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「パテントメディア」

もし、特許事務所の所長がドラッカーの「マネジメント」を読んだら(2)

2013年1月
会長 弁理士 恩田博宣

1.始めに

少し前に話題になった小説、岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(いわゆる「もしドラ」)を参考にして、特許事務所のマネジメントについて、前号と今回に分けて書かせていただいています。もし特許事務所の所長が『マネジメント』を読んだなら、どうマネジメントを行うかということです。
主人公みなみは公立高校の野球部のマネージャーですが、ドラッカーの『マネジメント』を読んで、これを野球部の運営に応用、実践して、甲子園出場を決めるというのが、「もしドラ」の物語です。

2.前号の概略

2−1.マネージャーとは

「もしドラ」全体を眺めて、「マネージャーとは誰のことか」の答えを出すとすれば、経営者、会社役員、部長、課長、係長、主任等1人以上の部下を持つ役職の人、そして、単に会社のみならず、あらゆる営利・非営利団体、クラブ活動の指導者、代表、グループ長も含まれるように思われます。事実、この物語では野球部のお世話係とでもいえるマネージャーのことをいっています。

2−2.マネージャーの資質について

『マネジメント』では、マネージャーの資質として、生まれつき持っていなければならない根本的な資質として、真摯さをあげています。その中身については具体的な記述がないのですが、筆者としては正直さ、素直さ、気働き、感性、根気、鷹揚、厳格、カリスマという言葉を思い浮かべました。
その後もう少し調べてみると、「真摯さ」の原語はintegrityです。意味は「完全な状態」「一貫していること」です。
「もしドラ」の中では、入院中のもう一人のマネージャー夕紀が「甲子園にいけなくても、それに向かって努力するというプロセスが大切だ。」と主張したのに対し、主人公のみなみは「結果を求めずに、プロセスを重視するのは、マネジメントとして真摯さに欠ける。」と主張するくだりがあります。この真摯さについては、「完全な状態」という解釈が最も適切でしょう。
また、ドラッカーの「マネジメント」では、プロセスか、結果かについて「組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、全ての活動の目的である。・・・・成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。」と述べ、明確に結果重視の姿勢をとっています。

2−3.事業を定義する

『マネジメント』には「あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、『われわれの事業は何か。何であるべきか。』を定義することが不可欠である。」とあるのです。さらに、この問いに「答えることは難しく、わかりきった答えが正しいことはほとんどない。」とも述べられています。「もしドラ」において、主人公みなみは高校の野球部の組織を「顧客に感動を与えるための組織」と定義しました。
筆者は特許事務所の事業の定義を「顧客に対して知財サービスにより予想外の満足を与える組織」としました。

2−4.マーケティング

みなみが事業の定義を確定してから、次に取り組んだのは、マーケティングでした。
『マネジメント』にはマーケティングについて、「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、事業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」
さらに、「これまでマーケティングは、製品からスタートしている。われわれの市場を探している。これに対して真のマーケティングは顧客からスタートする。『われわれは何をしたいか』ではなく、『顧客は何を買いたいか』を問う。『われわれのサービスや製品にできることはこれである。』として営業するのではなく、『顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである。』を追求すべきである。」とあります。
みなみがマーケティングとしてやったことは、野球部の様子をよく観察するとともに、野球部の部員の一人一人に面談を行い、不満、要望、悩み、どうして野球をやっているか等を聞き出すことでした。
特許事務所においては、本来の顧客である知財部、技術部、発明者が、何を望んでいるかを調査することが必須です。
筆者の事務所では、毎年年初に多くの顧客を訪問し、あるいは来所された折に、われわれの年度方針を伝えるとともに、事務所に対する要望をお聞きしています。ときには新たなビジネスに係る要望をいただくこともあります。知財教育に関する要望も意外に多いこと、ビジネスにつながる要望の多くは調査に関係していること、調査から取引が始まって、その他の業務に広がっていくというケースがあること等が判明しました。確かにマーケティングは、ドラッカーがいうように顧客が何を望むかから出発しなければならないと思います。
従業員に関するマーケティングについては、「何をしたいか、どうなりたいか、については事務所の進む方向と齟齬しない限り、従業員の意思を最大限尊重する。」ということを周知し、実行しています。
以上が前号のまとめです。以下、マーケティングに関する更なる見解を述べるところから、本号の記述を始めたいと思います。

