特許審査段階|オンダ国際特許事務所|中国での豊富な実績

特許審査段階|オンダ国際特許事務所|中国での豊富な実績

手続に関する注意点

  • 審査請求期限は、出願日(優先日)から3年
  • 拒絶理由の応答期限は、
    → 1回目:4ヶ月
    → 2回目以後:2ヶ月
  • 期限を徒過した場合の回復手続
    指定期間 → 可能 《OA(オフィスアクション)の応答期限等》
    法定期間 → 不可 《審査請求期限等》

審査請求期限を優先日から起算することに注意が必要です。
例えば、国内出願から1年以内の期限直前にPCT出願を行い、国内出願日(優先日)から32ヶ月以内の期限直前に中国国内移行を行った場合、国内移行から4ヶ月以内に審査請求を行わなければなりません。

自発補正

特許<実施細則第51条第1項>

実体審査を請求する時
特許出願が実体審査段階に入る旨の通知書を受領した日より起算して3ヶ月以内

 

実用新案及び意匠<実施細則第51条第2項>

出願日より起算して2ヶ月以内

PCT国内移行<特許協力条約第28、41条>

国内移行時

実用新案及び意匠は実体審査が行われないため、自発補正の機会は少なくなっています。

分割出願

留意すべき分割のタイミング
  • 拒絶査定が受領された後に、3ヶ月以内  ※審判請求をする必要がない
  • 登録査定が受領された後に、2ヶ月以内 ※登録手続が完了した否かに関わらず
  • 拒絶査定を維持する審決を受領してから3ヶ月以内 ※訴訟を行う必要がない
  • 拒絶査定不服審判の審決に対する不服訴訟期間
実施細則第42条

一つの専利出願に二つ以上の特許、実用新案又は意匠が含まれる場合、出願人は本細則第五十四条第1項に規定する期限が満了するまでに、国務院特許行政部門に分割出願を申し出ることができる。ただし、特許出願がすでに却下され、取り下げられ又はみなし取り下げとされた場合、分割出願を申し出ることはできない。

実施細則第54条

国務院専利行政部門が専利権を付与する旨の通知を出した後、出願人は通知を受領した日より起算して2ヶ月以内に登録手続を取らなければならない。

→ 出願が係属中であれば、いつでも分割出願を行える。

早期審査

外国人出願人が利用できる早期審査は、PPH(特許審査ハイウェイ)のみ

中国では公開されないと実体審査が始まらないので、PPHの申請は公開後になる

中国特許庁のPPH審査は形式的なことに非常にこだわるため、請求項の翻訳は、できる限りそのまま翻訳した方がよい
→ PPHを利用するため、他国のクレームを中国語に翻訳する場合、 一字一句、忠実に翻訳しないと、同一とはみなされないことがあります。

  • 1件の出願にかかるPPH申請は2回まで
  • PPHによって得た特許査定は、さらにPPHの基礎にできない

外国人出願人が利用できる早期審査は、PPH(特許審査ハイウェイ)のみ

※日本出願に基づいて行ったPCT出願の調査報告の肯定的な見解にもとづき、日本出願に対してPPHを申請し、特許査定を得た場合、その特許クレームに基づいて、中国国内移行出願に対してPPHの申請をしたものの、受け入れられませんでした。PPHの重複した申請になるためです。

情報提供

概要

実施細則第48条

特許出願の公開日から権利付与の公告日まで、何人も専利法に規定された要件を具備しない当該特許出願に対して国家知識産権局に意見を提出するとともに、理由を説明することができる。
・提出した意見及び理由は審査官の審査の参考に供する。

日本との相違点及び留意点

情報提供の時期

特許出願の公開日から権利付与の公告日まで、いつでも可能である。
ただし、審査官が専利権の付与通知を発行した後に受けた意見については、考慮しなくてもよいとされている(審査指南第2部分第8章4.9)。

情報提供の理由

専利法実施細則第53条に規定されている拒絶事由に該当する理由はすべて情報提供の理由となる。

提供した情報の取り扱い

提供された意見に対する専利局の対処状況については、情報提供者に通知されない(審査指南第2部分第8章4.9)。

留意点

登録された特許権を無効にする手段として中国にも日本と同様に無効審判という制度があるが、中国の実務では無効審判過程のクレーム補正が審査過程に比べて厳しく制限されている(明細書のみに記載された内容をクレームに追加することができない)。
このため、ある対象の権利化を阻止しようと考えて審査過程で情報提供を行うと、情報提供された理由への対応としてクレーム補正が行われてしまい、結果として権利化を阻止できなかった場合に、情報提供を行わなかった場合と比較して権利の無効化が難しくなる可能性がある。

