特許出願段階|オンダ国際特許事務所|中国戦略のパートナー

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職務発明

専利権者

職務発明における専利権者は、組織(会社)となる。

専利法第6条

所属組織の職務を遂行し又は主として所属組織の物質・技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする。職務発明創造の専利出願の権利は当該組織に帰属する。出願が許可された後、当該組織が専利権者となる。

奨励金・報酬

報奨金についての社内規定がない場合は、実施細則に準じ、以下の奨励金、報酬の支払いが必要となる。

  • 専利権の公告による奨励金(実施細則第77条)
  • 専利により得られた営業利益に基づく報酬(実施細則第78条)
  • 他の機関等に対する使用許諾料に基づく報酬(実施細則第78条)
専利法第16条

専利権を付与された組織は職務発明創造の発明者又は創造者に奨励金を与えなければならない。発明創造専利の実施後は、その適用の範囲と得られた経済効果に基づいて発明者又は創造者に合理的な報酬を与える。

奨励金・報酬に関する実施細則

専利権公告日より3ヶ月以内に発明者又は考案者に奨励金を支給しなければならない。特許一件あたりの奨励金は3,000 元を下回ってはならず、実用新案又は意匠一件あたりの奨励金は1,000 元を下回ってはならない。(実施細則第77条)

専利権の有効期限内において、専利が実施された後、毎年、同特許又は実用新案の実施により得られた営業利益の中から2%を下回らない金額、もしくは、当該意匠の実施により得られた営業利益の中から0.2%を下回らない金額を、報酬として発明者又は考案者に与え、或いは、上述の比率を参照して、一括で発明者又は考案者に報酬を与えなければならない。(実施細則第78条)

専利権が付与された機関が、その他の機関又は個人にその専利の実施を許諾した場合、取得した使用許諾料の10%を下回らない金額を報酬として発明者又は考案者に与えなければならない。(実施細則第78条)

外国語出願

パリ条約

パリ条約に基づく出願の注意点
  • 外国語書面による出願を提出できない
  • 誤訳訂正ができない
実施細則第3条

専利法及び本細則に基づいて提出する各種の書類は中国語を使用しなければならない。

PCT国内移行

国内移行についての留意点

国内移行の期限は優先日から30ヶ月。
ただし、期限延長費を支払うことで、2ヶ月の猶予期間を得ることができる。

実施細則第103条

国際出願の出願人は、特許協力条約第2条でいう優先権日より30ヶ月以内に、国務院特許行政部門で中国国内移行手続をしなければならない。出願人が当該期限内に同手続を行わなかった場合、期限延長費を支払うことによって、優先権日より32ヶ月以内に中国国内移行手続を行うことができる。

提出書類についての留意点

国内書面のみを提出する手続はない。
19条補正、34条補正の有無に関わらず、最初の国際出願内容の翻訳文は必ず提出しなければならない。 

実施細則第104条

国際出願が外国語で提出された場合、最初の国際出願の明細書と特許請求の範囲の中国語訳を提出しなければならない。

 

保密審査

中国で生まれた発明又は実用新案は、必ずしも中国で最初に出願しなくてもよいが当該発明又は実用新案を外国に出願する場合は、事前に中国知識財産局に報告し、保密審査を経なければならない。

→ 保密審査を経ず外国へ出願した発明又は実用新案は、中国では権利が付与されない。 なお、保密審査の結果は、申請日から6ヶ月以内に通知される。 また、意匠出願については、保密審査をする必要がなく、直接外国へ出願することができる。

専利法第20条

いかなる組織又は個人も中国で完成した発明又は実用新案を外国へ出願しようとする場合は、事前に国務院専利行政部門に報告し、保密審査を経なければならない。

中国に出願せず、直接外国に出願する場合

事前に保密審査請求及び技術説明文を提出する必要がある。
(保密審査を経ない場合、将来的に中国に出願したくても出願できない。)

パリルート出願の場合

中国出願時又は中国出願後に提出可能であるが、審査に時間を要するため、早めの提出が好ましい。

PCT出願の場合

中国の国際受理官庁に直接PCT出願した場合は、同時に保密審査したと見なされる。

 

新規性喪失の例外

専利法第24条

出願した発明創造が出願日前6ヶ月以内に、下記の状況のいずれかに該当する場合は、新規性を失わない。

  1. 中国政府が主催又は承認した国際展覧会で初めて展示した場合。
  2. 指定された学術会議又は技術会議で初めて発表した場合。
  3. 他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏洩した場合。

ただし、該当する国際展覧会、学術会議、技術会議は極めて少なく、日本と比較して、新規性喪失例外が適用される範囲は非常に狭い。

出願変更&国内優先

出願変更制度はない。特許から実用への変更、又は、実用から特許への変更を出願人が希望する場合、国内優先制度を利用すれば可能。

実施細則第32条

先願が特許の出願である場合は、同じ主題について特許又は実用新案を出願することができる。先願が実用新案の出願である場合は、同じ主題について実用新案又は特許を出願することができる。

クレーム

マルチマルチクレーム

マルチ-マルチ従属関係が禁止されている
二つ以上のクレームを引用する多項従属クレームは、他の多項従属クレームの基礎としてはならない。(実施細則第22条)

マルチマルチクレーム

マルチマルチの拒絶を解消するには、
オプション1:請求項3を請求項1のみの従属項に変更する。
オプション2:請求項4を請求項1又は2の従属項に変更する。
オプション3:請求項4を3つの従属項に分解する。つまり、請求項4の限定事項に基づき、請求項1から3のそれぞれに従属する3つの請求項を作成する。

マルチマルチクレームに該当しないケース

マルチマルチクレームに該当しないケース

独立クレーム

ジェプソン式

特許又は実用新案の独立クレームは、前提部分と特徴部分を含まなければならない。
(実施細則第21条)
→ 前提部分と特徴部分との分け方により、権利行使に影響を与えることはない
→ 最近、前提部分と特徴部分を分けていないという理由で方式審査で拒絶される確率が高くなっている

従属クレームの位置

従属クレームの位置

独立クレームに直接又は間接的に従属しているすべての従属クレームは当該独立クレームの後に、そして、別の独立クレームの前に書かなければならない。(審査指南第2部分第2章3.3.2)

従属クレームの位置

中国特有の制度であり、クレーム作成時に注意が必要。