3.マーケティングについてもう一言

ピーター・ドラッカーは「事業体は大きくなる必要は必ずしもないが、よりよくなって行かなければならない」といっています。事業体は発展していかなければならないのです。それは従業員の生活を維持し、向上させるために必要です。それは、その企業がもっと世の中のためになり、世の中からもっともっとと求められる事業体にならなければ、継続不可能になってしまうからです。
ドラッカーは、「マーケティングは顧客から始めよ」といっています。「顧客が真に何を求めているのかを探れ」という意味です。
特許事務所で、「われわれに対するご要望はございませんか」と、常にお客様の声を聞くようにしているところは多いと思います。しかし、お客様からは、決まって「強い権利になる明細書」、「行使しやすい権利の取得」、「分かりやすい明細書の作成」、「誤字脱字のない明細書の作成」等という返事が返ってきます。常に同じなのです。
つまり、お客様が特許事務所に対する要望として、その他の実質的なもの、一歩踏み込んだものを、顕在意識で明確に意識されていることは、少ないのではないかと思います。
要望が潜在的にしか存在しない点について、「カンブリア宮殿」で取り上げられた食品機械製造会社、株式会社柳屋の社長は、
「顧客のニーズを探る時代は終わった。ニーズはすでに存在せず、商品への潜在的要望があるだけである。大量の漠然とした情報の渦の中から、具現化できるものを正確にとらえて提案するものだ。」
と明言しておられます。
筆者もこれほどの断言はできないのですが、同じように感じています。
特許事務所は本質的なお客様からの要望を、自ら見つけ出す努力が必要だと思います。
筆者の事務所があるお客様において、戦略的意匠出願の講演会を開催させていただいたことがあります。デザイン部門のみならず、技術部門から営業の方々にまで、講義を聞いていただきました。その中で、そのお客様はアイデアすなわち機能的な発明を意匠で保護することの有効性に気付かれました。潜在意識下にあった戦略的意匠出願という要望が見出されたのです。その結果、非常に多くの機能的な意匠の出願を依頼していただけるようになりました。すなわち、筆者の事務所が、機能を保護する戦略的意匠出願についての情報を提供したことによって、お客様は新たな要望を当所に寄せられたのです。
この事実からも分かるように、お客様の真の要望というのは、特許事務所側が、開発させていただくというケースもあるのです。
一方、筆者の事務所が開催する特許調査の研修会には、毎回大変多くの参加者があります。
そこには企業側に大きな要望があることを見て取ることができます。少なくとも、正確な調査、コストや時間のかからない調査の要望があることは確かです。
しかし、調査に関する研修会を企画実行するまでは、そのような強い要望があることは分かりませんでした。すなわち、やってみて、今更のように気付いたというわけです。このようにお客様の要望・需要は一見分からないところに隠れていることがあります。特許事務所としては、色々やってみる以外にないのでしょう。マーケティングの難しさを象徴しているようです。
教育に関する要望も多くあります。新入社員用、それも知財部員用と一般社員用とがあります。さらに、調査に関する研修要望も非常に多いといえます。

