく通知から1ヶ月(延長不可)です。

対象出願は、現行のEPC規則161に基づく通知が2010年3月31日までに発せられていない出願です。

4.サーチの対象について

(1)同一カテゴリーに属する複数の独立クレームの取り扱いについて

発明の単一性を満たし、かつ、以下のいずれかの条件(a)〜(c)を満たす場合に限り、出願に同一のカテゴリー(生産物、方法、装置、用途)に属する複数の独立クレームを含めることができます。

(a)相互に関連する生産物であること(例:タンパク質及びそれをコードする核酸、送信機と受信機、プラグとソケット、中間体と最終生成物)

(b)生産物又は装置の異なる用途であること(例:既知の化合物の第2医薬用途)

(c)特定の問題を解決するための代替の解決法であって、単一のクレームによってはカバーできない解決法であること(例:ある化合物を生成するための2種類以上のプロセス)

現行の規則では、審査段階において上記要件を満たすように求められています。しかしながら、改正後においては、上記要件を満たさない場合、サーチレポートの作成前に、どのクレームに基づいてサーチを行うべきかを問う通知が発せられます。通知に対して2ヶ月以内に応答しない場合、各カテゴリーの最初のクレームについてのみサーチが行われます。

(2)不完全なサーチについて

発明が有意なサーチが行えるほど明瞭でないと判断された場合、EPOは出願人に対し、2ヶ月以内にサーチすべき発明を特定(例えばクレームの解釈の助けとなる実施形態を特定)するように求める通知を発します。これに応答しなかった場合、又は応答によっても発明が十分に特定されていないとEPOに判断された場合、一部のクレームについてサーチが可能な場合には部分サーチレポートが発行され、サーチがどのクレームについても不可能な場合には、その旨の宣言がなされます。なお、サーチが一部のクレームについてなされた場合、当該出願における発明の権利化は、サーチされた発明に制限されることになります。

(3)適用時期について

これら(1)、(2)の改正は、2010年4月1日以降に欧州拡張サーチレポート又は補足の欧州拡張サーチレポートが発行される出願に適用されます。

5.補正の制限について

(1)自発補正について

上述したように、自発補正は、

  1. 通常の出願についてはEESRの公開から6ヶ月以内
  2. 欧州特許庁をISA又はIPEAとしないPCT出願の欧州領域段階出願の場合は、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(現時点では2ヶ月)
  3. 欧州特許庁(EPO)を国際調査機関(ISA)又は国際予備審査機関(IPEA)とするPCT出願については、領域段階手続が行われてから約2ヶ月後に発行されるEPC規則161に基づく通知から1ヶ月(延長不可)以内

に限り行うことができます。

(2)補正の根拠について

補正を行う場合、補正個所と明細書中のサポート部分を明示することが求められます。これを行わなかった場合、EPOより1ヶ月以内(延長不可)に提出を求める通知が発せられます。この通知に応答しなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされます。

(3)補正の範囲について

クレームされていた発明又は該発明と発明の単一性を満たす発明に組み入れられない限り、サーチされていなかった発明をクレームすることができなくなります。

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