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「パテントメディア」

3次元操作技術のレベルアップ

2008年1月
図面部 林 康子

オンダ国際特許事務所では、年間2回のサイクルで、約30のサークルがQC活動をしています。
今回は、東海支部総合交流大会で優秀賞に輝いた図面部の改善事例をご紹介します。この事例は、財団法人日本科学技術連盟が発行する「QCサークル誌2007年12月号」に掲載されました。
この改善事例の他に、東海支部QCサークル全員参加大会で金賞を受賞した運営事例を2008年5月開催予定の「第1回JHS選抜大会:日本青年館/東京」にて、発表します。

テーマ選定

重要性、効果、緊急性の高い「3次元操作技術のレベルアップ」に決定。3次元ソフトの普及に伴い、当所にも対応できる能力が必要になってきました。3次元操作で、効率よく作図できれば、作図時間の短縮、イコール、納期短縮ができ、「お客様へのサービス向上」につながるはずです。

画像「テーマ選定」

2次元CADと3次元CADとの比較

2次元操作と3次元操作での作図時間のちがいをサンプルで調べた結果、3次元操作の方が圧倒的に速く作成できました。

図「2次元CADと3次元CADの比較」

課題の明確化

始めに、知識レベルを調べる「コマンド理解度テスト」を行いました。マニュアルからコマンドの全ての項目を洗い出し、どの程度理解しているか、各自で1点から5点で採点しました。
集計結果を見ると、合計点にばらつきがあること、点数が「1点」の項目数が多く、知識が不十分であることがわかりました。

図「課題の明確化(その1)」

図「課題の明確化(その2)」

図「課題の明確化(その3)」

次に、技能レベルを調べる「モデル作成技能調査」を行いました。
操作コマンドを難易度でレベル分けし、レベルに該当するサンプルを探し、作成可否を調べました。
作成結果表より、技能にもばらつきがあることがわかりました。

「3次元操作技術レベル」という抽象的なものを定量化する工夫をしました。
「コマンド理解度テスト」と「モデル作成技能調査」の結果から等級分けをしました。等級をそのまま点数に換算し該当者数を掛けて、合計点を算出。この合計点をテーマの特性としました。

図「課題の明確化(その4)」

図「課題の明確化(その5)」

図「目標設定」

目標設定

目標は、合計点の50%アップと設定

攻め所の明確化

攻めどころ選定シートを作成。「マニュアルを検討する」、「レベルアップする機会を設ける」という2点を攻め所に決定しました。

方策の立案

2つの攻め所について、方策案を考え、期待効果と制約条件を検討し採否を採りました。
(1)勉強会を実施する     
(2)質問会を実施する
(3)外部セミナーに参加する 
(4)マニュアルを作成する
を方策案としました。

成功シナリオの追求

(1)勉強会を実施する

全項目に対して、知っている項目がとても少ないことを実感し、マニュアルをじっくり勉強したいと思いました。
どのような勉強会にするのか検討しました。
等級別に内容を分ける、という案もありましたが、現状では項目を基礎と応用に分類する判断ができないため、「全項目を全員が勉強する」こととしました。
次に内容のボリュームと、時間の使い方を検討しました。
マニュアルは、かなりの頁数があり、週1回の勉強会のみでは十分な知識が得られません。予習を必須としました。また、重要項目を知るために、コマンド理解度テストを分析することや、未経験者は体験版などを自習しておくこと、などを決めました。
講師については、「一人に決めず、現状の能力を考慮して分担する」こととしました。
勉強会のスタイルについても検討しました。
講師がCADを操作し、他の人は聞くだけの講義スタイルは、わかりづらいという過去の経験から「説明に従って、各自がCADを操作しながら進行するスタイル」としました。

(2)質問会を実施する

マニュアルの勉強だけでなく、より実践に役立つ技術を身に付けるために、質問会を実施することにしました。
実務中に、わからなかったことや悩んだことを課題とし、作成方法などについて意見交流をすることとしました。

(3)外部セミナーに参加する

未経験者や、初心者を対象にした無料セミナーがあるので、「未経験者2名が参加する」こととしました。

(4)マニュアルを作成する

既存のオンラインマニュアルは手順の羅列のみで、用語も難しく、扱いにくいものです。わかりやすい表現で、練習問題などがあるマニュアルを作ることにしました。
作成者は勉強会の講師としました。

図「成功のシナリオの追求(その1)」

成功シナリオの実施

(1)勉強会を実施する

始めに、順番や重要項目を考慮した14回分のスケジュールをたて、週1回、勉強会を開催しました。
進める中で、ついていけなくなる人もいて、進行が滞ることもありました。
この問題に対しては、ペアを組み把握できている人が補助をすることで解決。このように、勉強会に対する感想を募り、改善しながら、予定通り、14回の勉強会を実施できました。

図「成功シナリオの実施」

(2)質問会を実施する

質問会開始時期については、基礎コマンドの勉強会の終了後とし、随時課題を募集しました。全3回実施することができました。

(3)外部セミナーに参加する

未経験者2名がセミナーに参加しました。

(4)マニュアルを作成する

講師が、担当部分のマニュアルを作成しました。
オンラインマニュアルの内容をわかりやすくまとめ、練習問題やデータも作成。これにより、実務に即した、オンダ国際特許事務所オリジナルのマニュアルが完成しました。

効果の確認

「コマンド理解度テスト」の合計点が大幅にアップし、「モデル作成技能調査」でも作成できるモデルが増えました。
しかし等級を点数化した合計点は29点と目標にわずか1点及ばず。
ここで諦めるわけにはいきません。引き続き2度目の対策を実施しました。

図「効果の確認」

図「効果の確認」

2度目の対策

・昇給が1等級未満の人についての対策
作成方法を検証してみると、エラーが発生した場合、回避できないことが判明。エラーメッセージの洗い出しと回避方法をまとめることを対策としました。

・昇給が1等級以上の人についての対策
モデルが、もう少しで完成できそうな人がいたため、延長期間を設け、引き続き挑戦して完成を目指すこととしました。

2度目の対策実施後の効果の確認

さらに4人の等級があがり、合計点は33点となりました。
現状の65%アップとなり、目標を大幅に達成できました。

図「効果の確認:2次対策後」

技術レベルの確認

部品を等級に分けて各自が作成。それらをくみあわせてコンプレッサーを完成させるなど、活動前では想像できないような複雑な形状も3次元操作で作れるようになっていました。

図「技術レベルの確認」

標準化と今後の課題

活動終了後も、スキルアップ勉強会を定期的に開催しており、現在も継続中です。

2008年1月発行 第81号

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