4.イノベーション

『マネジメント』にはイノベーションについて、「マーケティングだけでは企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在し得ない。そこに存在し得るものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。企業が存在し得るのは、成長する経済のみである。あるいは、少なくとも変化を当然とする経済においてのみである。そして、企業こそ成長と変化のための機関である。
したがって、企業の第2の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない。」とあります。また、「イノベーションとは、科学や技術そのものではなく、価値である。組織の中ではなく、組織の外にもたらす変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への影響である。」とも記述されています。
この記述を踏まえて、みなみの野球部はイノベーションを高校野球界にもたらす変化と捕らえ、どのように高校野球を変化させるかを考えたのです。
その点について『マネジメント』は「イノベーション戦略は、既存のものはすべて陳腐化すると仮定する。したがって、既存事業についての戦略の指針が、よりよく、より多くのものであるとすれば、イノベーションについての戦略の指針は、より新しくより違ったものでなければならない。イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる。」としています。
みなみの野球部は、加地監督の意見も容れて、「送りバント」と「ボールを打たせる投球術」を捨てようと決め、それを実行していきました。
高校野球史のなかでイノベーションを果たした監督として、池田高校の蔦監督と取手二高の木内監督がいるといいます。
蔦監督は守りの野球を打って打って打ちまくる攻撃野球に変え、木内監督は管理野球を球児の気持や個性を打ち出す心の野球に変革させました。

5.特許事務所のイノベーション

筆者の事務所でイノベーションとしてどのような変化を過去にしたか。思い出せるのが、情報開示(調査手法セミナー、教育セミナー)とアメーバ経営、QCサークル活動です。

情報開示

通常、特許事務所は内部で開発されたノウハウ、例えば、図面の描き方、特許明細書の書き方、意匠出願戦略、PCT出願戦略、商標管理手法、調査手法、国内事務管理、国際事務管理、教育システム等は秘密に管理されることが多く、あまり外部に公開することはしません。
10年以上前の話ですが、ドイツのある特許事務所を訪ねたとき、「メインのクライアントは?」と尋ねたのに対して、「それは秘密ですから、答えられません」と言われ、いささかびっくりしました。「特許公報のデータベースを調べたらすぐわかるのに」と思ったものです。
筆者の事務所では開業して間もない頃、コンサルタントの先生から「情報は発信したところに集まる」と教えられました。それ以降、少々ノウハウを含む情報であっても、どんどん発信するようにしています。筆者の事務所のホームページを見ていただくとよくわかると思います。その他に事務所主催の研修会を年10回以上は開催し、そこでは相当高度なノウハウも開示しています。例えば、意匠出願の拒絶理由に対する意見書の書き方等は長年の経験から蓄積されたノウハウを含むのですが、何も隠すところなく、多くの事例とともに開示しています。さらに、特許調査手法についても検索式の立て方を豊富な事例とともに開示したセミナーを過去に10回近く開いています。
これらのセミナーについては、企業から個別に招かれ、開催する機会も多くあります。そのときは、その企業向けにカスタマイズした研修会を行っています。お客様からの「当社では出願前に調査をしていますが、その調査が杜撰かつ不正確なので、オンダ特許さんのノウハウを学びたい。」という要望に応えるものです。ある意味では筆者の事務所へ来る調査依頼をなくしているともいえなくはないのですが、商売繁盛へとつながる可能性も高いのです。
まず、充実した研修ができればできるほど「オンダ特許の意匠戦略はすごい」「オンダ特許の特許調査は一流だ」という認識を持ってもらうことができます。どうしても通さなければならない意匠の出願事件があったようなときには、その意見書はご依頼していただけるかもしれません。
特許紛争が起こり、社運をかけて争わなければならないようなときの特許無効調査は、ひょっとしたらご依頼していただけるかもしれません。
特に調査のノウハウを開示するセミナーは、一般的に調査に関するセミナーがほとんどなかったためか評判となり、急遽、東京、大阪、名古屋でそれぞれ2回ずつ開催することになりました。セミナーは他の特許事務所には公開していないのですが、企業の名を借りて出席してくるところがあったほどです。
「秘密を秘密でなくしてしまう。開示した秘密はもはや陳腐化したものとして、更に改良し、新しくし、よりよくしていく努力をする。」これが筆者の事務所のイノベーションの一つだと考えています。
また、教育については明細書から始まりました。事務所内で行っている明細書教育について、企業から「ノウハウを開示してほしい」と言われ、そのマニュアルをすべて提供したことがありました。そのマニュアルはQC活動で作成されたもので、3ヶ月間に渡り、1日1日何を勉強するかを、具体的資料とともに、詳細に開示したものでした。しかし、やはりマニュアルだけでは、明細書教育は大変難しいのです。研修生が書いた明細書案をチェックする段階は、OJTに勝るものはありません。研修生が書いた明細書をベテラン弁理士が修正してやり、どうしてそのように書かなければならないかを説明するのです。これを明細書全部について行います。その教えは研修生の血となり肉となっていきます。膨大な時間がかかります。もう、チェックの必要がない。独り立ち可能と判断されるまでに、通常2,3年かかります。まれには3ヶ月でOKが出るケースもあります。
かつて、筆者の事務所において、企業の知財部員の明細書OJT研修を実施し、多くの研修生を受け入れたことがありました。3ヶ月で4件から8件くらいの比較的簡単な発明(研修生の所属する企業が実際に出願するもの)を教材にします。3ヶ月目の最終日には、夜遅くまでかかって、実際の出願を終えるというのが普通でした。
通常、企業の知財部員が明細書を書くチャンスは非常に少ないのが実情です。新任の知財部員にとって、この明細書研修は貴重な経験となります。帰任されるときには、「何とか月に1件は書くようにしてください」とお願いするのですが、なかなか難しいようです。
最近では筆者の事務所の教育関連業務は、1つの重要な柱となっています。出願等の業務依頼の全くない企業から新人教育を依頼されたり、営業マンへの基礎知識の講演を頼まれたりします。それが新たな顧客開拓に繋がることもあります。