日本との相違点及び留意点

関連リンク

中国特許照会システム
http://cpquery.sipo.gov.cn/

新規性

概要

専利法第22条

新規性とは、①当該特許又は実用新案が公知技術に属さず、②いかなる組織又は個人によっても同様の特許又は実用新案が出願日前に国務院専利行政部門に出願され、かつ出願日以後に公開された専利出願書類又は公告された専利書類に記載されていないことをいう。
出願日前の公知技術に基づいて新規性が否定されるほか、出願日前に提出され、かつ出願日以降に公報に公開・公告された先願(いわゆる「拡大先願」。中国では「抵触出願」と呼ぶ。)が存在する場合も新規性が否定される。
また、同一の出願人による出願についても、「拡大先願」が適用され得る。

具体例

具体例

出願人が異なる場合は当然のこと、同一の出願人による出願であっても「拡大先願」が適用される。

拒絶理由対応時における補正の注意点

原則

実施細則第51条第3項

出願人は国務院特許行政部門が発行する審査意見通知書を受領した後特許出願書類を補正する場合は、通知書に指摘された欠陥のみに対して、補正を行わなければならない。

審査指南第2部分第8章5.2.1.3

補正の方式が実施細則第51条3項の規定に合致しない場合、このような補正書類は一般的には受け入れられない。

拒絶理由対応時の補正については、「審査意見通知書で指摘された欠陥のみに対して行わなければならない」というのが原則である(実施細則第51条第3項)。
また、補正の大原則として、「原明細書及び特許請求の範囲に記載した範囲を越えてはならない」という点にも留意すべきである(専利法第33条)。
ただし、実務上、審査意見通知書で指摘された欠陥のみに対する補正に該当しない場合であっても、原明細書及び特許請求の範囲に記載した範囲を越えない補正である場合には、補正によって欠陥が解消され、かつ、権利付与の見通しがある場合に限って、そのような補正を認めている。

補正が認められない具体例

次の(1)~(5)に掲げる場合には、補正の内容が原明細書及び特許請求の範囲に記載した範囲を越えていなくても、審査意見通知書に指摘された欠陥に対する補正とはみなされず、認められない。

(1)独立請求項の中の技術的特徴を自発的に削除することで、該請求項が保護を請求する範囲を拡大した。

(1)独立請求項の中の技術的特徴を自発的に削除することで、該請求項が保護を請求する範囲を拡大した。

→ 自発的に、かつ請求項の範囲を拡大したため認められない。

(2)独立請求項の中の技術的特徴を自発的に変更することで、該請求項が保護を請求する範囲を拡大した。

(2)独立請求項の中の技術的特徴を自発的に変更することで、保護の請求範囲の拡大した。

→ 自発的に、かつ請求項の範囲を拡大したため認められない。

(3)明細書だけに記載され、元の保護請求の主題との単一性を具備しない技術的内容を自発的に補正後の請求項の主題にした。

(3)明細書だけに記載され、元の保護請求の主題との単一性を具備しない技術的内容を自発的に補正後の請求項の主題にした。

→ シフト補正は中国でも禁止。

(4)新しい独立請求項を自発的に追加し、当該独立請求項で限定した技術的思想は元の権利要求書で示されていない。

(4)新しい独立請求項を自発的に追加し、当該独立請求項で限定した技術的思想は元の権利要求書で示されていない。

→ 新しい独立項を自発的に追加することは認められない。

(5)新しい従属請求項を自発的に追加し、当該従属請求項で限定した技術的思想は元の権利要求書で示されていない。

(5)新しい従属請求項を自発的に追加し、当該従属請求項で限定した技術的思想は元の権利要求書で示されていない。

→ 新しい従属項を自発的に追加することは認められない。

新規事項の追加についての判断基準

(1)新規事項の追加に関する条文
専利法第33条

出願人はその専利出願書類について補正をすることができる。ただし、発明と実用新案の専利出願書類の補正は、原明細書及び権利要求書に記載した範囲を超えてはならない。

専利法第43条

分割出願は、元の出願日を維持することができ、優先権を有するものについては、優先権日を維持することができるが、元の出願に記載した範囲を超えてはならない。

 

審査指南(第2部分第8章5.2.1.1)

「原明細書及び権利要求書に記載した内容」とは、原明細書及び権利要求書の文字にて記載された内容又は明細書の図面に基づいて直接かつ一義的に確定できる内容

 

(2)二次概括

二次概括は、出願時の1回目の概括に対して、補正や分割の際に新たな概念(中位概念)で概括すること。
中国では非常に厳しい。以下の二つの条件を満たせば、二次概括が可能と思われる。

  1. 充分な下位概念の実施例が上位概念の共通性を有する
  2. 発明は、下位概念の特有な特徴ではなく、上位概念が含むすべての実施例の共通な特徴に関するもの

しかし、「充分な」下位概念という条件を満たすために、上位概念の可能な実施形態をほとんど含む必要がある、と判断される傾向があり、事実上非常に難しい。

事例

事例

→ 補正をする際、明細書に記載された「CD, DVD」をもって、クレームに記載された「録音、再生用設備」を、その中位概念の「光学式ディスクプレーヤー」に補正することは認められない。

「二次概括」を回避するためには

日本基礎出願の出願時に、クレーム又は明細書に中位概念を多く記載
中国に出願する前に、中位クレームを追加(パリルート出願のみ)