QCサークル活動

イノベーションのもう1つの大きな柱は、なんといってもQCサークル活動です。本誌の過去号でQCサークル活動については多くを述べさせていただいております。(パテントメディア86号「再びQCの勧め」、87号「事務部門QCの勧め」をご参照ください。筆者の事務所ホームページからもアクセスできます。)
この20年間、特許事務所の事務報酬の値上がりは、ごく一部の例外を除いてありませんでした。しかし、筆者の事務所においては、QCサークル活動による改善効果と品質アップにより、収益構造を悪化させることなく、毎年所員の待遇改善をすることができています。これはまさにQCサークル活動のおかげだと感じます。特に節約効果が高かったのは、事務効率の向上です。QCサークル活動の中にシステム開発をするSE(システムエンジニア)を参加させて、活動させることによる改善効果は特に大きいのです。ちょっとしたソフトウェア開発によって、事務作業が飛躍的に楽になるといった事例は、非常に多くありました。事実、現在においてもシステム開発部に対するソフトウェア開発要求は非常に多く、SE8人をもってしても、需要に追いついていません。筆者の事務所においては、QCサークル活動がイノベーションの主流を占めるといっても過言ではありません。いったんQCサークル活動が終了しますと、古い事務処理方法は捨てられ、新しいものと置き換えられます。そして、休むことなく、次のQCサークル活動を始めることにより、さらに改善が進むのです。
QCサークル活動の優れた点は、休むことなく、常にその行動を取っているので、イノベーションの考え方が全所員に意識されているということです。筆者の事務所では、6ヶ月を1サイクルとし、丸1日かけて、その成果の発表会を行います。全36サークル中、優秀な成果をあげたグループ16サークルが発表します。通常、興味をもたれるお客様を招待して行います。筆者自身その審査員を行っていますが、毎回感銘を受けないことはありません。イノベーションの手段として非常に有効であると考えます。

アメーバ経営

オンダ特許のイノベーションといえるもののもう1つはアメーバ経営です。京セラの稲盛さんによるJALの再生には、京セラで開発されたアメーバ経営が大きなよりどころとなっていました。アメーバ経営は、部門ごとの採算を毎月月初にきちんと出す仕組みです。製造部門も営業部門も社内取引を行って、月次の採算を出します。これにより、ある部門に問題が発生していると、すぐ採算に現れてくるので、直ちに対策が打てるというわけです。非常に有効です。
企業全体として、売上に対して10%の利益が上がっていれば、経営者としては「OK、うまくいっている。」ということになります。しかし、ある部門では大幅な赤字、ある部門では大幅な黒字だったとすると、全体としては帳消しなって、問題点が表に出ません。相当深刻な状態にならないと分からないのです。アメーバ経営ではすぐ調子の悪い部門が判明します。JALではフライトごとの採算があくる日の昼までには、はじき出されるそうです。そうすればどのラインに注力し、どのラインは減便というような幅広い手段を講ずることができます。
筆者の事務所では、アメーバ経営の採用は確かにイノベーションになったといえます。
このアメーバ経営では、来月の売上、費用、収益、所要時間、時間1人当たりの付加価値の予定を決め、予定採算表を作ります。その目標に向かって1ヶ月の仕事をします。
そして、月初に前月の決算をできる限り早く算出し、月初1週間以内に経営会議が開催されます。経営会議は最初に部門長全員が集まり、全体の数値が発表されます。総売上、費用、人件費を除く収益、総時間、時間1人当たりの付加価値のそれぞれについて、予定いくら、実績いくら、予実比何%、来月予定いくらというように発表します。なお、費用は経営管理部が詳細に各部門に振り分けをします。次に、その月に起こった重要事項を発表します。退職者、新入所員、特別の費用、赤字になった理由、目標未達成の理由等です。
その後、部門長は一旦解散し、今度は各本部ごとの部門長が集まり、同じように決算の結果と重要事項について、部門ごとの発表が行われます。所長、会長そして経営管理部の担当者はそのまま残り、全部門の発表を聞きます。
筆者の事務所には、国内明細書部門、外国出願(内外、外内を含む)部門、意匠、商標、調査、図面、国内管理、国際管理、QC、営業、総務、経営管理の部門があります。収益を生む明細書部門以下のPC部門と、収益を生まない図面以下のNPC部門に大きくわけられています。
発表の後、所長会長から質問があり、それに部門長が答えます。この経営会議には丸1日を要します。
このアメーバ経営は各部門にしっかりした目標達成意識を与えます。目標を達成できる月が多くなります。導入前と比較すると明らかに収益構造は改善されました。

6.社会への貢献

「もしドラ」では都立程久保高校の野球部は社会への貢献として、少年野球チームに対して、野球教室を開きます。それにより、感謝されただけではなく、野球部員自身が教えられるという面が現れました。さらに、教えたチームが地区大会で優勝し、程高の野球部員それぞれに礼状が届いたのですが、その礼状は野球部員に大きな感動を与えることになりました。「社会の問題に対する貢献」「顧客に感動を与えるための組織」という野球部の定義の意味を初めてまざまざと実感したのです。
そのほか校内の他クラブへの貢献も書かれています。
特許事務所の社会への貢献としては、講演を頼まれることがよくあります。経済団体での講演が多いのですが、時には高校や中学、時には工業高校の先生に対して知財の基本について話すことがあります。講演の多くがボランティアです。大学で講座を担当して講義をするのも、準備にかかる手間を考えると、限りなくボランティアに近いものです。私立の大学のみならず、国立の大学から支払われる報酬も非常に低くなっていて、名誉をいただいているだけになっているからです。
インターンシップへの協力がもう一つの社会貢献としてあります。小中学生から、大学生まで、事務所において実習されることがあります。商工団体が主催する経営者二世の経営の勉強会のカリキュラムの一環として筆者の事務所へ話を聞きに来たこともありました。純然たる社会貢献になると思います。
前掲のように、筆者の事務所では、毎年多くの研修会を開催しています。例外を除いて、無料で行っていますので、ある意味では社会貢献ということができると思います。しかし、これについては事務所の営業活動という側面も大きいので、社会貢献だと大見得を切ることはできません。

7.結び

「マネジメント」には、さらにマネジメントの正当性、アイデアのよしあしの判断、トップマネジメント、企業規模の限界、競争相手の存在、目標管理、集中の目標と市場地位の目標、関心を成果に向ける(人事)、成果重視、プロセス軽視等の項目があります。紙面の都合で本号は述べることができませんでした。
機会を改めて、さらに述べたいと思います。

2013年1月発行 第96号

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